2009/08/30

夏・真っ盛り!09年8月の「赤坂璃宮」銀座店の4

 そして「八寶冬瓜盅 五目入り冬瓜の器入り蒸しスープ」が登場!!!!!!!!!!!!
 実はテーブルに付いて本日のメニューを見た時、この料理を見っけて思わず絶句。

 先月、懐かしい「火焔酔翁蝦/活車海老の紹興酒おどり特上スープ湯引き」をメニューにみつけ、目の前にした時も驚き、興奮しましたが、今回のそれは前回を越えるものでした。

 もともと神戸に生まれ育った人間ですから、子供の頃、夏場には「鱧」と「冬瓜」が食卓に。ことに「冬瓜」は頻繁に登場。というわけで、今になっても欠かせない夏の素材のひとつ。そんな「冬瓜」を素材した料理に香港で出会った時は嬉しかったですね。

 もっとも一般の広東料理店で食べられる冬瓜の料理の種類は限りもある。むしろ「冬瓜」の変種、未熟果の「節瓜」を素材にした料理が一般的。ところが、日本では「節瓜」の入手は難しい。

 そして「冬瓜」を素材にした料理の中でも、その極めつきとも言えるのが「冬瓜」の丸ごと一個、器に仕立て、様々な具材を入れて上湯を加え、長時間湯煎蒸しにした「冬瓜盅」。宴会料理の華にもなる豪華な一品。

 私も試したことがあります「冬瓜盅」。
 もっとも、さすがに大ぶりの「冬瓜」は、我が家にそれを蒸すだけの器具がありませんから、小ぶりの冬瓜がゲット出来た時に限ります。しかも、中の種をくりぬいた後で、冬瓜特有のあくというかクセをとる作業に手間がかかります。

 そんな「冬瓜」の下拵えだけでなく、だしの上湯作りを入念にするとなると、これまた手間隙かかります。ですが、出来上がった時の充実感、その美味は格別。とはいえ、具材の工夫はともかく、「冬瓜」の下拵え、だしの「上湯」は、素人のお手製のなんちゃって!ですから、やっぱりプロの技で仕上られた「冬瓜盅」を食べたい。 厄介なのは、そのサイズ、量からして、頭数揃った宴席じゃないと、叶えられない。

 「赤坂璃宮」銀座店のサイトの「今月のおすすめ」に「八寶冬瓜盅」を見つけて以来、興味津々。そのうちに試してみたいと思っていた料理です。なんてことで驚き、喜び、興奮もひとしお。実際、他のメンバーもテーブルに運ばれた「八寶冬瓜盅」を前にして、歓声を上げるよりも、こぼれたのは驚きのため息!でした。

 「冬瓜」の芯にある種を取り除き、果肉を残して下拵えし、具材と「上湯」を入れて湯煎蒸しにした「冬瓜盅」。切り込みのある「冬瓜」の果肉の上に乗っかっているのは、ローストした家鴨の「焼鴨」の肉片、蓮の実の「蓮子」、干し貝柱です。それに、角切り状の冬瓜の果肉が覗いて見えます。具材としては豚腿肉の「痩肉」、むき蝦に新鮮な貝柱。ということからすると新鮮な魚介を素材した「海鮮八寶冬瓜盅」という趣向です。

 その昔、具材としては干し貝柱、干し蝦などに家鴨、豚の内蔵類を入れたものが一般的だったとか。その後、新鮮な魚介を具材にしたもの、さらには、フカヒレだけのものなども登場。それについては、以前、福臨門の「生翅冬瓜盅」で紹介してきた通りです。

 具材の内容もさることながら、肝心なのはだしの「上湯」。これがすっきり、爽快、清廉な味わい。塩味、ぎりぎりの一歩手前で、控え目。まさに「清淡」、あっさりという表現がぴったり。新鮮なむきえびはともかく、この料理で新鮮な貝柱が具材になっていたのは初体験。こくのあるひねた旨味、風味を醸し出す干し貝柱とは対照的に、火が通って生みだされるほのかな甘味、なめらかな触感は、新鮮な貝柱ならではのもの。

 それよりも、だし「上湯」やら具材の旨味をふんだんに吸い込んだ「冬瓜」の果肉。口に運べば、まずはざらっとした触感。しかも、煮込まれ、いわばざっくりとスポンジ状になった「冬瓜」の果肉から、だしがじゅわじゅわと滲みでる。快感です。清々しくて爽快。心が洗われるような清廉な味わいと風味。 思わず、お代わり!

 アテンドの柏木さん、部屋にいなっくて、柏木さんを待ちきれずに、勝手に取り分け。いやしいことこの上ないオヤジです。そんな私の手前勝手な振る舞いに目を丸くしながら、スックと首を伸ばし「あ、おれも!おかわり」なんてYさん。心強い食いしん坊、いやしん坊仲間です!

 誰もが「八寶冬瓜盅」の美味、風味に唸ったのでありました。
 袁さんの手になる「八寶冬瓜盅」は、若々しく溌剌としていて凛々しく、清々しい。
 「冬瓜」の持つ素朴で純な持ち味を生かし、引き出す「上湯」の塩梅は、“家郷菜”を下敷きにしながら、プロの料理人としてのワザと工夫がある。新鮮な魚介を素材に加味、なんてところも袁さんならではの持ち味、趣向と言えるかも。

 それにしても、いつまでも熱いまんまの「冬瓜」のスープ。食べ進み、一杯を食べ終えてしばらく、ほっと心地よいなんてことより、なんだか体の熱気が次第に冷め、体中が爽快感に包まれていく感じ。
 「冬瓜」の効用を実感しました。

2009/08/29

夏・真っ盛り!09年8月の「赤坂璃宮」銀座店の3

 さて「赤坂璃宮」銀座店、袁さんの手になる「広東沙律蝦 海老の広東風サラダ」、すっきり爽やか、夏にこそふさわしい爽快で涼しげな一品。 画像でも明らかなように、茹で海老、キウイ、リンゴの賽の目切りにドレッシングが和えてあって、傍にマスカット、檸檬とライムのスライス。最初、大皿に盛られて運ばれた時、素材を覆いつくしていた「沙律醤」。みるからにぼってり、こってり、カロリー高めな印象。

 ところが、小皿に取り分けられた時には「沙律醤」の量は良い加減。涼しげどころか、口に運べばその冷ややかな口あたりに、思わず頬が緩みます。海老の甘味、さらに、キウイとリンゴを噛み締めればの自然な酸味、甘味も相まって「沙律醤」はくどさなんてみじんもなし。この料理そのものの味、風味は、すっきりとしていて爽快。

 「夏ならではの一品ですね」なんて声が聞こえます。
 誰もが、あっという間にたいらげました。
 もっとも、「夏・真っ盛り」の宴の序の口、その始まりを告げる一品に過ぎなかったのであります

夏・真っ盛り!09年8月の「赤坂璃宮」銀座店の2

 そして「広東沙律蝦 海老の広東風サラダ」。
 ワオ!懐かしい料理の登場です。 香港の広東料理が栄華を極めた80年代、一世を風靡したのが「新派広東」。
 「新派広東」にはおおよそ2派ありました。ひとつは伝統的な広東料理、郷土料理の今日的再現。要は中産階級を中心として食の消費が高まり、かつて一握りの人々だけのものだった高級素材を使った郷土料理の復活。

