締めくくりの面・粉。今回は「潮式生蠔粥/潮州風 牡蠣と豚肉のお粥」。
アテンドの柏木さん、土鍋でサービスされる粥の熱さに気圧されてか恐る恐るの感じでテーブルに。というのも、土鍋の中の粥、ぐらぐらふつふつ煮え滾って、熱いあぶく、ぶくぶくごぼごぼ、そこかしこ。おまけに、湯気もうもう、ですから。
お披露目の後、一旦、部屋から運び出され、一人ずつ取り分けられた碗がテーブルに届いてもなお、湯気もうもう。
見るからに舌を火傷しそうで、なかなか手が出ません。
しばし「粥」が冷めるを待って表面が「糊状」に張り詰めたかけたところで、レンゲでひと混ぜ。すると、ぶつ切りの牡蠣がそこかしこに顔をのぞかせる。しかも牡蠣、ぶつ切りの断面から想像するに大ぶりの牡蠣の様子。 以前、暮れの12月のことですが牡蠣の卵焼きを食べた際、赤坂璃宮の牡蠣は大船渡のシダッチの「赤崎冬香」ってことでしたが、大船渡、先のチリ津波で大変だった様子。ということからすると、別の牡蠣?
ともあれ、牡蠣の卵焼きの「芙蓉煎蠔餅」が香港、潮州、台湾でも小ぶりの牡蠣が主体ですが、日本では牡蠣の種類が違うのか、大ぶり主体。ですが、その分、味わいが増す、リッチになるのが嬉しいところです。
それ以前に「粥」。広東式と潮州式では、その作り方、出来栄え、味わい、風味などことごとく違います。まず香港の「粥面店」で一般的な粥は米粒から作りますが、強火で最初は沸騰させてからは「老火」つまりはとろ火で長時間炊く、というよりも米粒の形状が消えうせるまで煮込み続け、とろとろの状態に仕上げます。とろみたっぷり、「滑」つまり滑らかで、さらには「綿」、舌にとろけるような状態になっているのが良し!とされるわけです。
一方の「潮州粥」。米粒から作る場合には、強火で一気に沸騰させ、その後も強火に炊き続ける、というか煮込み続け、米粒に7分ほど火が通ったところで、様々な具材を加え、具材のだしを生かしながら仕上げます。結果、米粒の形状が残っていたりするのが普通。米粒がなくなっていることもありますけど、「とろり」ではなく「どろり」としていて、腰と粘りが強い。中には粳米ではなく糯米を使ったものもあります。
米粒の形をとどめている、というのが特徴のせいなのかどうか、店によって、それも潮州系の「粥面店」ではなくて潮州料理を看板にする店では米粒からではなく、炊いたご飯から作る店もあり。日本でもよくある雑炊に似てたりしますが、それでも案外、煮込まれているのでとろりではなくどろり。さらに、炊いたご飯から作ったものはざらりとした触感がします。
今回の「潮式生蠔粥」。
「潮州風 牡蠣と豚肉のお粥」とあるように、牡蠣がたっぷり。おまけに豚の赤身肉の挽き肉が具材。そのだしが旨味を増す。ということからすると「蠔仔肉碎粥」ってのが正式名かも。 そんなどろり、こってり、こくのある「潮州粥」。
揚げたピーナッツと「咸菜」。
そうです、前回紹介したたかなの漬物が添えられます。
「このお粥、どろっとしていて、旨味もこくもあるし、日本のさっぱりしたお粥と全然違うね」
「そうそう、結構、どっしりと重厚な感じだし、すぐにお腹が一杯になりそう」
「でも、そんな感じなのに、すいすい食べられちゃうのが不思議」
「それより、これ、食べてると体が熱くなりません?なんだか体がほてってきそうな感じで」と、思わず上着を脱いでしまった私でありました。
この「潮式生蠔粥」、作り方、粥の正式名とか色々と袁さんに聞きそびれ。橋本さんを通じて確認中ですので、返事が到着次第、追加報告いたします。
熱々で、どろり、しかも濃厚で、旨味、風味たっぷり。
その量からして途中でギブ・アップかと思いましたが、最後までペロリ。
お粥は別腹、ってことでしょうか?