嬉しいことには会議の仲間、会議の担当氏の誰もが、嫌いな物はなし。食への好奇心は旺盛です。
たとえば仲間のひとりは「わ~、こんなの初めて!」 と、嬉々として、未知の味を恐れない。
もうひとりは料理好きで料理への探究心も旺盛。それに、自分で料理するだけでなく「ハンバーガー」から「牛丼」までファーストフード事情にも明るく、ことに話題の「メガ」プロダクツの事情通。料理ってのは美味しいだけではなく、ビッグなメガサイズ、たっぷりの量があってこそ御馳走の必須の条件、という主張が頼もしい。
なんせ洋食屋での会議の頃、メインの料理にピラフなどご飯ものの一品の「盛り」の量、「並」サイズの「普通盛り」から始まり、次第にエスカレート。「中盛り」を突破して「大盛り」に落ち着き、さらには「超大盛り」が慣例化!
以後、店が変わってからもその慣例は受け継がれ、中国料理店での最後の締めくくりの面飯類は、会議のメンバーそれぞれに合わせた3種の「盛り」の登場が定例化。実は私も「並」サイズの「普通盛り」では満足がいかず、さすがに「超大盛り」までは行きませんでしたが、「大盛り」を注文していた次第。
はたして「赤坂璃宮」の銀座店での食事の締めくくり。面か飯のはず。期待に胸を膨らませていたところに登場したのが、なんと「鹹魚肉餅煲仔飯」。
それが、直径14~5センチほどの小ぶりの土鍋で調理されたもの。一人前用の土鍋で炊かれてました。
ひとりに土鍋、ひとつづつ。香港でもこんな小さい土鍋は見たことがない。私は初体験。それだけまた、盛り上がっちゃいました。 が、まてよ、そうか、今日は打ち合わせ不足、言い忘れちゃって、最後のご飯は、皆、同じサイズ。ってことは、分量が足りない?
「鹹魚肉餅」の肉餅は、豚のひき肉。しかも、慈姑(くわい)入り、ってのが(譚さん)憎い!
さらに、塩漬け醗酵魚の「鹹魚」は、なんと「馬友」(っていうのが、ますます譚さん、憎い!)。
塩味しっかり利いているだけでなく、風味抜群、強烈な香りがたまらない「梅香」もの。「鹹魚」好きにはたまらない。こたえられない逸品です。
「鹹魚」といえば必ず引き合いにだされるのが「くさや」ですが、所変わればで、味、風味は異なります。
「これが「鹹魚」?」。
「肉餅」の上にのっかった「鹹魚」は、幅3センチ、長さ4センチ強ぐらいで、厚さは5ミリ程。
「そそ!そいつをほぐして、肉もほぐして、ご飯にかき混ぜて、ほら、そのタレ、ね!
「老抽」って、中国たまり醤油と、油とだし少々で出来てんだけど、そいつをかけて、ご飯に混ぜ合わせて食べる、って寸法。ほら、タレは、最初からたっぷりじゃなくって、加減しならが!」
とまあ、ここでも小言ぢぢい(私です)は、いちいちうるさい。
「「煲仔飯」って、要は炊き込みご飯だなんだけどさ(はふはふ!)、あぢ!
日本の炊き込みご飯とかこの手の釜飯って、ご飯を出しで炊くでしょ(はふはふ!)?。
それが「煲仔飯」は、ご飯と一緒に炊き込む下拵えして(はふはふ!)、 味付けした具材から出る汁やエキスだけなの(ホ~!)。
う~ん、美味しいは、これ!
あ!慈姑(くわい)! ほくほくの感じがわかるぐらいに切り分けられてて、いい感じ!
肉だけじゃなくて、慈姑(くわい)を加えた、ってのが、憎いなあ(はふはふ!)。
え、どこまで、話したっけ?(って、誰も聞いてなかったかも!)
あ、そだ、素材の持ち味を生かす炊き方ってことです!」。
「ね、この「鹹魚」って、この分量でもしっかりした塩味で、旨いねえ。これだけで、ご飯食べられちゃうぐらいだね!」。
「うん、それって、全然あり! 旨い「鹹魚」があれば、ご飯、いっぱい食べられるから。
けど、ほら、今日は、ひき肉と一緒に炊き込んだってことで」。
それにしても「鹹魚肉餅煲仔飯」はビッグ・サプライズ。
なんといっても一人用の小さな土鍋で、というプレゼンテーション、譚さんの見事な演出に脱帽!演出だけではありません。
ほんとに、旨い。風味がありました。
最後のデザートは、マンゴ・プディングはじめ冷たいデザートが4品、銀のトレイで登場。さらには「麻蓉芝麻球/黒胡麻あんの胡麻揚げ団子」も。 冷製のデザート、マンゴ・プディングに人気が集中、かと思いきや、会議のメンバー、選んだのはてんでばらばら。それぞれに個性的、と言いますか、しっかりした主張がそのまんま表れた、という感じで、本題の会議になだれ込み。食事が旨いと、会議も盛り上がります!