 たとえば、SARSの一件でアウチになってしまった「果子狸/はくびしん」などの野味料理はその典型。もうひとつは、欧米に加え、日本の和食の素材、調理方法などをとりいれた創作的な志向によるものです。

 そんな「創作的趣向による新しい広東料理」の一品として話題になったのが「沙律醤」で調味した料理。それも、一時、大衆的な広東料理のメニューにも乗っかるなど「広東新派」の代表的な料理として浸透。もっとも、その評価は賛否両論、まっぷたつに別れたものでした。

 「沙律醤」というのは、要は「サラダ・ドレッシング」ってことです。80年代、新派広東が一世を風靡した香港で、創作的な料理を模索、実践した料理人が「サラダ・ドレッシング」を積極的に起用。海老をはじめ茹でたり、揚げたりした海鮮にその種のソースを添えた。

 早い話、シュリンプ・カクテルの中華料理版的趣向、ですね。そこで目立って多かったのがマヨネーズをソースの主体、下地にしたもの。意欲的な料理人は、ただマヨネーズを使うだけでなく、いろいろ工夫を凝らした。フレッシュ・フルーツを切り刻んで海鮮ものと組み合わせる、なんてこともありました。

 ところが、そうした流行に遅れまじと、街中の広東料理店でもその種の料理が登場。なんて時、まんまマヨネーズをそのままどばあ!なんてのも登場。以前、私が「沙律醤」をマヨネーズとして紹介したのも、そんな理由があってのこと。厳密にはいろいろ種類があって、やがては「千島醤」(そうです、サザンアイランド・ドレッシング、ってことです)と具体的に表記することも。ですが、大抵の場合、基本はマヨネーズでした。

 思い出します。かつて香港に食の取材にでかけた際、仕事を終え、次なる取材の下調査をかねてとある店で食事を取ったときのこと。そこで登場したのが表面がびっしりマヨネーズが覆われた海鮮の冷菜。テーブルのど真ん中に置かれたその一皿を目の当たりにして、其の場居合わせ誰もが絶句。

 沈黙を破ったのは「誰がこんなもん注文したワケ?」 というかん高いスタッフの詰問の声。
 一瞬にして座は凍りつきました。 そこでひとり真っ青な表情をしたコーディネイター兼通訳のTさんがオドオド顔。

 「いや、あの、これ、今、香港で話題の「新派広東」の料理で、今回の企画にはにうってつけかな、ってことで。あ、あの、クーポン券がありましたので注文しましたから、これ、無料のサービスです!」と。どうやらTさん、後で聞いた話によれば、他のいくつかの雑誌の取材の折、女性誌の編集、ライターから「わ、素敵!これってヌーベル・シノワ? フルーツも使ってあるし!」なんて評判だったことから、私の取材でもウケる違いないと思ったそうで。

 「あのう、勝手に取材の料理、決めないでくれます?こっちは、きちんと下準備して、料理選んで、リストを作ってるんだし!」と言いたいのをぐっと我慢。お世話になってますから。
 凍りついた場面を和らげるには、私が率先してその料理に手をつけ、その座をとりなすしかない。なんてことで、全員(ひとりマイナス)固唾を呑んで私の一挙一動に注目。

 口にして、私は絶句。なんと評していいものか、言葉を見つけられずに、しばし沈黙。ようやくのことで「このマヨネーズ、酸味が利いてていいんじゃない?ダーキーかな?」。
 その後、マイナス一人、以外、誰ひとりとして、その皿に手をつけるものはいませんでした。

 「沙律醤」、ことにマヨネーズを調味に使った料理を斬新で奇抜な「新派広東」として売り出したのは、実は、流行に便乗した2番手、3番手の店。それを間に受けて「最新の料理です」と紹介してくれた通訳&コーディネイトのTさん。香港における、そして、中国に「沙律醤」、ことにマヨネーズがいつ、どうやって持ち込まれ、どうやって浸透していったか、なんて知識、まったく持ち合わせていなかったのですね。

 それにフルーツ、東南アジアのトロピカル系のそれや、日本、欧米からの輸入ものが広東料理で使われるようになったのは近年になってからですが、それ以前、地元、広東及びその周辺、中国各地の果物は、とっくに料理に使われ、日常化していた、ということもご存知なかったという次第です。

 マヨネーズと中国、中国料理の関わりということについては、中国におけるトマトケチャップとの関わり、その歴史にも関係して、実は面白くて興味深いテーマです。そもそのも発端は上海にあり、というのは、近代、現代における中国料理の変遷をテーマに研究を重ねる人々の間での研究課題のひとつになっている、なんて話も耳にします。

 香港の場合、ことに第二次世界大戦後、日本の統治から英領に復活して以後、自由主義社会として欧米の生活物資が輸入され、一般化していった。というような歴史的背景もあって、マヨネーズ、ま、最初は富裕階層などを中心に、後には中産階級家庭においてもキッチンの必需品ともなり、「マヨネーズ和え」というのはすでに馴染みの料理となり、だった、という事実もあったわけです。

 それが、広東料理店で「新派広東」の料理の一品の調味料として脚光を浴び、表舞台に登場。そんなところでそれを最初に起用した料理人、やはり「沙律醤」をそのまんま料理にかけて提供したわけではありません。

 素材の調理、組み合わせ、さらに「沙律醤」にひと味、ふた味、工夫を凝らした。「沙律醤」だけじゃなくって「千島醤」、そうです、サザンアイランド・ドレッシングですね、そういうのにも着目して、調味に工夫を凝らした。そんな工夫のもとに生まれたソースを様々に活用。 そういえば周富徳さんが看板料理のひとつにした「蝦のオーロラソース和え」、なんていうのはそんな香港の創作的な志向による「新派広東」をヒントに生まれたものだったのは明らかです。

 かつて「沙律醤」といえば、すなわちマヨーネーズ、だった状況は、現在では一挙に様変わり。それに大きく貢献してきたのが、実は日本から輸入した各種の市販のサラダ・ドレッシングの類。「胡麻風味」なんて、「芝麻醤」があるんだから、香港人がとっくに工夫、創作してよさそうなものなのに、日本製の市販品が登場するまで、生まれなかったなんてところが面白いです。

2009/08/28

夏・真っ盛り!09年8月の「赤坂璃宮」銀座店の1

 今年の夏、なんだか蒸し暑いだけで、すっきり、くっきり、はっきりしない夏。カキーンと青空にギンギラのまぶしい太陽!なんて感じの夏日、出会えないまんま、なんだか夜になると秋の気配。そよ風がそれを物語ってます。

 今月の「赤坂璃宮」銀座店のメニューは、なんだか変、いつとは違った今年の夏にうってつけの内容でした。汗よりも湿気がべっとり肌にまとわる蒸し蒸しの日々に、ダラ~ととウダけた体を浄化し、肉体と精神をキリリと引き締め、滋養の補給も怠りない、なんて感じの料理がずらり。
 まずは「脆皮焼腩肉 皮付き豚バラ肉のクリスピー焼き」。

 今月は各種焼き物の取り混ぜじゃなくって「焼肉」だけの前菜。「焼肉」が大好物のi-podさんに恨まれそうだ。それも「溶き芥子」と「砂糖」が小皿に添えられて登場!
仔豚の丸焼きに「砂糖」というのはよくあることです。

 カリカリに焼かれた皮の部分に砂糖をつけて食べると旨い。北京ダックも胸下の皮だけの部分なども「砂糖」をつけて食べると旨し。ですが、なんで「溶き芥子?」。

 香港では体験なし、私にとっては今回が初体験。

 そうか、これは脂身と肉の部分につけるんだ!ってことで「溶き芥子」をちょびっとつけると、脂身の旨味、甘味にピリリのひりから味が加味されて、甘味がしまります。

 そういうことか!

