2009/11/22

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の8

 そして今月の面・飯は「芥蘭腊腸炒飯/腸詰と芥蘭入りのチャーハン」。
「腊腸」というのが豚肉の腸詰。で「芥蘭」というのはアブラナ科の一種で、「チャイニーズ・ブロッコリー」と称されることもありますが、厳密には「チャイニーズ・ケール」ってことになるらしい。
 その「ケール」は「青汁」のもと。ですが「チャイニーズ・ケール」は、葉もたべますけど、むしろ茎が食べどころ。それが「ブロッコリー」の茎に味も風味も似ている。だから、「チャイニーズ・ブロッコリー」と称されるようです。そのあたり、要調査。ともあれ、パリっとした触感で、こりっとした歯応えがある。くたくたに茹でるよりも、ぱり・ぽり・こりの触感を残して調理、というのが香港/広東では一般的。
 腸詰の「腊腸」は、台湾系の料理店での前菜の定番になっていますが、香港/広東では「腸詰」だけを食べる、というのは滅多になくて、野菜、ことに「芥蘭」のような茎野菜と炒めたり、炊き込みご飯、炒飯の具にします。糯米を炒めた「炒糯米飯」には欠かせないもの。
 秋の実りの収穫を終える頃、冬を迎える前に豚や家鴨を潰して各種の腸詰を作ります。なんてところは、フランス/イタリアなどでも一般的。肉食系の民族には欠かせない行事、なんですね。ということでは、本来、「芥蘭腊腸炒飯/腸詰と芥蘭入りのチャーハン」は、秋の終わりを告げる炒飯。それが今回登場、というのは、走り物、ってことになりますか。
 そして、甜品。今月の伝統的な甜品は、嬉しいことに「中秋の名月」に欠かせない「月餅」。ところが今回の月餅、伝統的なでっかいそれではなくミニ・サイズ。それも、ペニンシュラ・ホテル(あの黒服の女史のペニンシュラ・東京じゃなくって香港)の「嘉麟樓」のミニ月餅を思い出しました。
 表皮は「酥」のさくさくの感じを残しながらで、しっとり系で、頬張るとほろほろ、はらはら崩れ落ちていく感じが堪らない。柑橘の風味がする、と思ったら、後で教えられたところによればレモンの風味、だそうで。
 ミニ月餅の正式名は「檸檬奶黄月」黄味入りの餡は、緻密で上品で洗練されたもの。これまでの伝統的な点心に特徴的だった素朴な味、風味とは対照的。点心長の久保田さんの新たな側面を発見。
 う~ん、今度、「赤坂璃宮」銀座店で、日曜のブランチに点心大会、実現してみたい、なんて思ったりしたのであります。

2009/11/21

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の7

 そして「蒜子火腩魚球煲/白身魚と豚バラ肉の土鍋煮込み」。
 袁さんのこの種の土鍋料理、いつもと変わらず料理は煮えたぎっていてふつふつと音を立てながら、熱々のまんま登場。湯気がもうもうと上がってますから画像を取るのに一苦労。しかも、湯気が少しばかり収まるのを待ってなお、ふつふつと音を立ててるんですからその熱さ、想像してもらえるはず。大変なのは料理をテーブルに運んでくるアテンドの柏木さん。
 白身魚は「めろ」。それもぶつ切りなんで「魚球」ってわけです。衣で覆われていて、衣がだし入りの煮汁をしっかり吸い込んでます。頬張ると「めろ」の身がほろりと崩れる。

 「めろ」は「銀むつ」なんて名でスーパーでみかけました。もっとも、切り身ばっかりで一匹丸ごとの「めろ」はみかけたことがありません。

 検索してみるとスズキ目に属する「マジェランアイナメ」、もしくは「ライギョダマシ」ってことで、深海魚。一時「銀ダラ」の収穫が激減し、それにとってかわるものとして一般化。ところが、その「銀だら」にしても、

厳密には「たら」じゃないというからややこしい。

 私の印象じゃ「あいなめ」というよりも「たら」に近い感じで、脂肪分はたっぷり。というものの、なんだか、茫洋としていてとぼけているような味、というイメージが支配的。ですから、塩でしっかり締めてフライになんかしたもんです。

 それが、こうやって衣にくるまれて調理されれば、ほろりと崩れる身の触感、それに茫洋とした感じも薄れ、身が引き締まる感じ。
 ということでは、下拵え、塩味の塩梅、工夫ありなんじゃないでしょうか。

 「豚バラ肉」というのは、厳密には皮付きバラ肉の焼き物の「焼肉」。「焼肉」をそのまんま食べると、焼かれた皮のぱりさく感が絶妙なんですが、この料理の場合、衣で包んである。というわけで、皮のぱりさく感はくたっとなって、しっとりじゅわりの触感。さしずめ天つゆにつけた天麩羅状態なわけです。しかも、これまただし入りの煮汁を吸い込んでいて旨い。

