2010/05/23

祝開店!広味坊 成城学園店!の2

 五十嵐創クン。千歳烏山、祖師谷大蔵、三越日本橋に店舗を構える「広味坊」を指揮する五十嵐久夫さんの次男坊(だったはず!)。現在「美虎」のオーナー・シェフを務める五十嵐美幸さん(てか、美幸ちゃん!)の弟です。

 創クンとは美幸さんが「広味坊」の千歳烏山店の料理長を務めていた頃に出会いました。
 当時の「広味坊」、ホールとキッチンは五十嵐家の一家、親戚、勢揃い。総指揮をとる社長の五十嵐久夫さんは当時、体調芳しくなし、なんてことからキッチンの裏に潜み、社長のおかみさん、美幸さんの妹のみほさんがホールを担当。店の左隣は長男が店を運営してました。
 実はそちらが本来の「広味坊」の発祥の地。後に右隣に新店舗。それの料理長を美幸さんが担当。その後、長男が店をたたむことになり、元々の「広味坊」は新「広味坊」のキッチンに。

 その頃、創クン。中学生だったか、高校生だったか、五十嵐家の方針に倣い、学校が終われば家業の手伝い。洗い場で皿洗いをしていたのを覚えています。その後、東京農大に進学し、卒業後、五十嵐久夫さんの指導の下、千歳烏山店の料理長に、なんて話を聞いてました。
 当時の創君、美幸さん曰く「社長(って久夫さん)が色んな店に連れていって私なんかよりも美味しいもの一杯食べてるし、将来有望、なんです!」なんて話に、興味津々、その行く先を楽しみにしてました。

 「懐かしいね!」なんて話に盛り上がりながら、早速、成城学園店のメニューを拝見。
 そしたら、面料理とディナー・コースのみでアラカルトなし。
 ディナー・コースの内容を尋ねたら、好みで選べる前菜、サラダ、点心(主に水餃子で、タレは好みで)と続いて北京ダックやふかひれ料理、もしくは鮑、海鮮、牛肉などのメインが一品。それに締めくくりが好みで選べる面料理で、後、デザートという内容。

 「面料理もディナーコースもお客様の目の前で取り分けたり、調理したりするワゴン・サービスなんです!」と創料理長。
 「え!? そしたら、(千歳)烏山店や(祖師谷)大蔵店みたいに、その日のお薦めとかアラカルトはないんだ」
 「ええ、私もほんとはいろいろやりたいんですけど、とりあえずは、面料理、それにディナー・コースのワゴン・サービスだけなんで……」

 生憎、訪問した夜、うちのかみさんロンドンに出かけちゃって、私ひとりきり。ひとりじゃディナーコースを頼むほどでもないし、なんだか味気ない。
 「ディナーコースは今度にします。面料理なんだけど、どれがおすすめ?」
 というのも、豪華な「ふかひれと黄ニラ面」、「鮑面」、「雲呑面」、「八宝菜面」、「麻辣面」、「つけ汁酸辣面」など、種類豊富でバラエティー豊か。

 目に留まったのは「汁なし担々麺」。
 「汁なし担々麺にします。でも、これだけじゃ物足りないなあ。あの、すんません、なんか炒め物、一皿か二皿、作ってもらえない?」と、昔っからの知り合いってことで無理を承知でごり押しのお願い。いけない横暴なオヤヂです。

 「う~ん、はい、わかりました。どんな料理にしましょうか?」と創料理長。
 「ディナーコースの中の一品とか……」「本日のディナーコースには、炒め物、ないもんで!」と、キッチンに消えた創料理長。
 やがて、小皿の一品が登場。「あの、これ、サービスです!」とアテンドの方。
 なんて話に無理強いしたさすがの私も恐縮した次第。
 その一品は「車えび」の甘酢炒めのマンゴ・チリ・ソース風味。

 衣をまとって揚げた海老をフルーテイな甘酢あんで絡めた糖醋仕立てがその基本。さらにチリというのは辣油だそうです。
 甘酢のあんがかかったえびを噛み締めると、しっとりの皮ですが、さくっとした「酥」の触感を残してます。
 ぷりっとしたエビの触感、身が旨い。
 一緒にミニ・トマトや生の金針菜なども皿の中。
 甘酢あんの甘味、酸味の按配、味わいは、日本独自の広東料理の伝統を受け継いだ調理によるもので、濃厚な味付け、味わい。
 社長、というか広味坊グループの総指揮をとる五十嵐久夫さん直系の味、なのは紛れもない。
 千歳烏山の「広味坊」に頻繁に通っていた昔、美幸さんの創作料理の数々を食べましたが、その基本、根っ子は五十嵐久夫さんの広東風味を下敷きにした料理にありってことは、食べ重ねれば理解できました。
 ともあれ、五十嵐久夫流のオーソドックスな広東系の料理の数々を思い出しました。五十嵐久夫流の系譜は美幸さん、そして、創くんに受け継がれているってわけです。