 そんな「脆皮焼腩肉」とともに前菜の焼き物として「辣焼猪爽肉 トントロの釜焼き」が登場。

 「トントロ」!近頃、焼肉屋で人気のメニューのひとつだそうです。近所のスーパーでもパック入りの「トントロ」をみかけます。ですが、私は日本の焼肉屋では未体験。スーパーで買ったこともありません。

 スーパーなんかで売られてる「トントロ」。その見かけ、なんだかばら肉の一部のようですが、厳密には顎から肩にかけての首根っ子の部分。ということで、頬肉などと同じく肉の部位じゃなく、モツ、内臓の類扱い。

 脂肪に包まれていて形状は平ったい。肉そのものは掌2倍程の大きさで、横からみるとその端っこは尖角状で次第に幅をましていく。といっても、厚いところで3センチほど。しかも、肉、霜降り状にサシが入ってるのが特徴で、焼いたりするとその脂がとろけ落ちる。余計な脂がおちた後の肉は、甘味ほどほど、すっきりの感じで、最初の見かけからするとさっぱりの印象。というのが人気の秘密だそうで。

 そんな「トントロ」を釜で焼くアイデアを思いついたのは、なんと袁さん。日本ではモツ、内臓扱いの部位の「トントロ」ですが、香港ではその味わいから「爽肉」、中国本土では部位の名称そのまま「頸肉」ってことで知られてきたそうです。

 で、その下拵え。「トントロ/爽肉」がの周りは脂肪。しかも、肉質はサシがたっぱり入った霜降り状態。という特徴、持ち味を考慮。ちなみに、袁さんによれば今回は「食紅・辣椒粉・砂糖・塩・蒜粉・レモングラス」で下拵えし、釜で焼いたもの。

 リッチな焼き豚!というのがその印象。霜降り状の脂が焼き落ちたものの、しっとり感のある歯ざわり、触感で、かみしめるとほのかにじんわり甘味が浮き上がる。

 一緒に用意されたのは先月の「白切鶏」のタレ同様、醤油ベースのタレできりりと肉の味、甘味を引き締める。しかもそのタレ、めりはりが利いていて、ちょっと角ばった感じ。どことなく。日本の中華料理での醤油使いに似てる印象。















 甘味はOK。ですが、もうちっとおだやかさ、まろやかさと酸味がもう少し、なんて印象。醤油が立ってるようで、付けたれとしての香り、風味がいまひとつ、なんて思いながらも「トントロ」、しかも、一味唐辛子の粉を使って辛味を特徴付けた、なんてことからすると、これはこれでokなのかも。

 なんてたって「トントロ」の登場に驚いたのでありました。

2009/08/27

閑話休題~カンピロバクターの2

 表面を炭火で炙っただけで、中はレア。さながら「たたき」状態だった「わさび焼き」が以前とは変わっちゃった、というのも「カンピロバクター」のせい、だったのですね。

 そして、新製品の「インナーマッスル」。
 考えてみりゃ「新製品」というのはなんだか変。全然変。
 「新しいメニュー」っていうのが正しい表現だったことに、こうやって書きながら気づきました。
 でも、和田さん(数寄屋橋の焼き鳥屋さんの御主人です!)そんな風に言ってましたもんで、つられて私も「新製品!」と!
 見かけ、胸肉の塩焼きのよう。ですが、噛み締めると弾けるものがある。
 「インナーマッスル」というからには筋肉だけのはずなのに、ジューシーな肉の味わいだけでなく、ひそんでいた脂が、炙って焼かれて零れ落ちる寸前に身に残っていて、ぷちぷちと弾ける感じ、なんですね。

 ここの「ソリ(レス)」が楽しみなのは、ぷくんぷくんに肉が膨らんで、噛み締めると肉汁とともに脂が弾けとぶ。あの快感をあじわいたくて、だからこそ酒を頼む前に「ソリ(レス)」がありやなしやと、思わず口がつく。

 「これ、いいじゃない!」。
 「でしょう?」といわんばかりに和田さんもニンマリ。
 「もう一本!」といいかけて
 「あ、そか!、一羽に4本だけの貴重品!」ってことに気づいて、言葉を飲み込んじゃいました。

閑話休題~カンピロバクターの1

 22日、明治座で石川さゆりの「2009コンサートツアー」の夜の部を観賞。
 「天城越え」。
 ストップモーションをリアルに再現してくれるエンディングの見得。最高の見ものです。
 思わずリプレイをクリックしたくなったりして。

 新曲「桜夜」、第一部、第二部で2回披露。 その第二部での「桜夜」の最後のサビ、だっだっだっだと爪先立ちで客席に迫っていく歌の踏込みが、実にスリリング。今週金曜日、朝日新聞の夕刊、文化欄にステージ評が掲載されますので、詳細は後日。

 終わって、担当氏と打ち合わせを兼ねて一杯。明治座は浜町ですから近場なら人形町。浅草も近い。ですが、思いあたる店、お休みの様子。なら、国際フォーラムの公演の後と同じになっちゃいますが、数寄屋橋で焼き鳥。

 久々の訪問です。
 到着早々、酒を頼むよりも前に「ソリ(レス)」の有無をチェック。

 だって「ソリ(レス)」が食べられないなんて、ここに足を運んだ意味がない。

 「あります。でも、ボンボチは終わっちゃいました!」
 「ボンボチはなくてもいいです。「ソリ(レス)」さえあれば!」

 「それと、あの、新製品があるんですけど!」
 「は?新製品って?」
 「いや、あの、背中の付け根のところにある筋肉、2本あるんですけど、一羽で都合、4本」
 「それがあるわけ?いきます、いきます、それ、それ。で、なんていう部位!」 
 「いや、一応、インナーマッスルってことで!」 
 「インナーマッスル?」と、思わず復唱!
 「ふ~ん」となんだかその名称に、一瞬、疑惑の眼差し。
 でも、試さない手はありません

 それから他にあれこれ注文
 「ね、刺身、メニューから消えちゃってるけど!」
 「いやあ、あの、それ、あ、ご存知ないですか。ほら、カンピロバクター食中毒の一件があってから・・・」
 「す、すんません、もっぺんお願い、なんだって?カンなんだっけ?」
 「カンピロバクターです。で、生肉関係は控えるってことで・・」
 「なるほど、私、近頃、外食から遠ざかってる上に、焼き肉関係とか全然、でかけませんから、そういう事情にうとくって」。
 なんてことで、最近の焼き鳥、焼き肉店での生肉事情を知りました。

 ここでは“とりあえず「ビール」”に匹敵する“とりあえず「わさび焼き」”。
 さっと炙った胸肉とわさびの鼻つん、それにひりが・・・
 のはずが、あれ?あれ?なんだかこれまでと様子が違う!