 それ以外に干し椎茸。旨味のある味、風味は格別。加えて、見逃せないが料理名に「蒜子」とあるように、にんにくの存在。その一粒、丸ごと煎り焼きにして風味付けにされてるわけですが、それだけじゃあない。

 丸ごと一粒のにんにく。火を通せばとんがった辛味が薄れ、甘味、旨味を醸し出す。それが、この料理の味の決め手のひとつ、なのは明らかです。煮込まれてそのエッセンスを抽出した後のにんにくは、だしがら状態のはずなのに、ほくほくとしていて旨い。

 先の例湯での「百合根」に通じるところもある。香味野菜ですから、食べる必要もないのに、そのほくほく感、甘味のかすかに残っただしがら状態のにんにく、食べたくなります。

 「あ、どうしよう。にんにく食べると、匂い、残っちゃう!けど、美味しいから、食べちゃいます!」なんて声も上がったりして。でも、この料理にはすっかりにんにくのエキス、が抽出されてるわけですから、にんにく食べなくったって、同じこと、無駄な言い訳じゃないでしょうか。

 それより、この料理の味付け、だし入りの煮汁が旨い。でも、そのだし、広東料理でのこの種の料理、炒め鍋煮込みには一般的なことですけど、「上湯」じゃなくて「二湯」、つまりは二番だし?なんて感じでしたが、袁さんに尋ねたところ、案の定「ニ湯」ってことでした。そして、味付けはオイスター・ソースの「蠔油」、中国たまり醤油の「老抽」。

 日本では鍋肌に醤油を垂らして生まれる焼け焦げの香ばしさ、風味が中華らしさの特徴のひとつとして語られたりしますけど、それっていささか粗野で乱暴な調味、調理の産物。それとは対照的な「だし」と「蠔油」、「老抽」のこくのある旨味による奥深い味わい、風味が素晴らしい。

 香港じゃあたりまえ、なんですが日本ではなかなかお目にかかれない土鍋炒め煮込み料理です。それだけでも嬉しくなっちゃいます。

2009/11/20

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の6

 袁さんの「鹽焗鶏」、その実態と真相を知るべく、後日、支配人の橋本さんを通じして質問したところ、予想外の回答が戻ってきました。

 その下拵え、鶏の中に塩、エシャロット、生姜や葱などの香味野菜、香辛料に玫瑰露酒をすり込むそうです。ところが、次のプロセス、伝統的な手法では下拵えした丸ごと一羽の鶏を紙で包んで、焼いた塩で蒸し焼き、というのが一般的。

 ですが、袁さん、塩で包んだり、蒸し焼きにはせず、「鶏肉に醤油を塗って、オーブンで焼いただけ」という回答に驚きました。だから客家料理店での伝統的な手法による「鹽焗鶏」のように塩味しっかり、濃厚でな味付けじゃなく、すっきり爽快、上品な味わいだったわけですね。なりより鶏の旨さが際立ってます。

 それに葱油風の味、香りがしたことが気になってましたが、葱油ではなく「鶏の中に葱を入れて焼いている為」とのこと。取り分けられた鶏肉の小皿にはほんのわずかばかり「だし」がありましたが「だしはつかっておりません」。すると、鶏肉の肉汁が滲み出た、ってことか、それに、今回、特別に比内鶏を使ったのは「骨から出る旨味を重視」ということによるものなんだそうです。

  そうか、袁さんの「鹽焗鶏」、塩で包んで蒸し焼きにする伝統的な手法じゃなくって、新式、改良版と思わず納得。ということは、オーブンさえあれば「鹽焗鶏」は出来るんだ!それなら、我が家でも「鹽焗鶏」が出来るかもしれない!なんて無謀に思っちゃう私であります。それも、丸ごと一羽じゃなくって、骨付きの腿肉や手羽先や手羽中を使って「なんちゃって「鹽焗鶏」が作れそうです。

 もっとも、下拵え、焼き加減の按配を見るのが厄介そう。経験と年季が必要、かも。でも、プロの料理人なら袁さんの調理法にならって「鹽焗鶏」が出来るはず。なのに、日本の広東料理店では滅多にお目にかかれないのはどうしてだろう。

 日本ではなじみのない料理、なんてことと、新式、改良型の「鹽焗鶏」の料理方法が日本ではさほど知られていない、からでしょうか。伝統的な手法でなくともこれだけ美味で風味豊かな「鹽焗鶏」が出来るのに。ことに宴会料理にはうってつけ。なんとか日本で広まってほしい広東料理の一品です。