2008/06/24
2008/06/22
「赤坂璃宮」銀座店の3
「時菜油泡扇貝」、おまけに、添えられた四種の「醤」で、大いに盛り上がった後に登場したのが「黒椒炒和牛/和牛肉の黒胡椒炒め」。
「ワッ! 肉! 牛肉じゃん、これ!」と、大盛り上がり。そうです。牛肉と言うだけでも、盛り上がっちゃいます。ですが、それだけじゃないんですよね。
その味付け、調理、香港の広東料理ならではのもの。 香港の広東料理の定番的な料理、メニューのひとつに「中式牛柳」というのがあります。 中国風のフィレ肉のステーキ。訳せば聞こえはいいものの、かつて香港で牛肉といえば、日本のそれのように刺し(脂肪)が入った身の柔らかいものじゃなくって、農耕系の牛や水牛をつぶした硬い肉が中心。
そんなことから、肉をいかに柔らかくして調理するか、という創意と工夫が凝らされた。それが、戦後、各国から輸入肉が到来。中でも人気を得たのが日本の牛肉だったことは言うまでもありません。が、値段は高い。 そこで、一般庶民にもてはやされたのが米国、豪州産の牛肉。中でも人気を呼んだのが、黒胡椒風味のステーキ。 最初は香港の洋食店で人気のメニューに。それが、広東料理店にも浸透し、かつての「中式牛柳」にとって替わるほどになりました。
黒胡椒のひり味の利いた牛肉のステーキを噛み締め、戦後の香港の広東料理における牛肉料理の変遷を思い浮かべた次第です。
「赤坂璃宮」銀座店の2
続いては「時菜油泡扇貝/活け帆立貝と季節野菜の炒めもの」。 料理が綺麗ですね。「ヘイフンテラス」の黒服の女史に見せつけたいぐらい。
あ、そうそう。過日、我が友人、久々に「ヘイフンテラス」を再訪。私も誘われましたが、生憎、一緒できず。友人の話によれば、黒服の女史いたそうですが、アテンドはしてもらえず。
それより、旬の素材を使った郷土料理の種類が増えて、以前よりも幅広くなった様子。
もっとも、肝心の味は、日本のホテル中華のそれで、風味に乏しいとか。以前、出かけた時の方が良かった、って話でした。
噂によれば、キッチンの日本人スタッフ、いろいろ入れ替わったそうです。
話、戻して、季節野菜は「芥蘭」。千葉で栽培したもの、なんて話でした。まずは人数分を大皿盛りでお披露目。そん時、貝柱の油泡と気づいて、すかさず「あの、一緒に「蝦醬」、「蠔油」も持ってきてね!」と念押し。
お披露目があってから、小皿にひとり分づつ取り分けられた「時菜油泡扇貝」が配られるのに時間はかからず、同時に別のアテンドの女性がテーブルの上の円卓の上に「蝦醬」、「蠔油」だけでなく「辣椒醤」、「XO醤」をずらりと用意。
その昔、「赤坂璃宮」の赤坂店でのこと。開店当初、譚さん、ホテル・スタイルのサービスを積極的に取り入れたものの、サービスの人々、料理に即した各種の「醤」類、用意するのを忘れがち。というよりその認識など無かった様子でした。
譚さん、香港の最新流行を取り入れながら、抜群の料理の腕の冴えを見せて、繊細で上品な味付け。ですが、香港じゃ料理によって用意される「醤」の類、たとえば「油泡」の魚介には「蝦醬」、「蠔油」、鳩の焼き物の「脆皮焼乳鴿」や鶏の丸揚げの「脆皮鶏」にはレモン・ソルト、ウスター・ソースが、添えられないまんま。
せっかくの譚さんの料理も、なんだか今ひとつ物足りない。譚さんの腕、最大限に魅力を発揮できないってことが、ままありました。
そこで「あのう~、すんませんが~」と、恐る恐る「醤」の類を頼み、その登場を待ってる間に、他のメンバー、ほとんど料理食べ終わり状態、なんてことも。
今ではそんな昔話とは比べ物にならないぐらい、ひとり分ずつ取り分けられた料理のサービスは迅速。各種の「醤」類もすぐさま登場。
実に気分爽快、というか、それだけでも嬉しくなって、美味しさ倍増。
「え~!こんなに「醤」類が並んじゃって! どうするわけ?」。
「あ、これが、蝦の醗酵味噌の「蝦醬」。早い話、アミの塩辛みたいなもん。これがオイスター・ソースの「蠔油」。そのどっちかをちびっとだけ、貝柱につけて食べると、貝柱の甘味、旨味が引き立つ、ってワケ。
ほら、貝柱はさっと油通ししてあって、火が通って、甘味、旨味が封じ込められてんだけどさ。
そこで「醤」をちょびっとつければ、貝柱の凝縮した甘味、旨味、風味がますます引き立つ、って寸法。
あ、ちょびっとだけね、つけるのは。タップリはだめ!」
とまあ、小言ぢぢい(って私ですけど)、いちいちうるさい!
ですが、私の話に最初「ン?」といぶかしがってた皆の表情が、食べてみれば満面の笑顔に豹変。「なるほど!」と、「醤」を添える。しかも、ちびっだけの効果を納得してもらえた様子。
「で、この見た目辛そうは、どうなの?」。
「えとね、ちょい濃い目、焦げ茶の色あいのやつね。
「辣椒醤」ってことだったから、唐辛子の醗酵味噌。
けど、四川のほら蚕豆と唐辛子で作った「豆板醤」とは違いますから。
ちょっと味見してみると、普通の「辣椒醤」よりも、唐辛子の辛味がしっかり利いて、小麦粉などを混ぜ合わせた「桂林辣椒醤」のようでした。
「で、これは、皆さんご存知の「XO醤」。 ほら、干貝柱がたっぷり入っていて、辛味もそうだけど、旨味、風味、抜群のやつ!
ちょっと待って、味、先に試しますから!」
なんて、頼まれもしないのに、先に勝手に味見。
これが、なんと、干貝柱の旨味、風味しっかり、ばっちりでした。
「旨いわ、これ!」 と、皆のことをすっかり忘れて、私は夢中!
「そんなに?」といぶかしがる面々。
早速「XO醤」をまわしたところ
「これ、めっちゃ旨い。貝柱につけるのも旨いけど・・・
あの、ご飯もらえないかしらん、すぐに!
ご飯と一緒に食べたいから!」
なんて、皆な、私に負けず劣らず、わがままなんです!