 肉はしっとり、ねっとりじゃなくって、繊維質。しかもチュウイー。噛み締めれば、甘味が次第に浮かび上がる。その甘味と、鼻つん、ひりとしたわさびの相性がいい。これまで未体験の新しい美食世界に頭をつっこんだ感じです。

 「ね、わさび焼きって、こんなにチュウイーで、噛み締めると甘い味がしたっけ?しかも、今までと違う甘い味。火が通した肉の甘味、旨味、風味なんだけど、なんだか新世界!」
 「いや、ほら、レアじゃないからじゃないですか?」

 言われて、「あ、そうか!」と納得。
 これまでの「わさび焼き」、表面炙って、中はレア。いわば「たたき肉」状態。
 それが、今回のは、火をさらに通してある。そんなことに気づかないなんて、私もいい加減、大雑把な人間です。

 言い訳じゃないですが、火の通り加減、ミディアム・レアの手前ぐらいで、噛み締めればチュウイーながら、ジュシーな肉汁が浮き立つ。レア状態よりも甘味が立つ感じ。塩の加減、そう、按配も見事です。そこに生まれた未知の美味の世界に入り込んじゃいました。ですから、かつてわさび焼きは、たたきそのまま、中はレア、なんてこと、すっかり忘却の彼方、だったという次第であります。

2009/08/23

閑話休題~蒸し暑い夏。今年もいつもと違う変な夏。去年よりも変な夏の2

 「鮑、切ってくれる?」。
 「どうします?硬いとこがいいですか?それとも柔らかいとこにします?」
 「あ、ちょっと待って!塩蒸しと生があるんだ。ここで生の鮑を食ったことあったけ?」
 「何言ってんの、昔から食べてたじゃない、両方!」
 「そうだっけ?ま、いいや。最初は塩蒸し!」
 なんて按配で、千葉の大原の鮑の塩蒸しのぶつ切り。
 
 ねっとりと歯にまとわる柔らかさ。
 「ええ、そこんとこ、殻にくらいついてる根っ子のとこです。甘いでしょ?」
 「うん、甘い。だけじゃないのね、香りがいいね。ね、もうちっと鮑食べたいな」
 「じゃ、これ!どうです?歯の丈夫な人はこんくらい硬いのがお好みなんですけど」
 わお!生の鮑はコリコリ!ことに端っこのとこは堅物でコリコリ。
 「生もいいけど、やっぱ俺は塩蒸しだな」
 「食べた後で、いつも同じこと言うんだから、もう!」
 「じゃあ、たこ、切って」

 鮨に突入。
 最初はこはだ。














 しっかり2枚、身に纏ったこはだ。
 それから、しまあじ。
 いか。















 「鯵が美味しい!」と隣はうっとり顔。
 「どこ?」
 「内湾ものです。いいでしょ、今日の鯵!」
 「今日のベストかも!」
 なんて話に惹かれて
 「じゃあ、鯵!」














 なるほど。これは旨いや。
 脂が乗ってて、旨味が舌にぐんとのしかかり、香りが口中に広がります。
 「確かに、ベスト。でも、まだ食べてないものがあるし・・・
 う~ん、じゃ、ちょっと舌を変えたいから、すずき。どこ?」
 「常陸です」。
 すっきりと爽やか。
 ですが、もちっと切り方、厚みのある方が爽快感を増したかも。

 「まぐろにします。えと、最初、赤身。中トロとトロの按配どう?」
 「そですね。う~ん、じゃあ、中トロ、トロ、一貫ずつにします?」
 「そね、あとで鉄火巻き食べるし」



















 「わお、なんだこれ、いつもより、2ミリ厚いじゃん!」。
 赤身を食べて驚きました。
 「なんで2ミリなの?そんなの、わかるわけないでしょうが。知ったかぶりしちゃって!」と、隣が声を上げます。
 「だって、舌触りが違うもん。いつもより厚いから。これ、絶対に2ミリ厚い!その分、味も香りも際立ちますね」
 「そんなことあんですか?」と、隣は付け板のむこうに尋ねます。
 「ええ、まあ、夏場ですし。いつもに比べて、ちょっと厚く切ってます」。
 「へ~、そんなことあるんだ」。
 「だから言ったでしょ?どんな魚も部位や状態で、ネタの厚みは切り分けてるって。それも季節に応じて、ね。食べてりゃ、わかるでしょうが!」。

 「いえ、まあ、食べて美味しいと思ってくれるように切ってるだけですから」。
 「そうね、美味しければいいよね。でも、鮨のうんちく語る人なら、美味しさの秘密、理由を探ってほしいよね。それが仕事なんだし。わかんない人、気づかないって人っていますから。(ネタの)切り方、厚みとか、部位とかによって変えてる、季節によって切り分けてるって」。

 「お、中トロとトロ、可愛く並びましたね」



















 「なるほどね。これなら、赤身がいいや!あとで鉄火を食べるから!
 「じゃあ、たこ」
 「詰めにします?」
 「うん。それからあなご、ね!」
 「私も!」
 
 「おお!3貫並んで、大阪の鮨みたい!」
 「へー、大阪じゃ3貫なんですか?」
 「そう、一皿に3貫」
 「でもね、最近、江戸前風とかで、2貫とか、なんでだか1貫の店もあるらしい」
 「うちでもいろんなもの食べたいからって、1貫ずつにしてくれってお客さん、いらしゃいますよ」
 「あ、そう。でも、私は2貫だな。食った気しないもん」

2009/08/22

閑話休題~蒸し暑い夏。今年もいつもと違う変な夏。去年よりも変な夏。

 中津川での「09椛の湖フォークジャンボリー」から戻ってしばらく、後遺症に。
 エンケンこと遠藤賢司、加川良、あがた森魚の歌に刺激され、朝日新聞の原稿を書き終えた後は、アルバムを洗いざらい。

 それより、ジャンボリーの大半は暴雨に見舞われてのこと。取材に同行したNさんが用意してくれた簡易椅子に座り、ポンチョをかぶって暴雨対策は万全。ところが、斜面に椅子を設置したこともあって、前屈み状態を長時間強いられることになって、腰がアウチ!