2009/11/19

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の5

 そして「鹽焗鶏」が登場! 
 私にとっては待望の一品。「赤坂璃宮」銀座店の料理長、袁さんの手になる「鹽焗鶏」、なんとか食べられないかと願ってはいたものの、「鹽焗鶏」は鶏を一羽丸ごと使ってこその料理です。ところが、月例の「赤坂璃宮」銀座店のでメンバーはその人数、増えても5~6人。なんことから、別の機会に特別に依頼するつもりが、な、な、なんとその登場が実現。私は嬉しさに大興奮!
ところで「鹽焗鶏」。
もともとは客家料理の伝統的な一品で「正宗東江鹽焗鶏」というのが正式名。

 下拵えした丸ごと一羽の鶏を焼いた塩で包み、蒸し焼きにした料理です。そんな伝統的な調理方法とは別に、調理方法を改め、味付けを軽くした「鹽焗鶏」もあり。なんせ伝統的な調理方法では塩をふんだんに使う。場合によっては塩味が濃厚。おまけに、近頃、減塩を志向する人が多くなった、という時代の要求に応じ、工夫されるようになったもの。

 さて、「鹽焗鶏」。テーブルに運ばれてきた時の香りの素晴らしさにうっとり。焼かれた鶏の香ばしさ、鶏の皮の脂やほとばしる肉汁の香りが混然一体。それになんといっても焼き上がった鶏の皮の色合いが美しい。焦げはなし。狐色が茶色がかったその色合いは黄金色というにふさわしい。思わず生唾ゴクン!となる見事な色合いです。

 皮は「ぱり」っとしたまさに「脆」の触感。噛み締めると歯がすんなり肉に入る。ですが、その肉、歯をかすかに押し返すぐらいの弾力が潜んでます。日頃、「赤坂璃宮」銀座店で食べることの多い伊達鶏のねっとりがかった柔らかさとはちょっとばかり違います。しっとり潤みのある柔らかさ、ですね。

 肉を噛み締めればジューシーな肉汁がほとばしる。同時に、鶏肉の旨味がじんわり口中に広がっていく。もっとも客家系の料理店での伝統的な「鹽焗鶏」に特徴的な塩味の濃さ、きつさは皆無。なによりもしっとり潤んだ鶏肉の旨さ、風味が際立ってます。

 食べ進めるうち、気になったのは鶏の肉質、触感、味、風味。いつもの伊達鶏とは明らかに資質、持ち味、異なります。肉はしっとりなのに、いくらかの弾力があり、なおかつ、ジュージーで旨味がある。加えて、葱の風味のある油、旨味を感じたのも印象的でした。

 ふとメニューを見直すと「家郷鹽焗鶏/比内地鶏のオーブン焼き」なんてある。「そうか、いつもの伊達鶏とは違うわけだ!けど、なんでまた比内鶏?」

2009/11/17

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の4

 続いて「白果百合泡蝦仁/芝海老と銀杏・百合根の炒め物」。
 これぞまさしく秋ならではの一品。
 海老、銀杏、百合根に、セロリ、グリーンアスパラも素材です。

 「この百合根のほくほくした感じ、甘味がいいですね!」
 「それにこの銀杏も旨い。触感と味、風味がいいですね。
 ほら、焼き鳥屋で焼いた銀杏を食べると、香ばしくて、ぷちぷち、ぎしぎしっとしてて、噛み締めると渋みやほろ苦さがあって、独得の甘味、風味がでてくるでしょ?

 それが、茶碗蒸しだとか、ひろーす、ほらがんもどきね、あんなのに入ってて、蒸したり、煮込んだりすると、甘味がたって、噛み締めるとクリミーだったりするでしょう? それが、こうやって炒めると触感とか、味、風味がびみょーに違いますね。このぎしぎしとした触感って焼いたのに似てるけど、ぷちっと弾けるような感じじゃなくって、しっとりねっとりとした弾力があるよね。それに渋みやほろ苦さが消えて、甘味、それにクリーミーなかんじがするし」

 「銀杏もいいけど、この百合の根、ほんとに美味しい。でんぶん質ですね、この甘味。それより、百合根にしろ銀杏にしろ海老にしろ、火の通し方が素晴らしいですね。ウチジャア絶対出来ないプロの技。それに、味付け、すっきりとしてて、上品ですごく洗練されてるのね。これも、ウチじゃ絶対に不可能!」

 なんて、私が言おうとしたこと、先取りされちゃいました。
 そう、火の通しから、味付けは、まさにプロの技。それより、この手の料理、日本の一般の広東料理店だと、仕上げにとろみのあんかけ、なんてのがほとんどです。それが、中国料理、広東料理ならではの味、調理だと思いこんでる人、料理人をふくめての話ですけど、少なくない。

 はたせるかな袁さんの手になる「白果百合泡蝦仁/芝海老と銀杏・百合根の炒め物」、画像をみれば明らかなように、こってりたっぷりのとろみつけなんかなし。海老にしろ、百合根、銀杏、セロリにアスパラ、それぞれの素材の味がはっきりとわかる。

