2009/11/19

秋半ば&待望の「塩焗鶏」~09年10月の「赤坂璃宮」銀座店の5

 そして「鹽焗鶏」が登場! 
 私にとっては待望の一品。「赤坂璃宮」銀座店の料理長、袁さんの手になる「鹽焗鶏」、なんとか食べられないかと願ってはいたものの、「鹽焗鶏」は鶏を一羽丸ごと使ってこその料理です。ところが、月例の「赤坂璃宮」銀座店のでメンバーはその人数、増えても5~6人。なんことから、別の機会に特別に依頼するつもりが、な、な、なんとその登場が実現。私は嬉しさに大興奮!
ところで「鹽焗鶏」。
もともとは客家料理の伝統的な一品で「正宗東江鹽焗鶏」というのが正式名。

 下拵えした丸ごと一羽の鶏を焼いた塩で包み、蒸し焼きにした料理です。そんな伝統的な調理方法とは別に、調理方法を改め、味付けを軽くした「鹽焗鶏」もあり。なんせ伝統的な調理方法では塩をふんだんに使う。場合によっては塩味が濃厚。おまけに、近頃、減塩を志向する人が多くなった、という時代の要求に応じ、工夫されるようになったもの。

 さて、「鹽焗鶏」。テーブルに運ばれてきた時の香りの素晴らしさにうっとり。焼かれた鶏の香ばしさ、鶏の皮の脂やほとばしる肉汁の香りが混然一体。それになんといっても焼き上がった鶏の皮の色合いが美しい。焦げはなし。狐色が茶色がかったその色合いは黄金色というにふさわしい。思わず生唾ゴクン!となる見事な色合いです。

 皮は「ぱり」っとしたまさに「脆」の触感。噛み締めると歯がすんなり肉に入る。ですが、その肉、歯をかすかに押し返すぐらいの弾力が潜んでます。日頃、「赤坂璃宮」銀座店で食べることの多い伊達鶏のねっとりがかった柔らかさとはちょっとばかり違います。しっとり潤みのある柔らかさ、ですね。

 肉を噛み締めればジューシーな肉汁がほとばしる。同時に、鶏肉の旨味がじんわり口中に広がっていく。もっとも客家系の料理店での伝統的な「鹽焗鶏」に特徴的な塩味の濃さ、きつさは皆無。なによりもしっとり潤んだ鶏肉の旨さ、風味が際立ってます。

 食べ進めるうち、気になったのは鶏の肉質、触感、味、風味。いつもの伊達鶏とは明らかに資質、持ち味、異なります。肉はしっとりなのに、いくらかの弾力があり、なおかつ、ジュージーで旨味がある。加えて、葱の風味のある油、旨味を感じたのも印象的でした。

 ふとメニューを見直すと「家郷鹽焗鶏/比内地鶏のオーブン焼き」なんてある。「そうか、いつもの伊達鶏とは違うわけだ!けど、なんでまた比内鶏?」