 腰痛からリカバーした後は、新木場での野外コンサートのワールド・ハピネス・2009へ。高野寛、ASACHAN&巡礼、いとうせいこう率いるザ・ダブ・フラワーズがグッド。ムーンライダーズはあら還オヤジ集団の底力と心意気をみせ、YMOも懐かしい作品で楽しませてくれました。

 そんなところで夏のコンサート通いはしばし休息。
 旨いもん食いたい、なんて思いながら、これまでミュージック・マガジンに書いてきたルポやインタビューをまとめた本をなんてことになり、しばしの間、ミュージック・マガジン通い。いろいろ食事の誘いなどもありましたが、涙を飲んでパス状態。

 救いは埼玉の東松山の農業、加藤紀行さんが送り届けてくれた各種の茄子、苦瓜、胡瓜に唐辛子。昨年もそうだったように、今年の夏もなんだか変。去年以上に変です。しかも、梅雨が明けないような蒸し暑い日々が続いて、食欲は・・・・ま、相変わらずなんですけど。

 この季節、体が求めるものがある。体の熱気を下げてくれて、体を浄化し、爽快な気分にしてくれるのが茄子、胡瓜、苦瓜、唐辛子。しかも、加藤さんが育てた野菜は美味しくって風味が豊か、という以上に頑丈で逞しいですから、鋭気が漲ります。

 ミュージック・マガジンがあるのは神田の神保町。しかも、通りを隔てたところに長年の馴染みの店があります。幸か不幸か、神保町に通った日々はお盆の真っ最中。当然、馴染みの店はお盆の休みってことで、諦めもつきました。

 ですが、お盆の休みが終われば営業再開。なんてことでその誘惑、頭をもたげて、気もそぞろ。とうとう、その誘惑にまけて馴染みの店に出向きました。

2009/08/12

夏到来!~09年7月の「赤坂璃宮」銀座店の9

 画像を見れば一目瞭然。その出来栄えは実に見事。調理の素晴らしさを物語っています。

 実はドライ・タイプの「干炒」にしろウエット・タイプの「炒河」にしろ、香港では誰にでも親しまれた一般的、かつ、大衆的な料理です。言わば、日本で焼きそばにあたるもので、焼きそばよりも好まれ、親しまれているもの。

 で、それが食べられるのは広東料理店、もしくは、香港式の洋食を扱う餐廳や咖啡舗でのこと。ちなみに幅広ビーフンの「河粉」は、メニューに「面或粉」の表示があるようにことに潮州系の「粥麵店」で食べられるますが、ほとんどはスープ仕立てのもの。

 というのも面粥店では炒め物は扱わず、提供しないのが一般的。ですから、香港の街中の「粥麵店」で焼きそばの「炒面」に出会えることは滅多にない。その理由は、どうやら「炒面」は「料理」の範疇に入るらからのようです。

 というわけで「炒面」、焼きそばは広東料理店、もしくは、小食店でのこと。それが「河粉」の炒め物に関しては、餐廳、咖啡舗のメニューにあります。しかも、その調理、味付けは、素朴で荒々しい。「干炒」は、ベタベタに油っぽくて味付けは濃厚。「炒河」のあんかけはとろみたっぷり、といった按配。

 しかしながら、日本のソース焼きそばがそうであるように、ソースの焼け焦げ味が粗雑で乱暴な調理をカバーして、なんだか食をそそる。郷愁を覚えます。そう、香港の餐廳や咖啡舗での「干炒牛河」は、まさしく日本のソース焼きそばのそれ。郷愁を覚える懐かし味です。そんなあの味!を求めて、たまらず餐廳、咖啡舗に飛び込む人も少なくない。香港B級グルメの上位ランクに位置する一品です。

 それが、広東料理店の「干炒牛河」、あるいは「菜遠牛河」となると、いささか趣も違ってきます。料理の一品ですから、具にする素材、その吟味、味付け、調理に工夫があります。それを看板にしている料理店もあります。

 たとえば飲茶で知られる陸羽茶室の「干炒牛河」は、メニューにも載っていますが、顧客、常連客の間ではその存在を知られた評判の一品。福臨門では、一時、お昼に粥麵のメニューでそれを紹介していたこともあります。が、どちらかといえば常連客、顧客のみが知る裏メニューの一品といえるかも。もっとも、香港の広東料理店ならどこだってメニューにはなくとも、頼めば作ってもらえます。

 そして「赤坂璃宮」銀座店の「乾炒沙河粉」。牛肉じゃなくって豚肉、それにパプリカ。ピーマン、レタス、セロリの細切りにもやし。そこに、玉葱のスライスも!というのが、実に憎い!その甘味、実は「干焼炒河」に欠かせないもの、だったりしますから。

 味付けは塩味主体で醤油を味、風味づけに。押し付けがましさのない奥床しくて上品な味付けです。餐廳のそれのようにベタベタの脂っこさは皆無。しかも「干焼」とあるように調味料、だしは「河粉」に絡み付いて、余計な煮汁はありません。

 そういえば先月の「柱侯牛腩河」での自家製の「河粉」、「自家製ってこともあって、長いのがあったり、短いのがあったり、厚みがあってぼってりしていたり。そこんところはご愛嬌」なんて紹介しましたが、今月のは、長さ、厚みは均一という見事なもの。

 つるんとした滑らかな「河粉」の触感、ぷるんと弾ける噛み応えがありました。しかも噛み締めれば「河粉」にまとわる味、風味が口中に広がります。
 「これ、ほんとに旨いよね!」
 「先月食べた「河粉」は、米の粉というか、米の味、そのものだったけど、味が絡んで、格別ですね」
 「スープ仕立てで「河粉」の滑らかさ、のど越しのよさを味わうのもいいけど、こうやって炒めるとまた味わいも違って。でも、この炒め方、見事な技に圧倒されますね」と、感心しきり。

 この「乾焼炒河粉」も「赤坂璃宮」銀座店の「家郷菜」を語るに欠かせない一品なのは間違いなしです。

夏到来!~09年7月の「赤坂璃宮」銀座店の8

 締めくくりの「面・飯」。
 なんと「乾炒沙河粉/自家製河粉の炒め」の登場です!!!!!!!!!!

 先月に続いて「赤坂璃宮」銀座店の自家製の幅広ビーフンの「河粉」が登場。 先月は牛のばら肉の「牛腩」と筋肉の「牛根」を「柱侯醤」で煮込んだ具にしたスープ仕立の「柱侯牛腩河/牛バラ肉入りスープ河粉」。

 今回の「乾炒沙河粉」は、先月もふれたdancyu「本格焼きそばに挑戦」(09年4月号)で譚さんが米の粉から作る河粉の作り方を実践指導。「もやしと鶏肉入り中華風きしめん」を披露して以来、大藤さんを通じてリクエストしていた一品。

 幅広ビーフンの「河粉」については先月の「柱侯牛腩河/牛バラ肉入りスープ河粉」のところで触れた通り。「河粉」を素材にした料理の中でも一番の好みは牛肉を具にしたドライタイプの「干炒牛河」なんてこともふれました。

 ドライタイプ?どいうことそれ?なんて思われたかもしれません。
 というのは「河粉」の炒め物、その具材の主素材が「牛肉」にしろ「豚肉」にしろ、野菜も一緒に炒め合わせる。

  その際、具材だけを炒め合わせ、とろみをつけ、あんかけ状にして、油通しというか素炒めした「河粉」に乗っけるのがウエット・タイプ。「菜遠牛河」、あるいは「牛肉炒河」というのが、その料理名。

 それとは違って牛肉や野菜と「河粉」を一緒に炒め合わせたのがドライ・タイプ。「干炒」と料理名についてます。「干炒」とあるように、素材に調味料やだしを「河粉」にしっかり絡み合わせ、調味料、だし、煮汁の気配なし。面に味がしっかり絡んでだし、煮汁のない「ソース焼きそば」みたいなもの。