あ、そうそう。過日、我が友人、久々に「ヘイフンテラス」を再訪。私も誘われましたが、生憎、一緒できず。友人の話によれば、黒服の女史いたそうですが、アテンドはしてもらえず。
それより、旬の素材を使った郷土料理の種類が増えて、以前よりも幅広くなった様子。
もっとも、肝心の味は、日本のホテル中華のそれで、風味に乏しいとか。以前、出かけた時の方が良かった、って話でした。
噂によれば、キッチンの日本人スタッフ、いろいろ入れ替わったそうです。
話、戻して、季節野菜は「芥蘭」。千葉で栽培したもの、なんて話でした。まずは人数分を大皿盛りでお披露目。そん時、貝柱の油泡と気づいて、すかさず「あの、一緒に「蝦醬」、「蠔油」も持ってきてね!」と念押し。
お披露目があってから、小皿にひとり分づつ取り分けられた「時菜油泡扇貝」が配られるのに時間はかからず、同時に別のアテンドの女性がテーブルの上の円卓の上に「蝦醬」、「蠔油」だけでなく「辣椒醤」、「XO醤」をずらりと用意。
その昔、「赤坂璃宮」の赤坂店でのこと。開店当初、譚さん、ホテル・スタイルのサービスを積極的に取り入れたものの、サービスの人々、料理に即した各種の「醤」類、用意するのを忘れがち。というよりその認識など無かった様子でした。
譚さん、香港の最新流行を取り入れながら、抜群の料理の腕の冴えを見せて、繊細で上品な味付け。ですが、香港じゃ料理によって用意される「醤」の類、たとえば「油泡」の魚介には「蝦醬」、「蠔油」、鳩の焼き物の「脆皮焼乳鴿」や鶏の丸揚げの「脆皮鶏」にはレモン・ソルト、ウスター・ソースが、添えられないまんま。
せっかくの譚さんの料理も、なんだか今ひとつ物足りない。譚さんの腕、最大限に魅力を発揮できないってことが、ままありました。
そこで「あのう~、すんませんが~」と、恐る恐る「醤」の類を頼み、その登場を待ってる間に、他のメンバー、ほとんど料理食べ終わり状態、なんてことも。
今ではそんな昔話とは比べ物にならないぐらい、ひとり分ずつ取り分けられた料理のサービスは迅速。各種の「醤」類もすぐさま登場。
実に気分爽快、というか、それだけでも嬉しくなって、美味しさ倍増。
「え~!こんなに「醤」類が並んじゃって! どうするわけ?」。
「あ、これが、蝦の醗酵味噌の「蝦醬」。早い話、アミの塩辛みたいなもん。これがオイスター・ソースの「蠔油」。そのどっちかをちびっとだけ、貝柱につけて食べると、貝柱の甘味、旨味が引き立つ、ってワケ。
ほら、貝柱はさっと油通ししてあって、火が通って、甘味、旨味が封じ込められてんだけどさ。
そこで「醤」をちょびっとつければ、貝柱の凝縮した甘味、旨味、風味がますます引き立つ、って寸法。
あ、ちょびっとだけね、つけるのは。タップリはだめ!」
とまあ、小言ぢぢい(って私ですけど)、いちいちうるさい!
ですが、私の話に最初「ン?」といぶかしがってた皆の表情が、食べてみれば満面の笑顔に豹変。「なるほど!」と、「醤」を添える。しかも、ちびっだけの効果を納得してもらえた様子。
「で、この見た目辛そうは、どうなの?」。
「えとね、ちょい濃い目、焦げ茶の色あいのやつね。
「辣椒醤」ってことだったから、唐辛子の醗酵味噌。
けど、四川のほら蚕豆と唐辛子で作った「豆板醤」とは違いますから。
ちょっと味見してみると、普通の「辣椒醤」よりも、唐辛子の辛味がしっかり利いて、小麦粉などを混ぜ合わせた「桂林辣椒醤」のようでした。
「で、これは、皆さんご存知の「XO醤」。 ほら、干貝柱がたっぷり入っていて、辛味もそうだけど、旨味、風味、抜群のやつ!
ちょっと待って、味、先に試しますから!」
なんて、頼まれもしないのに、先に勝手に味見。
これが、なんと、干貝柱の旨味、風味しっかり、ばっちりでした。
「旨いわ、これ!」 と、皆のことをすっかり忘れて、私は夢中!
「そんなに?」といぶかしがる面々。
早速「XO醤」をまわしたところ
「これ、めっちゃ旨い。貝柱につけるのも旨いけど・・・
あの、ご飯もらえないかしらん、すぐに!
ご飯と一緒に食べたいから!」
なんて、皆な、私に負けず劣らず、わがままなんです!
