今年の冬の「野味」で、まだ調達可能な素材を問い合わせたら、鹿は終わり。豬は「部位によっては」との返事でした。
私が食べたかったのは「家鄉五寶炒野豬粒/猪肉の五色炒め」か「菲王銀芽菜炒野豬絲/猪肉と韮、ザーサイの細切り炒め」。残念なことには、炒めものにふさわしい部位、どうやらフィレ肉か腿肉だったようですが、すでに終わり。
「でも、ばら肉ならあります。煮込みにうってつけで、ちょうど筍が出回りはじめたので干椎茸も一緒に炊き合わせた「雙冬炆野豬」があるってことで、即座に「それそれ!」ってことで、決定!
「筍」はさくっとした歯触り。若々しく、清々しい、春の味です。風味もよくってかなりの美味。それよりも「豬」。なんせ、肉喰い、野味が生きがいの私です。
皮の下の脂、豬ならではの脂はつるんと滑らか、とろける感じです。肉はしっとり、噛み締めるとねっとり感も。ジューシーで、こくがある。その味は濃密。それも、野味特有のくせの強さより、素朴で自然、なによりもフルーティー、ことに甘味が浮かび上がる。
それより、この豬のばら肉を気に入った福臨門の徐さん。なんと「東坡肉」風の煮込み料理にしたそうな。豬の脂、それに、このフルィーティーな肉の持ち味を生かした料理なのに違いない。
その話を耳にして、無念の歯軋りしきり。広東地方の冬の野味料理に特有の「柱侯醤」で味付けした煮込みもいいですが「東坡肉」仕立てにする、というのがスルどい!さすが喰いしんぼうの徐さん、目のつけどころが違います。来年には、この大分産の豬の「東坡肉」仕立てをなんとか食べなくちゃ!