 ところが、です。乾燥物を戻した「河粉」、ことに米の粉を溶いて蒸籠で蒸して1枚づつ丹念に仕上た生の「河粉」はその扱いが実に厄介。水っ気、水分を含んだものですからそれを炒めるとなるとかなりのワザ、技術が必要、というのは「河粉」を実際に扱ったことがある人ならご存知のはず。

 日本では広州の「沙河粉」はじめ、本場ものに「河粉」の入手が難しい。タイやベトナム産のは幅広ビーフンでも代用化。ですが、広州の「沙河粉」は特有の透明感がありますし、滑らかさ、舌触りが異なる。生の「河粉」を作る面倒さもあってか「きしめん」で代用というのが一般的。

 もっとも、茹でて、水っ気を切った「きしめん」は、まさしくうどんのそれ。というわけで、乾燥した「河粉」、生の「河粉」とは違う代物。むしろ緑豆の澱粉から作った「粉皮」に似ています。ぺろっと滑らかで、くたくたのへろへろの触感ですから。

 そういえば「その店の「炒飯」を食べれば、店の料理の良し悪し、料理人の技量がわかる!」と豪語される方がいますが、それって、相当に当てにならない話。それよりも「その店の「河粉」の炒めものを食べれば、店の料理の良し悪し、料理人の技量がわかる」というのがはるかに真実、本質をついた話であることは、香港の料理店の経営者、優れた料理人の多くが語ること。福臨門の徐社長もそんな話をしてましったけ。

 かように「河粉」の炒め物は、料理人の技量を問われる料理人泣かせの料理です。
 はたして「赤坂璃宮」銀座店の「乾炒沙河粉/自家製河粉の炒め」や如何に!

2009/08/09

夏到来!~09年7月の「赤坂璃宮」銀座店の7

 そうそう「馬拉盞(醤)」。 「蝦醬」でも固形の「蝦膏」を使い、干し海老の「蝦米」、干し葱頭、ニンニクに唐辛子を素材にしたものが一般的。

 そういえばマレーシア、インドネシアには「サンバル」といって塩漬けにした唐辛子をベースに、香味野菜なども加えた辛味調味料があります。それを「馬拉盞」だとする人もいるようですが、香港あたりだと「サンバル」はやはり「(馬拉)辣椒醤」、もしくは「(印尼)辣椒醤」と言うのが一般的な通称。

 マレーシア、インドネシアには「サンバル」とは別に唐辛子を塩漬けにしただけのものもあります。以前、クアラルプールに出かけた際、中華系の市場と隣り合わせになったマレー系の市場の唐辛子専門店でそれを発見。

 店先で味見させてもらったところ、辛味だけじゃなくて、フルーティな爽快感や甘味がある。なんてことで、たっぷり買い込んだことがあります。名前を忘れちゃいましたが純粋な唐辛子味噌で、かといって「サンバル」と言う名前ではありませんでした。

 「馬拉盞(醤)」は、そのの名称からするとマレーシア産かと思いがち。
 ところが、実際に一般に流通し、香港あたりで広く浸透しているのはタイ産のそれ。
 しかも「馬拉盞」は「蝦醤」でも固形の「蝦膏」、干し蝦の「蝦米」、唐辛子に香味野菜がふんだんに使われているものが多いことから「XO醤」の原型、それを生むきっかけになった、なんて説があるのが面白いところです。

 そして「馬拉盞通菜/空芯菜のマレーシア風炒め」。 「空芯菜」の炒めものといえば、シンプルに生姜の細切り、ニンニクの微塵切りなどの香味野菜と炒めあわせたもの。アミの塩辛ともいえる「蝦醤」、それもペースト状のもの、それに固形の「蝦膏」風味のもの。「腐乳」に唐辛子の小口切りの「椒絲」を加えたものなど、どちらかといえばクセのある調味料との組み合わせがグッドです。  
 「馬拉盞通菜/空芯菜のマレーシア風炒め」ってことですから、山下さん、柏木さんに頼んでどんな、それにどこの「馬拉盞(醤)」を使ってのものなのか、聞きそびれましたが、多分、タイ産のそれのはず。

 袁さんが調理したこの種の料理、目の前にした時、ふっとそのクセのある香りが鼻をよぎる感じで、会議に夢中だったりすると、気がつかない。
 それが、口にして、噛み締めた途端、クセのある味わいがじわ~、喉奥の鼻腔を独得の風味がくすぐり、鼻筋の裏にぬけていく。「馬拉盞」の使い方、按配が見事です。

 それより「空芯菜」、葉先から根元まで、一本そのままつながってます。それでいて、葉先は「空芯菜」の葉の味わい、一方で、根元の茎のあたりの味わい、全く違って、それぞれの味、風味、えぐみ、苦味の味わいの両者の対比が、噛み締めれば噛み締めるほと、味わえば味わうほど、くっきり、はっきり浮かび上がる。

 「すげえ!」と思わずひとりごち。
 「空芯菜」の葉と根元の状態を把握し、その対比を心得た火の通し方、味付けの按配の見事さ。「鑊気」すなわち「鍋の気」にあふれた調理、火の使いの鮮やかな鍋仕事の妙に、感心しきり。袁さん、すごいですね

 ふとみると「空芯菜」に絡んだ生姜の細切りの細さ、長さ、そうです「板」仕事の細やかさに目を見張る。なんて、いいながら、もぐもぐ、歯に触れた「パリ」とした触感。しかも、噛み締めれば香ばしい風味が。

 「あれ?これって「蝦米」?」
 そうか「馬拉盞」ですから、干し海老の「蝦米」があって当然だ。しかも、ペースト状の「蝦醤」以上に、旨味とこくがあるのは、固形の「蝦醤」の「蝦膏」だからでしょう。

 暑い夏の盛りにこそ、味、風味を増す「空芯菜/通菜」。
 しかも、旨味、こくのある味付けの「馬拉盞通菜/空芯菜のマレーシア風炒め」。
 香港、広東地方ではごくありふれたお惣菜。家庭でも作りますが、プロの技、味付けは違います。

 なんてことない「馬拉盞通菜/空芯菜のマレーシア風炒め」のようでいて、先の「乳香脆排骨」ともども、香港の、広東料理の家庭料理、郷土料理の「家郷菜」の豊かな味わい、その奥深さを改めて認識しました。

夏到来!~09年7月の「赤坂璃宮」銀座店の6

 そして「馬拉盞通菜/空芯菜のマレーシア風炒め」。
 「空芯菜」はヒルガオ科さつまいも属の野菜。「蕹菜(ようさい)」ってことですが、茎が空洞になってることから「空芯菜」、香港では「通菜」というのが通称です。

  改めて「空芯菜」について確認しようとネットで調べてみたら「空芯菜は登録商標です!」なんてのがあって驚きました。勝手に「空芯菜」としてその種子、成育したものを売買してはイケないってことですか?へぇ~!