2008/06/18
「赤坂璃宮」銀座店の1
久々に「赤坂璃宮」の銀座店で昼食。充実したランチでした。
まずは前菜。 香港からやってきた焼き物「焼味」の師傳、梁さんの指導による「焼味」は、さすがに旨い。
手前が皮付きの豚のバラ肉を焼いた「焼肉」。 その後ろ、右から家鴨の焼き物の「焼鴨」、真ん中が地鶏の醤油漬けの「醤鶏」。奥には小さな器に「くらげ」。こり、ぽりの触感が堪らない。
添えられているのは、青ずいきと小松菜。青ずいきは湯がいて、酢であえているような味。小松菜は生のまま。パリっとした触感でした。
それに続いたのが「冬瓜瑶柱羹」。
だしの味が素晴らしい。きっちり、丁寧で、緻密。しかも、奥行き、深みのあるしっかりした味わい。
ふくよかでいて、がっしりした力強さがありました。
総料理長の譚さん。細やかな感性の持ち主ですが、そのしなやかな力強さも再認識。
「冬瓜瑶柱羹」にがつんとくる力強さを感じました。
まずは前菜。 香港からやってきた焼き物「焼味」の師傳、梁さんの指導による「焼味」は、さすがに旨い。
手前が皮付きの豚のバラ肉を焼いた「焼肉」。 その後ろ、右から家鴨の焼き物の「焼鴨」、真ん中が地鶏の醤油漬けの「醤鶏」。奥には小さな器に「くらげ」。こり、ぽりの触感が堪らない。
添えられているのは、青ずいきと小松菜。青ずいきは湯がいて、酢であえているような味。小松菜は生のまま。パリっとした触感でした。
それに続いたのが「冬瓜瑶柱羹」。
だしの味が素晴らしい。きっちり、丁寧で、緻密。しかも、奥行き、深みのあるしっかりした味わい。
ふくよかでいて、がっしりした力強さがありました。
総料理長の譚さん。細やかな感性の持ち主ですが、そのしなやかな力強さも再認識。
「冬瓜瑶柱羹」にがつんとくる力強さを感じました。
2008/06/14
閑話休題 鳥越祭の2
鳥越の本社御輿の渡御で、一番の話題、見ものは、地元の「睦」、「宮元」による「宮入り」の道中を妨げ、本社御輿をつぶそうとする六尺一丁軍団殴りこみ、ってことになってます。見物の野次馬にとっては、面白くて、楽しみな「鳥越祭」ならではの見ものです。
ですが、見物人がひしめく「宮入り」もさることながら、地元の「睦」による本社御輿の町内渡御の「宮出し」での厳かな風情が、実に味わい深い。眠い目をこすりながら、鳥越の本社の「宮出し」を目の当たりした光景は、いまだに忘れられません。
私が鳥越でお世話になってるのは小島の越村さんち。
小島の町会の睦で「今年、最年長になっちゃったよ!」って、満面笑みを浮かべながら、今年の鳥越祭でも大張り切り。越村さんのお世話になってから、もうどんぐらいになることやら。
きっかけは川越の豆腐屋の小野哲に紹介されてからです。仕事の関係もあってか日曜の本社御輿の町内渡御しか参加できない豆腐屋の小野哲と違って、仕事なんかおっぽりだして御輿を担ぎたい私は、毎年、宵宮、翌日の町内御輿の町内渡御、本社御輿の町内渡御と、すべてに参加。
御輿担ぎの合間には、越村家の居間に居座り、飲んじゃ喰い、眠くなれば「あ、すんません、眠いんでちょっと」と、越村家の2階でごろ寝、という遠慮がなくってあつかましいマイペースな御輿担ぎおたくです!
そんな越村家の鳥越祭の日々、入れ替わり立ち代り訪れる人々の顔ぶれが面白い。
まさしく新年の賑わいそのままです。
まずは、越村さんの長兄の島倉さん。日曜日には息子のしょうへい君夫妻が加わります。普段なら板橋の次兄のお兄さんご夫妻も。ですが、今年は体調を崩されて欠席。そこに、なんでだかいつのまにか私が居座ってます。しかも、居間に上がってすぐ左、TVの前というのが私の定席。
それを迎えるのは越村さんのおかみさん、息子のこうたろうさん。が、今年は、おかみさん体調芳しくなく、おまけにこうたろうさんも仕事で出張。そこで、大踏ん張りなのが、長女のくみこさん。関西弁がペラペラで、私との会話は、いつもツッコミとボケの間柄。まるで漫才をやってるみたいと言われます。
そこに越村さんの町内の睦の面々がやってくる。その大半が、どうやら越村さんが鳥越祭りの日々に作る「おでん」目当ての様子!
越村さんちの「おでん」は、祭りの前日から昆布を水出しにし、鰹節を加えて作った出しが味の要。
それから二番だしを作ったり、水出しにした昆布も無駄にせず、割いて、結んで、おでんの種に。
おでんの種の練り物類は、実は、四国の今治の桧垣かまぼこに依頼して送ってもらったもの。そこに東京ならではの具種、卵、こんにゃくなどを加わります。ちなみに、今治の桧垣かまぼこは私のお気に入り。簀巻きの「鶴姫」の素材の持ち味がする飾りのないピュアな美味が好みです。関西では「てんぷら」と称する具種に工夫を凝らした各種の練り物類の素朴でピュアな味もグッド。
祭りの前日から出しを仕込み、大きな鍋一杯に盛り沢山の具種を入れて、煮込んだ越村さんの「おでん」は、越村家を訪れる人々の間では評判のもの。
「今年の出しの塩梅、どうかな~」
と、いつも決まって、最初は不安気な表情の越村さん。
今年はおかみさんが不在のため、くみこさんが、味見の手伝い。
「もう、忙しいのに何回も何回も、「(出しの)加減どう?」なんて、しつこくしつこく聞かれて!」と、呆れ顔のくみこさん。
もっとも、じっくり煮込んで時間がたてば、出しもいい塩梅になって、具種のどれもが食べ頃。
一口食べて、誰もが「美味しい!」。
その一言で、越村さんもにんまり。
中でも人気のあるのが「たこ」。これが実に美味。
誰もが「たこ」の美味を知っていて、「たこ」が入ると、みるみるなくなります。
その「たこ」を目当てにやってくるのが、米屋の都築さん。今年はおかみさんも一緒でした。
それから、越村さんの隣人で、びく抜き、つまり紙の打ち抜き加工をやってらして、とあるオーケストラのトランペット奏者でマネジャーも務める小島さんはじめ、町会の睦連の方々が入れ替わり立ち代りやってきます。
そして、越村さんちで知り合ったのが、勅使川原さん親子。
娘の恵美さんの御主人はリヴァプール出身で日本で英語教師を務めるスティーヴン。弟のリチャードがやってきたこともありました。現在は、リヴァプールのビートルズ・ミュージアム勤務。
今年は、そこに越村さんの町会の睦仲間の松下さんの娘のえみさんが、リヴァプールに留学中に知り合ったボーイフレンドのマイクと一緒にやってきた。
それに、ここ数年、私が御輿に引っ張り込んだ甥っ子が、仕事仲間でヨークシャー出身のサイモンを連れてきた。
さらには、スティーヴンの知り合いで、リヴァプール出身で名前の似たスティーヴが加わった。
今年の鳥越祭の越村家には、イギリス中部の出身者がずらり。
例えれば、宮城出身の3人に岩手の出身者が加わり
「おめえ、あそこの在、なのが~?」
なんて感じで 地方訛りむき出しの英語が飛び交う有様。結果、スティーヴとマイクは同じ学校の出身で、先輩、後輩の間柄だった、なんてことも判明!
