「砂肝」、「カシューナッツ」、それに赤と黄色のパプリカ、アスパラ、筍、セロリの炒め物。塩味炒めで、日本の広東料理店のこの種の料理にありがちなたっぷりのとろみ付きの仕上がりじゃなく、素材の持ち味を生かした味付け、調理なのが嬉しい。
野菜の切り分け、ざっくり、ざっくばらんなようでいて、その寸法、それぞれの素材の持ち味、触感を見極めた切り方。しかも、ひとつひとつ、素材の持ち味を生かした火の通し。そのあたり、下拵えの「板」と、火を入れる「鍋」の技、息がぴったり。
「アスパラにしろ、パプリカにしろ、それぞれの味がしっかり、際立っているんですね。素材のひとつひとつの味がわかるもの!」なんて声が上がります。「うん、ひとつひとつの持ち味、旨味、香り、しっかり生きてますよね。それでいて、全部でひとつの味にまとまってる」
「それより、この砂肝、感心!砂肝って炒めるのがむずかしくて、どうしても火が通りすぎて固くなっちゃうのよね。でも、これ、火が通ってて、なおかつ、柔らかいし、食べやすくて美味しい。それに、砂肝ってくせがあるのに、全然、そんな感じがしない!」なん声も上がる。
砂肝、野菜の下拵え、加えて、炒め方、火の通りの按配。美味しくって風味がある。なんてことないような炒め物ですけど、まさしく「板」と「鍋」のプロの「技」が発揮された一品でした。
やっぱり、プロにはかないません。