 今回の料理、「馬拉盞」とあったの興味津々。 「馬拉盞」の「馬」は、日本語での料理名にもある通り「マレーシア(馬來西亜)」の「馬」。それが、「馬拉」と記されてるのは「馬拉糕」と同じく香港、広東地方でのマレーシアの通称で、滅多に「馬來」とは記されない。

 ところが「馬拉盞」として「盞」という言葉がつくとちょっとばかり意味が違ってきます。というのも「馬拉盞」というは「蝦醬」をベースに唐辛子なども加えた辛味調味料の「馬拉盞醬」の略語、だからです。

 マレーシアは「蝦醬」と「咸魚」の宝庫というか、ことにペナン産のものが良質ってことで有名。
 そういえば以前、私が「咸魚」、「蝦醬」、「腐乳」好きだと知った香港の歌手の譚詠麟(アラン・タム)。「「咸魚」はマレーシアのペナンのものに限る!」ってことで、わざわざペナンから取り寄せて、我が家まで航空便で送り届けてくれました。

 そればかりか「「腐乳」は香港の「○○記」のものに限る!」なんて言います。
 ある日の朝、香港からプラスティック製の小ぶりのバケツが到着。何かと思ったらバケツの中身は「○○記」の腐乳がたっぷり。香港からはるばる飛行機で運ばれ、我が家に届いた時には、揺られ揺られてきた結果、大半の「腐乳」の「角」がとれて原型の跡形もなくバケツの中でタップンタップン。
 アランの心憎い贈り物、嬉くって、大事に大事に扱って、全部、使いました。

2009/08/08

夏到来!~09年7月の「赤坂璃宮」銀座店の5

 続いて「金杯夏果牛/牛肉とマカダミアナッツの炒め」。 先ほどの料理が「乳香脆排骨/スペアリブの香り揚げ」でしたから、続いて、魚介、豆腐、野菜を素材にした蒸し物が登場?なんて、予測してました。香港の人たちのコースの組み立てならそんな感じですから。ところが、予想に反して牛肉の料理が登場。もちろん肉好きな私としては堪らない。

 「夏果」とは「マカダミアナッツ」のことです。といって「夏」の「果実」、「果物」、「木の実」って意味じゃない。「夏威夷(ハワイ)」の特産品ってことから「夏威夷果」、それを略して通称「夏果」。ですが、やっぱりこの夏の季節にあわせて「夏」にちなんだ「木の実」ってことなんでしょう。

 そんな「夏果」と「牛肉」と野菜を炒めあわせた一品。野菜は赤いパプリカ、ベビー・コーン、アスパラ。それに干し椎茸という内容。

 画像を見ればご覧の通り、牛肉、野菜のいずれとも、マカダミア・ナッツの大きさに合わせて切り揃えられています。結果、それぞれに鮮やかな色合いが目を捉えて離さず、食欲をそそるという按配。中国料理の基本で重要なポイントである「色・香・味」の「色」、見た目の美しさを絵に描いたよう。

 その味付け、塩味主体でシンプル。食べてみて「蠔油」つまりは「オイスター・ソース」の味が浮かび上がるという寸法。「蠔油」の効果的な使い方、味付けの加減、按配が上品で奥床しい。

 野菜のひとつひとつの味、香り、風味もしっかり浮かび上がる。ですが、一番面白いのはやはりマカダミア・ナッツ。ナッツにしては、サイズ大きめで、パリポリの噛み応え。そこにオイスター・ソースの旨味、風味が絡んで、ひと味違った印象。

 それに比べて、サイコロ上の牛肉は、表面がかりっとした焼き加減。噛み締めると柔らかくって、ジューシーな肉汁がほとばしる。そう、牛肉を噛み締めるたび、なんだか、ステーキを食べてるみたいに、リッチでゴージャズ、贅沢をしている気分になりました。

 で、牛肉や野菜を盛り込んだバスケット。普通、じゃがいもで作った「巣篭もり」ですけど、今回は色合いが違います。「食べられますから、是非どうぞ」と、山下さん。「小麦粉とカスタードで作った特製のバスケットなんです」。

 バスケットの端っこをパリッと割って、口に入れてみたら、甘い。なんだか、デザートの一品の脇役として登場しそう。アイスクリームやソルベを盛り付けるバスケットみたい。やがて、その甘さと、塩味、こくのあるオイスター・ソース風味の牛肉、それにマカダミア・ナッツの相性がぴったり、なんてことに気づきました。

 この「金杯夏果牛/牛肉とマカダミアナッツの炒め」。一見、創作料理風。食の雑誌、女性雑誌の編集担当氏やフードライターの方々が「新派」の趣なんて紹介しそうですが、素材の組み合わせ、味付け、調理は、広東料理の伝統的な郷土料理の手法にのっとったもの。こうした盛り付け、調理、味付けは香港ならではのものです。

2009/08/06

夏到来!~09年7月の「赤坂璃宮」銀座店の4

 それから「乳香脆排骨/スペアリブの香り揚げ」。 目の前にした時、「椒鹽排骨」だと思いました。 ですが、用意されたメニューを見ると「乳香脆排骨/スペアリブの香り揚げ」。
 なんでまた?
 
 食べてみてわかりました。
 料理名に「脆」とあるように、揚げたスペアリブは「さくさく」の「酥」じゃなくって、皮がパリパリの状態にからっと揚がった「脆」状態。噛み締めると表面の皮が、パリっと割れ、割けるような感じ。ところが、中の肉、歯がすっと入る柔らかさで、バラ肉ですからジューシーな肉汁だけでなく脂の甘味、こくまで顔を覗かせる。

 それだけじゃなかった。ジュシーな肉を噛み締めると、浮かび上がる独得のクセのある味、風味が浮かび上がる。目の前にした時じゃなくって、食べてみて、それが浮かび上がる、なんてところが憎いです。そうです、袁國星さんならではのワザですね。
 メニューをもう一度見直し「乳香脆排骨」に「乳」を見つけ出して思わず納得。
 クセのある味、風味というのは豆腐を塩漬けにして醗酵させた「腐乳」と、「腐乳」に赤麹を加えて醗酵させた「南乳」。
 「ほんとほんと!食べてたら、なんか、クセのある味、いい風味がするんで何かと思ってたら……「腐乳」なんだね!」なんて感嘆の声が上がります。
 もっとも、「腐乳」だけなら、塩味と醗酵味が強い。ですけど、炒めもの、調味料の添え物としての効果は抜群でも、揚げ物、煮込みものでは、ひね味はともかく、風味が損なわれがち。というところで「南乳」の効果絶大。煮込み料理に使われ、本領発揮。

 ですから、「腐乳」は煮込み料理の添え物にはなりますけど、本調味料としては「南乳」はその存在感と実力を発揮して、旨味、こくを加味。
 なんてこと、狙ったのかどうか、食べてみて「腐乳」だけの風味とは思えなかったので、山下さんに頼んで袁さんにそのヒミツ、尋ねてもらいました。
 そしたら「「腐乳」と「南乳」、両方を混ぜて使っているそうです!」。
 いぇい、大当たり。
 それにしてもこの「乳香脆排骨/スペアリブの香り揚げ」、出色の一品。見た目の派手さ、豪華さでいえば先ほどの「火焔酔翁蝦」はリッチでゴージャス。それに比べて質実堅固、なんてことないスペアリブの唐揚げ、なんですけどそこに工夫とワザが潜む。