イギリスから遠く離れた極東の地で、出会った4人の盛り上がりようは、尋常じゃない。英語の訛り具合は一気にエスカレートし、4人はなお一層、早口でまくしたてる。
ですが、越村家の居間に居合わせた4人以外、何が何だかわけがわからず、目の前を飛び交う異国の言葉に、誰もがあっけにとられ、ポカーン状態。通訳を買ってでようにも、訛りがすごくて手に負えないもんで(なんて、ごまかしたりして!)
実は越村さんち、毎年、国際色豊か。異国の人がなんでだか、越村家の居間にいるのが面白い。
なんせ、かつてはアラブの某国の大使もやってきた、とまあ、毎年、鳥越祭の日々の越村家はインターナショナル。
スティーヴンと恵美さんには、長男のショーン/翔音と長女のカナ/可奈ちゃんの二人の子供。
ショーン君、日本語をあまり話す機会のない父親のスティーヴンの通訳を務めてくれるのが頼もしい! それに、鳥越の生まれ育ちの恵美さんの血をついで、祭り、御輿が大好きで、祭りの間は鯉口に股引姿。
おじいちゃんの勅使川原さん、ショーン君のそんな姿が可愛くてたまんない様子。
2008/06/10
閑話休題 鳥越祭の1
あ~あ、終わっちゃいました、鳥越祭。
5月の三社、6月の鳥越は、私にとって一年を通して最大のイベント。その 三社と鳥越、それぞれに味わい、雰囲気、風情が違います。
「三社なんて、観光化された祭、だもんな」なんていう人もいたりしますが、私はそうは思いません。確かに三社には独特の華やいだ雰囲気があるのは事実です。
それより、三社と言えば「宮出し」のことばっかりが話題になって、三社祭を取り上げるマスコミの報道もそれ一辺倒。もしくは、例年百万人を越える、とか言われる三社目当てに浅草に訪れる観光客の人数や、浅草神社から出て町内を渡御する三つの宮御輿のことばかり。
もちろん、本社の三つの宮御輿の渡御は特別なもんです。それがあってこその三社祭です。が、三社の本社の御輿渡御の真髄は「宮出し」よりも、おごそかな雰囲気に包まれ、遠い昔の時代に舞い戻ったような錯覚に陥る「宮入り」にこそあり、というのは地元の人々の多くが語ること。
それに、町内ごとにある御輿の町内渡御も和やかで楽しい。 私が世話になってる雷門中部は、土曜、日曜の両日の町内渡御では、浅草神社、浅草寺にまで繰り出します。その間、宝蔵門や雷門の潜り抜け、仲見世の通り抜けは、担ぎ手にとって興奮とスリルを覚えずにはいられない美味しいスポット。
宝蔵門や雷門では、御輿担ぎの掛け声が、わんわん響いて耳に届き、興奮を覚えずにはいられない。担ぎながら門を潜ってこそ、味わえるもの。仲見世の道中も、掛け声がわんわん鳴り響いて耳に届きます。それも、担いでいるからこそ、味わえるもの。 それに、三社のそれぞれの町内の人たちの楽しみ方も和気藹々としていています。
鳥越の人たちの祭りの楽しみ方も面白い。格別な味わいと独特の風情があります。
三社の華やかさや粋な趣とはいささか違い、気取りが無くって、ざっくばらん。
実にくだけていて、人情味にもあふれていて、ぐっと庶民的。
もちろん、地元の人たちにとって鳥越祭は日常の「ケ」ではなく、まさしく「ハレ」の日々。
それを象徴するのが、鳥越の祭り、御輿を扱ったカレンダー。
その始まりは、なんと6月。すべては鳥越祭から。
なんてことからも明らかなように、鳥越祭のある6月、鳥越祭の日々は、地元では新年、正月というにふさわしい。ですから、地元の人の祭りの楽しみ方は、新年、お正月の楽しみにも似ています。 町内ごと、家ごとに、それぞれの楽しみ方があるようで、そのひとつひとつを覗いてみたくなります。
玄関のガラス戸を大きく開け放ち、玄関のたたきや上がり座敷に、あるいは日頃、車を置いてある駐車場のスペースに、テーブルや床机座椅子を並べてあります。
玄関前にテーブルや椅子を持ち出して並べるなんてのもあって、その様相は家ごとにまちまち。
中にはビール壜のケースに板を渡しただけの簡単なしつらえ、なんてのもあってほほえましい。
そんなテーブルの上は、ビールにお酒、各種のつまみ、とっておきのご馳走や、なんてことない日常のお惣菜の類で埋め尽くされてます。
一軒ごとに立ち寄って、片っ端からテーブルを埋め尽くすつまみや御馳走の数々を、全部味見をしたくなる衝動に駆られます。
さて、今年の鳥越の本社御輿の渡御。
今年の三社では本社の渡御が中止。
日頃、浅草神社から仲見世の町内に本社の三つの御輿が受け渡しされるまでの間、地元の氏子連に混じって、近隣の各地から馳せ参じた面々が御輿に群がり、浅草神社、浅草寺の境内をあっちこっち。そして三つの本社御輿がそれぞれの町内に受け渡される、というのが三社の「宮出し」。
そんな三社の「宮出し」が、今年は本社の三つの宮御輿の町内渡御が中止ってことでありませんでした。そんなことから、近隣の御輿好きの連中が鳥越の本社御輿の町内渡御や「宮入り」に集結、なんて噂が鳥越祭の始まるまでに飛び交ってました。
鳥越の本社御輿といえば、三社の宮出しとは対照的に、町内渡御を終えた本社御輿が鳥越神社に収められる最後の儀式、地元の「睦」、「宮元」による「宮入り」の道中が、話題を集めてきたもんです。