 とろみで最後に仕上て、素材を味付けで食べさせるんじゃなく、素材の持ち味を引き出し、風味を生かすのが広東料理の真髄、なんてことがこんなごくオーソドックスな炒めものの一品でよーくわかります。

2009/11/04

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の3

 「これって旨いよね。素材の味、そのまんまだし」
 「この自然な甘味って、蓮根の澱粉質でしょ?たっぷり濃厚で、風味があるのに、決してくどくないし、おしつけがましくないのね」
 「甘味、旨味、こくは豚のタンからもたっぷりだね。豚の舌の脂肪分の甘味、旨味じゃないかな。豚のタンって、焼くだけじゃなくって、こうやってスープにすると旨味のあるだしがとれるんだね」
 「それに牡蠣の味がする。メニューに書いてある「蠔豉」ってのがそれ、牡蠣を干したものです。それに「髪菜」も入ってる」
「このやわらかい髪の毛のようなものですね。これって?」
「ねんじゅも属の藍藻の一種、だったはず。陸モズクというか、いしくらげの変種だったと思います。草原などで繁殖してるのをかき集めて採取するんだけど、表土も一緒にさらっちゃうから環境問題にもなって、たしか、採集禁止にもなって、今では貴重品のはずですよ」

 その「髪菜」、広東語では「發財」の発音と似ていて、その意は「財をなす」。それに干し牡蠣の「蠔豉」は「好市」の発音と似ていて、その意は「よき市場」、つまりは、好景気ってことですね。そんなことから「髪菜」と「蠔豉」を組み合わせた料理は縁起担ぎの一品として、春節、つまりは旧正月には欠かせないメニューです。

 そればかりか豚の舌の「豬脷」の「脷」は「利」、つまりは利益、儲けがあるということに由来する広東地方独得の表現。それに「蓮根」も、丸い穴が通っていて先行きが明るい、なんて意味がある。
 つまり、今回のスープの「髪菜蠔豉豬利蓮藕湯/豚タンと蓮根のスープ」は、縁起をかついだおめでたいものづくしの一品。というわけで、本来は春節などに食べる伝統的な郷土料理。
 そういや、秋の収穫を終えたおめでたい時にも、なんて話を耳にしたことがありますが、もしかして今月登場したのはそんなわけかも。
 今度、袁さんに尋ねておきます。 

2009/11/01

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の2

 今月のスープは「髪菜蠔豉豬利蓮藕湯/豚タンと蓮根のスープ」。
 「猪利(豬脷)」とは「豚のタン」。日本では焼き肉にするのが圧倒的なようで。そういえばフレンチ、イタリアンでもたまに見かけることがあります。
 牛や豚の内蔵類。とことん食べつくしてしまう広東人の場合、焼いて食べるというよりもスープや煮込みにすることが多い。そんなわけで、今回は旬の素材、これからがうまくなる「蓮藕」つまりは「蓮根」と組み合わせたもの。
 「蓮根」も広東地方ではいろんな料理に使われます。が、スープの素材になる、なんてところが日本とはちょっと違うところ。日本で思いつく「蓮根」の料理といえば、すり流しなどは別にして、ほとんどを占めるのがしゃきしゃきの歯触りを生かした料理じゃないでしょうか。もっとも、筑前煮なんて場合にはほくほくの触感が味わえる。
 そんな「蓮根」、広東人の場合、しゃきしゃきの歯触りよりも素材の持ち味を生かして調理するというのが一般的なようです。例えば、澱粉質がたっぷり、なんて効用を生かす。そのあたり、慈姑なんかも含めて根菜類の扱いにも共通することです。
 それにこれまで何度か紹介してきた「蓮藕餅」。日本で「蓮根」の揚げ物といえば、たとえば天麩羅のそれや蓮根の挟み揚げなんてのが一般的。それが広東料理だと「蓮根」を擂り潰し、豚の挽き肉などと混ぜ合わせ、ハンバーグ状にして煎り焼きにする。
 「蓮根」を擂り潰す際に、しゃきしゃきの歯触りを残すあら微塵にするか、それとも、徹底的に擂り潰すかで、出来上がりが違います。そう、しゃきしゃきの歯触りを残した硬いか、それとも、ねっとり感のある柔らかいものになるのか。ちなみに、香港の広東料理店で「蓮藕餅」を注文すると、決まって多いのが硬目のものです。
 そんな「蓮藕餅」もさることながら「蓮藕(蓮根)」はやはりスープの具材。ことに「例湯」や「煲湯」の具材のひとつになります。長時間煮込まれた「蓮藕(蓮根)」は、ほくほくを通りすぎて「かすかす」の抜け殻状態。そのエッセンスはすっかり「湯(スープ)」の中にあり、というわけです。