 しかも、味わいも風味豊か。食べて、噛み締めて、「腐乳」、「南乳」のクセのある味、風味が浮かび上がるというあたり、なんとも奥床しい。過日、報告した「蝦醬鶏」と並び称せられる一品です。

 この種の揚げ物、油をたっぷり使って調理してありますから、カロリー量も高い。それに、唐揚げってことで油っこい料理と思われて、遠ざけられがち。ですが、腕のしっかりした、そうです「鍋」のワザに優れた料理人なら、油っこさを微塵も感じさせない。
 むしろ、唐揚げによるさくさく、パリパリ感、また、ジューシーな味わい、豊かな風味は、料理の流れを引き締め、口を変えるのに格好な一品。
 ということで、私は、「酥炸」、「椒鹽焗」、「油浸」の料理を、コース半ばに組み入れます。そんな時、格好なのが鶏、豚、魚の唐揚げの類。それも、クセのある風味ってことで「蝦醬鶏」を薦めますが、この「乳香脆排骨」はそれに匹敵する一品。
 「赤坂璃宮」銀座店、袁料理長の手になる「家郷菜」を代表する一品、定番のメニュー入りは間違いなし。袁さんの手になる「家郷菜」のコースを頼むとして、必ず組み入れたくなる一品。
 ですけど、「蝦醬鶏」にするか「乳香脆排骨」にするか、思案のしどころ思案橋。ってことで、悩みの種になりそう。
 「赤坂璃宮」銀座店のお気に入りの品が、またひとつ増えました。

2009/08/05

夏到来!~09年7月の「赤坂璃宮」銀座店の3

 そして「火焔酔翁蝦/活車海老の紹興酒おどり特上スープ湯引き」。
 この日「赤坂璃宮」銀座店に到着してテーブルに着き、用意されたメニューに並ぶメニューを見ながら「あ、夏到来、ね!」なんてニヤケ顔。ですが、そこに「火焔酔翁蝦/活車海老の紹興酒おどり特上スープ湯引き」を見つけ出し、思わず目を疑いました。一瞬、顔が引きつりました!
 「え、こんなのありなの!」と、その驚き、尋常じゃありませんでした。

 「火焔酔翁蝦」。
 懐かしい料理です。80年代半ばに香港で花開いた広東料理、海鮮料理を代表する一品です。海老を茹でる「白灼蝦」をヒントに、酒、紹興酒や玫瑰露酒などを注ぎいれて火を放ち、アルコールを飛ばして、上湯を注ぎ足して、蒸し焼き状の「焗」で調理したもの。アルコールを飛ばす際に燃え上がる炎の様を「火焔」と称し、パーフォーマンスとしてアピール。

 私の記憶が正しければ、湾仔にあった「麒麟閣」が発端で、次いで誕生した「麒麟新閣」、香港ホテルに生まれた「麒麟金閣」に受け継がれていったんじゃないかと思います。あ、もしかして、野味料理全盛の最中、それを看板にする料理店がはじめたのかも。舊資料をさぐれば、真相判明。ですが、今、その余裕はなし。

 ともあれ、80年代後半から90年代の初頭にかけて高級ホテル内にある料理店、街中の高級料理店がこぞってそれにならった料理を提供。最初は「紹興酒」だったのが「玫瑰露酒」など、酒の種類を違えてそれぞれオリジナルの「火焔酔翁蝦」だと主張し、アピール!というのが香港らしいですよね。

 懐かしい思い出はさておき、活けの車海老だってことだし、予算のことを考えればびびります。ですが、食欲には勝てない。
 「これがご用意した活けの車海老です!」
 柏木さんが、調理前の活け蝦を見せてくれました。
 一斉に歓喜の声、というより、ため息交じりの驚愕の声があがります。
 「これにお酒を注ぎ入れ、火をつけましてアルコールを飛ばしまして、その後、上湯を注ぎ入れまして、湯引きにいたします。あの、ここでアルコールに火をつけて調理したり、上湯を入れて湯引きしますと汁が飛び跳ねたりしますので、別の場所で調理したものをお持ちしますから」と、柏木さん。

 そうか!残念。紹興酒に火がついて燃え上がる火焔のパーフォマンス、見られないのはちょっとどころが、かなり惜しくて残念ですけど、いたしかたないっすね。
 私は何度も経験ありですが、おそらく、初体験の皆さんにそれをお見せしたかった

 ですけど、別の場所で調理された活車海老が目の前に運ばれた途端、皆さん、目を丸くして驚異の声。火焔のパーフォマンスなど、どうでもよかった感じ。ま、ごらんになれば、それはそれなりに、いや、大きく盛り上がったことは間違いなし。  「火焔酔翁蝦/活車海老の紹興酒おどり特上スープ湯引き」。
 熱々の蝦を手にとって殻を剥き、たれをちょっとつけて頬張ります。噛み締めるとぷりっとした噛み応え。茹でたえび、独得のもの。さらに歯を入れると、蝦肉の甘さに紹興酒の味が加味されて風味格別。

 誰もが蝦の殻を剥き、たれをつけて食べるのに夢中。蟹を食べる時には、誰もが無言になるなんていいますが、蟹だけじゃないですね。蝦もそう。それよりこの蝦、上湯で湯引きされたせいか、肉質そのものがリアルに浮かび上がる。

 蝦は火を通すと、旨味を増しますが、同時に、蝦自体の持ち味というのも、くっきりはっきり浮かび上がる。活け蝦、ってことに興奮し、産地、聞きそびれました。
 それにしても、豪華、贅沢この上ない一品だ。感動の嵐、竜巻が襲い掛かり、会議は沈黙、いずこへやら。

 やばいや、これは!会議どころの話じゃなくなりますもん!

2009/08/04

閑話休題~09椛の湖フォークジャンボリー

 行ってきました中津川の「09椛の湖フォークジャンボリー」。
 前日の31日に中津川に入り、翌日、ジャンボリーを見て、その日も中津川泊まり 東京に戻って、すぐさま原稿書き。翌日もその事後処理に追われ、結果、本日の朝日新聞の朝刊の文化欄に掲載されました。
 気合勝負、書きなぐったような内容で、曲名の表記間違いもあり、猛省しきり その詳細はいずれまた。

 そんな中津川で旨いものに巡りあえました。
 洋食亭KISAKU、といっても和風洋食じゃなく、トラットリアの趣で料理はすべてイタリアン。
 窯焼きのピッツアが旨い。その日のお薦めはフレッシュトマトとジェノヴェーゼのソース。
 フレッシュトマトの酸味がすっきり。  ピッツアの生地、サイドはもちもち、ボトムはクリスピー。
 
 翌日にもう一度出向いて、ピッツアの定番のマルゲリータ。
 とろけるモッツアレラがチュウイーになる寸前、という火の通し加減。
 なのに、生地はもちもちとクリスピーが同居。

 ピッツアを食べてパスタを食べないわけにはいかない!
 なんてことで、夏野菜のトマトソースのパスタも。
 ピッツアのトマトソースとは少々味わい、趣が違って 野菜の味が濃くてリッチ
 愛用のデジカメ、持って行くのを忘れたもんで、画像なし、なのが残念です。