2009/04/02

家郷小菜と香港炸醤麺~3月の「赤坂璃宮」銀座店の10

 締めくくりの「甜品」(デザート)は「海帯緑豆沙/昆布入り緑豆のおしるこ」。
 「緑豆沙」というのは「緑豆のお汁粉」。「緑豆」といえば文字から「グリーン・ピース」と思われがちですが、さにあらず。

 マメ科の一種の「やえなり」ってことで、「青小豆」、「文豆」とよばれていて、むしろ小豆と同種、ささげ属の豆です。もやし作りに使われるほか、その澱粉から「春雨」を作ります。さきほどの「辣椒豆豉蒸聖子/マテ貝の豆豉辛味蒸し」に使われていた「龍口粉絲」はまさにそうでした。

 「緑豆」の「お汁粉」は経験あり。ですが「海帯/昆布」入り、というのは初体験。戻した昆布ですから、ぷり感のはざわり、噛み応え。それに、磯の香、味がします。

 そうか、小豆のお汁粉を作る際、塩を加えて味をひきしめたり、甘味を引き立てる、なんてやりますが、もしかしてそれと同じ要領、というか考えなのかもしれませんね。

 「緑豆」のお汁粉自体、素朴でひなびた味、風味、甘さが特徴ですが、それに昆布が加わって、味も風味も、少しばかり複雑。それも磯の香、風味が醸し出す独得の雰囲気がおもしろい。香港には南Y島、長洲の船着場の周辺に海鮮料理が食べられる店がありますが、その光景が突如として甦りました。

 それになんだか沖縄気分。ほら、沖縄には北海道から届いた昆布を使った料理が多くって、南の島の山海の幸と北の海の旨味が織り成す哀愁を帯びた郷愁の味がある。そんなことも、思い浮かんだりして。

 ともあれ、今月の「赤坂璃宮」銀座店の料理、「老火豬肚湯」にしろ「大馬站煲」の広東地方の郷土料理の「家郷菜」風味の「湯」や「小菜」、なんといっても香港B級グルメの極めつけ的一品「まじ、やばい!「炸醬撈麵」」に、大いに盛り上がったのでありました。