「dancyu」の5月号、「人生が変わるたまご料理」特集。
中国料理のたまご料理も紹介されています。
その3が「火の力・鍋の技・油の量で中華の卵は劇的に大変身」ということで、「ミシュラン・☆」、三田の「桃の木」のオーナー&シェフの小林武志料理長の料理がなんと9品登場!
今回の記事の小林料理長のプロフィール紹介に「辻調理師専門学校講師」、「吉祥寺の「知味・竹爐山房」を経て~」とありますが、それ以外にも色々あり。 「小林さん、竹爐山房の出身っていうから、山本豊さんみたいな料理かと思ったら、そうじゃないんですね」なんて話、しばしば耳にしますが、そういうことにも関係あり。
小林料理長、「竹爐山房」で学んだものもあるようですが、それ以前に辻調理師学校時代、間違いなく日本人の中国料理人としてはトップに位置する知識と技量の持ち主の一人である吉岡勝美教授、その先達にあたる松本秀夫教授、吉岡先生同様香港留学の経験のある河合鉱造先生など、香港、本土への留学豊富な諸先生、さらには香港の料理人、林勝倫師傳の薫陶を受けてきた人物。
それだけではありません。「竹爐山房」の後も東京のいくつかの店に勤務する間、本土からやってきた料理人との交流をきっかけに、その知識と体験を蓄積。中国各地の地方菜を幅広く取り入れ、現地の味、風味を下敷きに、独自の料理、メニューを展開という「桃の木」の料理はそうした知識、体験から生まれたもの。
「桃の木」の「あの料理、この料理、あの調理方法やこの味付けは!」と、その下敷き、言わば元ネタ、知る人なら「へぇー、よくぞまあ!」と、その知識、博識と実践ぶりには驚くばかり。
今回の特集では「炒飯/卵チャーハン」、四川風の卵の煎り揚げ焼きの「家常供蛋」、広東風の卵白の蟹の炒めものの「蟹肉炒鮮奶」、卵白の淡雪炒めの「賽螃蟹」、北京風の卵の水炒めの「水炒蛋」、宮廷点心の「中国風ういろう」という紹介の「三不粘」、揚げ卵の「炸蛋」、卵焼きのスープ家庭料理の「鶏蛋湯」を紹介。
そのレシピ、味付け、調理に関する基本は、納得のものばかり。
もっとも、写真に紹介された料理の出来栄えからすると、「四川風の卵の煎り揚げ焼きの「家常供蛋」は、卵の縁の焦げが目立ってなんだか苦味ありそう。卵を焼き過ぎで、具材との組み合わせ、なんだか出来栄えは今ひとつ風。
それに「三不粘」。写真で見たところ、黄金の色合いはともかく、粘り、腰がなんだかいまひとつ様子。「嫩」の柔らかはありそうですが、舌触りのよい滑らかさ、舌にねっとりまとわりながらも、ざらっとした触感が残りそう。もしかして練り込みが足りない?そんなこと写真で判断出来んの?食べてもないくせに!と非難を浴びそうですけど、写真は正直。そのまんまを写しだしますから。
それとは対照的に卵白の炒めもの2種、広東風の卵白の蟹の炒めものの「蟹肉炒鮮奶」。それに北京風の卵白の淡雪炒めの「賽螃蟹」の出来栄えが目をひきます。たとえば「蟹肉炒鮮奶」。乳白色の色合い、滑らかそうな舌ざわり、なおかつ舌にのしかかる濃密なねっとりとした触感、こくのありそうな旨さがひしひしと伝わってきます。
その料理、本場の広東地方の順徳では水牛の乳を使いますが、それに代えて牛乳を基本に生クリームとコーンスターチで腰のある粘っこさ、濃密なコクを生み出す、なんてレシピにあるのに大いに納得。その方法がベストですから。
その手法、どうやってゲット?と小林クンに尋ねたら
「林(勝倫)さんのレシピを基本に、アレンジしました」。
なるほど!それを実践できる小林武志料理長の技も見逃せません!