というのも、「宮入り」の道中の際、それも「宮元」の道中を狙って、各地からやってきた六尺一丁の軍団が本社御輿を落とそうと襲い掛かる。地元の「睦」や「宮元」にとってははた迷惑で厄介この上ないことなんでしょうが、見物人にとっては最大の見物。しかも、御輿が落とされる場所は、毎年、あっちこっちと変わるもんで、そのやりとりが見られる場所を狙い定め、見当をつけながら見物の場所を陣取る、なんてのも楽しみです。
そんなことで、例年、鳥越祭の本社御輿の「宮入り」には、見物人がびっしり! そんな見物人の合間に、出番待ち?の六尺一丁の兄ちゃん、おっちゃんが、ひそかに紛れ込んでいたりします。 鳥越祭の本社御輿の「宮入り」ならではの光景です。
5月の三社、6月の鳥越は、私にとって一年を通して最大のイベント。その 三社と鳥越、それぞれに味わい、雰囲気、風情が違います。
「三社なんて、観光化された祭、だもんな」なんていう人もいたりしますが、私はそうは思いません。確かに三社には独特の華やいだ雰囲気があるのは事実です。
それより、三社と言えば「宮出し」のことばっかりが話題になって、三社祭を取り上げるマスコミの報道もそれ一辺倒。もしくは、例年百万人を越える、とか言われる三社目当てに浅草に訪れる観光客の人数や、浅草神社から出て町内を渡御する三つの宮御輿のことばかり。
もちろん、本社の三つの宮御輿の渡御は特別なもんです。それがあってこその三社祭です。が、三社の本社の御輿渡御の真髄は「宮出し」よりも、おごそかな雰囲気に包まれ、遠い昔の時代に舞い戻ったような錯覚に陥る「宮入り」にこそあり、というのは地元の人々の多くが語ること。
それに、町内ごとにある御輿の町内渡御も和やかで楽しい。 私が世話になってる雷門中部は、土曜、日曜の両日の町内渡御では、浅草神社、浅草寺にまで繰り出します。その間、宝蔵門や雷門の潜り抜け、仲見世の通り抜けは、担ぎ手にとって興奮とスリルを覚えずにはいられない美味しいスポット。
宝蔵門や雷門では、御輿担ぎの掛け声が、わんわん響いて耳に届き、興奮を覚えずにはいられない。担ぎながら門を潜ってこそ、味わえるもの。仲見世の道中も、掛け声がわんわん鳴り響いて耳に届きます。それも、担いでいるからこそ、味わえるもの。 それに、三社のそれぞれの町内の人たちの楽しみ方も和気藹々としていています。
鳥越の人たちの祭りの楽しみ方も面白い。格別な味わいと独特の風情があります。
三社の華やかさや粋な趣とはいささか違い、気取りが無くって、ざっくばらん。
実にくだけていて、人情味にもあふれていて、ぐっと庶民的。
もちろん、地元の人たちにとって鳥越祭は日常の「ケ」ではなく、まさしく「ハレ」の日々。
それを象徴するのが、鳥越の祭り、御輿を扱ったカレンダー。
その始まりは、なんと6月。すべては鳥越祭から。
なんてことからも明らかなように、鳥越祭のある6月、鳥越祭の日々は、地元では新年、正月というにふさわしい。ですから、地元の人の祭りの楽しみ方は、新年、お正月の楽しみにも似ています。 町内ごと、家ごとに、それぞれの楽しみ方があるようで、そのひとつひとつを覗いてみたくなります。
玄関のガラス戸を大きく開け放ち、玄関のたたきや上がり座敷に、あるいは日頃、車を置いてある駐車場のスペースに、テーブルや床机座椅子を並べてあります。
玄関前にテーブルや椅子を持ち出して並べるなんてのもあって、その様相は家ごとにまちまち。
中にはビール壜のケースに板を渡しただけの簡単なしつらえ、なんてのもあってほほえましい。
そんなテーブルの上は、ビールにお酒、各種のつまみ、とっておきのご馳走や、なんてことない日常のお惣菜の類で埋め尽くされてます。
一軒ごとに立ち寄って、片っ端からテーブルを埋め尽くすつまみや御馳走の数々を、全部味見をしたくなる衝動に駆られます。
さて、今年の鳥越の本社御輿の渡御。
今年の三社では本社の渡御が中止。
日頃、浅草神社から仲見世の町内に本社の三つの御輿が受け渡しされるまでの間、地元の氏子連に混じって、近隣の各地から馳せ参じた面々が御輿に群がり、浅草神社、浅草寺の境内をあっちこっち。そして三つの本社御輿がそれぞれの町内に受け渡される、というのが三社の「宮出し」。
そんな三社の「宮出し」が、今年は本社の三つの宮御輿の町内渡御が中止ってことでありませんでした。そんなことから、近隣の御輿好きの連中が鳥越の本社御輿の町内渡御や「宮入り」に集結、なんて噂が鳥越祭の始まるまでに飛び交ってました。
鳥越の本社御輿といえば、三社の宮出しとは対照的に、町内渡御を終えた本社御輿が鳥越神社に収められる最後の儀式、地元の「睦」、「宮元」による「宮入り」の道中が、話題を集めてきたもんです。
というのも、「宮入り」の道中の際、それも「宮元」の道中を狙って、各地からやってきた六尺一丁の軍団が本社御輿を落とそうと襲い掛かる。地元の「睦」や「宮元」にとってははた迷惑で厄介この上ないことなんでしょうが、見物人にとっては最大の見物。しかも、御輿が落とされる場所は、毎年、あっちこっちと変わるもんで、そのやりとりが見られる場所を狙い定め、見当をつけながら見物の場所を陣取る、なんてのも楽しみです。
そんなことで、例年、鳥越祭の本社御輿の「宮入り」には、見物人がびっしり! そんな見物人の合間に、出番待ち?の六尺一丁の兄ちゃん、おっちゃんが、ひそかに紛れ込んでいたりします。 鳥越祭の本社御輿の「宮入り」ならではの光景です。
2008/06/01
春の春の広東地方の郷土料理の14
「青木宴《春編》」もいよいよ大詰め。
本格的な宴席なら魚料理で《結》ですが、気の置けない仲間同志の食事ですから、食べたいもの、美味しいものはコースのど真ん中までに。
そういえば、今回、魚介は「えび」も「魚」もなし。「蛤」だけでした。「えび」はあっても、すり身で鶏との組み合わせ。小魚や根魚などがあれば「椒鹽焗」、「蒜茸蒸」、あるいは「油浸」などの料理を組み入れたのですが。なら、口も変わって別の展開になったかも。
地方に行けば、土地ごとに面白い地魚があって、そういうのに出会うたび「これ、広東地方の郷土料理、家庭料理の調理、味付けで!」なんて思うことが、しばしばです。しかし、東京での調達は難しい。
東京に集まる魚のほとんどは、一般的に親しまれた高級魚や大衆魚が中心です。いや、築地に行けば、地方の魚も探せばあるそうで。 今度、張さん、袁さんと築地ツアーを敢行してみようかしらん。
その代わり、今回は、豚の内臓料理が充実。川越の「はぎちく」の岸さん、福臨門のキッチン・スタップのおかげです。 ほんとにお手数かけました。なんでも、このブログ、ご覧の方から、内臓を使った料理についての問い合わせもあったそう。内臓を使った料理がお好きな方、案外、多そうで、皆、その登場を待ってらした様子ですね。
そんな話を耳にすると嬉しくなります。 もっとも、今回はともかく試し、ってことで福臨門のキッチン・スタッフに無理をお願いしました。日本ではお目にかかれなかった料理にも出会えましたが、解決が必要な課題も続出。そんなことから、お勧めの料理として紹介されるのには、しばし時間がかかりそう。 広東地方の内臓を素材にした料理の数々の美味、早く多くの人と分かち合えるようになればと、願ってます。
そして、締めくくり。麵か飯。
今回は豚の内臓類が豊富にあり、ってことから豚のレバ、ハツ、ガツ、十二指腸、子袋など、内臓類をふんだんに具にした「及第粥」はいかがでしょう?という提案もありました。
「え!福臨門で「粥」?」なんて言われそうですが、あります。
香港の九龍店ではメニューにちゃんと5種、紹介されています。
それ以外の「粥」、どんな内容のリクエストも可能です。
もちろん、「白粥」だけの注文でもOKです。
お昼時、新界の大哺あたりに工場があって、九龍店にお昼を食べにやってくるお偉いさんのほとんどは、飲茶の点心などには目もくれず、例湯、小菜何品に、「粥」なんて組み合わせ、珍しくありません。
残念ながら、日本の福臨門の各店では事前の予約が必要なようですが、頼めば「粥」を作ってもらえます。
そんなことから「及第粥」には大乗り気。今回のコース内容の締めくくり、最後の「決め打ち!」にはうってつけ。
ところが、青木さん経由で、新参加の海津さん 「カレー味がことのほかお好き。カレーの炒飯などありますか?」 というリクエスト。
その話に、私もぐらっと気持が傾きました。
カレー味の炒飯、といえば、一昨年の秋ぐらいから銀座店はじめ、日本の福臨門の各店で、お勧めの炒飯として紹介されるようになった「香港風カレー炒飯」。機会を逃して食べ損ねていたからです。
「香港風カレー炒飯」、中国語の表記は「摩囉鶏粒炒飯」。
「摩囉」というのは、唐の時代、交流のあった北アフリカの回教徒のムーア人に端を発し、他方、かつての広州人がインド人を「摩囉」と称していたことにちなんでのこと。つまりは「インド風」ということですね。カレー味だからインド風。
福臨門のブログによれば福臨門の徐維均さんがケイタリングをやっていた時代、顧客からドライカレーを食べたいとリクエストがあったそうな。
「中華料理しか作ったことのない社長は考えた末、あるホテルのビュッフェでだされていたドライカレーをもとにこのカレー炒飯を考案。レーズンやアーモンド、パンが入った独特の食感と食欲をそそるカレーの香りが今でも沢山のお客様に好まれています」と紹介されてます。
「今でも沢山のお客様に好まれてます」って、一昨年の秋、銀座のメニューで見つけるまで、私、その存在を知りませんでした。
ほんと、世の中、知らない事だらけです。歳をとれば取るほど、それを実感。
って、また話がずれそうで。
この「摩囉鶏粒炒飯」、かなりのもんです!
美味、それに、風味が豊か!
まずはカレー味、風味が興をそそります。 初めて食べるのに、なんだか懐かしい味!
カレー味のせい、ですね。
そればかりか、ドライ・レーズンの甘さ、アーモンド・スライスの香ばしさ、風味が、エキゾチックな雰囲気を倍増する。
「あ、そうだ!」と、突然思い出したのは、赤坂、TBS会館の地下にあった「TOPS」のレーズン、ナッツ入りのライスで食べるカレー。
カレーそのものは、食後にはもたれる感じの重さ、くどさだったのに、レーズン、ナッツ入りのライスで食べてる時は、なんだか爽快な美味。
あれをドライ・カレーにしたら、こんな感じ?なんて、思いました。
くどさ、しつこさがなくって、重くもない。(ついでに「みかけと違って、食べるとさっぱり!」なんて書こうものなら、ほらほらTVのグルメ番組、ワイドショーのグルメ案内の「食べタレ」こと「○○タレ」と、同じになっちゃいますが、うん、そんな感じ! あ、いけない、私も似たようなもんか!)
徐社長がケイタリング時代に考案、という話にもくすぐられます。
実は、今回のみならずこれまでの「青木宴」に登場してきた料理の多くは、「福記」をきっかけに、主に上流階層の顧客を抱えるケイタリングの専門店として始まった福臨門の歴史で、伝統的な広東料理を継承すると同時に、顧客からのリクエストに応じ、独自の創意、工夫を凝らしたもの。
その背景に、香港の、それも戦後の香港の歴史が覗いて見える、ということに興奮を覚えずにはいられません。
本格的な宴席なら魚料理で《結》ですが、気の置けない仲間同志の食事ですから、食べたいもの、美味しいものはコースのど真ん中までに。
そういえば、今回、魚介は「えび」も「魚」もなし。「蛤」だけでした。「えび」はあっても、すり身で鶏との組み合わせ。小魚や根魚などがあれば「椒鹽焗」、「蒜茸蒸」、あるいは「油浸」などの料理を組み入れたのですが。なら、口も変わって別の展開になったかも。
地方に行けば、土地ごとに面白い地魚があって、そういうのに出会うたび「これ、広東地方の郷土料理、家庭料理の調理、味付けで!」なんて思うことが、しばしばです。しかし、東京での調達は難しい。
東京に集まる魚のほとんどは、一般的に親しまれた高級魚や大衆魚が中心です。いや、築地に行けば、地方の魚も探せばあるそうで。 今度、張さん、袁さんと築地ツアーを敢行してみようかしらん。
その代わり、今回は、豚の内臓料理が充実。川越の「はぎちく」の岸さん、福臨門のキッチン・スタップのおかげです。 ほんとにお手数かけました。なんでも、このブログ、ご覧の方から、内臓を使った料理についての問い合わせもあったそう。内臓を使った料理がお好きな方、案外、多そうで、皆、その登場を待ってらした様子ですね。
そんな話を耳にすると嬉しくなります。 もっとも、今回はともかく試し、ってことで福臨門のキッチン・スタッフに無理をお願いしました。日本ではお目にかかれなかった料理にも出会えましたが、解決が必要な課題も続出。そんなことから、お勧めの料理として紹介されるのには、しばし時間がかかりそう。 広東地方の内臓を素材にした料理の数々の美味、早く多くの人と分かち合えるようになればと、願ってます。
そして、締めくくり。麵か飯。
今回は豚の内臓類が豊富にあり、ってことから豚のレバ、ハツ、ガツ、十二指腸、子袋など、内臓類をふんだんに具にした「及第粥」はいかがでしょう?という提案もありました。
「え!福臨門で「粥」?」なんて言われそうですが、あります。
香港の九龍店ではメニューにちゃんと5種、紹介されています。
それ以外の「粥」、どんな内容のリクエストも可能です。
もちろん、「白粥」だけの注文でもOKです。
お昼時、新界の大哺あたりに工場があって、九龍店にお昼を食べにやってくるお偉いさんのほとんどは、飲茶の点心などには目もくれず、例湯、小菜何品に、「粥」なんて組み合わせ、珍しくありません。
残念ながら、日本の福臨門の各店では事前の予約が必要なようですが、頼めば「粥」を作ってもらえます。
そんなことから「及第粥」には大乗り気。今回のコース内容の締めくくり、最後の「決め打ち!」にはうってつけ。
ところが、青木さん経由で、新参加の海津さん 「カレー味がことのほかお好き。カレーの炒飯などありますか?」 というリクエスト。
その話に、私もぐらっと気持が傾きました。
カレー味の炒飯、といえば、一昨年の秋ぐらいから銀座店はじめ、日本の福臨門の各店で、お勧めの炒飯として紹介されるようになった「香港風カレー炒飯」。機会を逃して食べ損ねていたからです。
「香港風カレー炒飯」、中国語の表記は「摩囉鶏粒炒飯」。
「摩囉」というのは、唐の時代、交流のあった北アフリカの回教徒のムーア人に端を発し、他方、かつての広州人がインド人を「摩囉」と称していたことにちなんでのこと。つまりは「インド風」ということですね。カレー味だからインド風。
福臨門のブログによれば福臨門の徐維均さんがケイタリングをやっていた時代、顧客からドライカレーを食べたいとリクエストがあったそうな。
「中華料理しか作ったことのない社長は考えた末、あるホテルのビュッフェでだされていたドライカレーをもとにこのカレー炒飯を考案。レーズンやアーモンド、パンが入った独特の食感と食欲をそそるカレーの香りが今でも沢山のお客様に好まれています」と紹介されてます。
「今でも沢山のお客様に好まれてます」って、一昨年の秋、銀座のメニューで見つけるまで、私、その存在を知りませんでした。
ほんと、世の中、知らない事だらけです。歳をとれば取るほど、それを実感。
って、また話がずれそうで。
この「摩囉鶏粒炒飯」、かなりのもんです!
美味、それに、風味が豊か!
まずはカレー味、風味が興をそそります。 初めて食べるのに、なんだか懐かしい味!
カレー味のせい、ですね。
そればかりか、ドライ・レーズンの甘さ、アーモンド・スライスの香ばしさ、風味が、エキゾチックな雰囲気を倍増する。
「あ、そうだ!」と、突然思い出したのは、赤坂、TBS会館の地下にあった「TOPS」のレーズン、ナッツ入りのライスで食べるカレー。
カレーそのものは、食後にはもたれる感じの重さ、くどさだったのに、レーズン、ナッツ入りのライスで食べてる時は、なんだか爽快な美味。
あれをドライ・カレーにしたら、こんな感じ?なんて、思いました。
くどさ、しつこさがなくって、重くもない。(ついでに「みかけと違って、食べるとさっぱり!」なんて書こうものなら、ほらほらTVのグルメ番組、ワイドショーのグルメ案内の「食べタレ」こと「○○タレ」と、同じになっちゃいますが、うん、そんな感じ! あ、いけない、私も似たようなもんか!)
徐社長がケイタリング時代に考案、という話にもくすぐられます。
実は、今回のみならずこれまでの「青木宴」に登場してきた料理の多くは、「福記」をきっかけに、主に上流階層の顧客を抱えるケイタリングの専門店として始まった福臨門の歴史で、伝統的な広東料理を継承すると同時に、顧客からのリクエストに応じ、独自の創意、工夫を凝らしたもの。
その背景に、香港の、それも戦後の香港の歴史が覗いて見える、ということに興奮を覚えずにはいられません。
登録:
投稿 (Atom)