2010/05/25

こがねもち

 旧聞に属する話ですが、4月の末、東松山の農業、加藤紀行さんから丸餅が到着。
 ここんとこ野菜の便り、全然なし。なんてところに丸餅。なんでも4月の終わり、豊饒を祈願して餅を作り、お供え、という風習があるそうで、そのおすそ分けにあずかった次第。
 関東では餅、のし餅ですよね。それをわざわざ手間隙かけて丸餅にして送り届けてくれました。感謝、感激。そ、餅は丸餅に限ります。
 ところが、今回、届いた餅、一個の大きさにたまげました。

 届いたその日は、早速、お雑煮。昆布とかつおでしっかりだしをひきましたが、冷蔵庫を覗いてみても「かしわ」(って鶏肉ですが)の澄まし仕立にするのに必要な肝心の美味しい「かしわ」の蓄えなし。
 しかも、野菜は水菜と人参だけ。

 白味噌仕立て必要な焼き豆腐もなければ、里芋の買い置きもなし。
 ということで、水菜、人参だけの簡素な白味噌仕立てに決定。

 白味噌は堀河屋野村の白味噌。
 甘味があって、なおかつしっかりの塩味。こくがあって旨いです。そんな白味噌仕立ての汁を用意しておいて、丸餅、オーブンで焼餅にします。

 ところが、いつもよりサイズがでっかいもんで、焦がさないようにこまめに焼き具合の按配見る必要あり。ぷっくりふっくら皮をもたげて餅が膨れ始めたら菜箸で割れ目を入れ、焼きとほどよい焦げ目付けを按配。それにしてもでっかいんで、焼くのに一苦労。

 焼けた餅、ひとまず皿にとって、鉢の真ん中に移して熱々の白味噌の汁を注いだら、じゅわっと焦げが弾ける音。 焦げの香ばしさが引き立ちます。
 でっかい餅をそのまま頬張れば、パリっとした表面に汁のしっとり感が入り混じり、旨さが口中に広がります。  
白味噌仕立ての汁が旨い。
それにもまして、餅が旨い。
餅の素材、原料は加藤さんが作ったもち米(糯米)の「こがねもち」。
以前にも紹介しましたが、加藤さんのもち米は福臨門御用達。我が家でももち米は欠かせません。 あれよあれよと言う間になくなります。

年末から年初にかけては、腸詰を具にした炊き込みご飯の腊味糯米煲仔飯。もしくは、腸詰、干しえび、干し貝柱、するめ、干ししいたけなどを刻んで炒め合わせて、炊くか蒸すかした糯米に混ぜ合わせた糯米飯。それとも、だしを足しながら糯米を炒め、具を混ぜ合せる生炒糯米飯。

 たまに赤飯にもしますけど、そのままもち米を炊くことも少なくない。
 たとえばタイ・カレーを作った時には、粳米のご飯よりももち米のご飯のほうが相性が良いですから。
 そして、豆が美味しいこの時期、頻繁に作るのが「豆おこわ」。
  豌豆、グリーンピースを粳米に混ぜ合わせて炊き込む「豆ごはん」も美味しいですけど、糯米と一緒に炊き込む「豆おこわ」だと、味、風味は格別。
 その豆、採れ立てで生でも食べられるぐらい新鮮なのがいいですけど、その入手が難しい。ですが、加藤さんの「こがねもち」と炊き合わせると豆の鮮度も問題になりません。「こがねもち」のねばり腰の強さが豆の味、風味を引き出してくれます。

 そうそう、本格的な「豆おこわ」、糯米を長時間水に浸し、蒸して作ります。ですが、思い立ったら即作って食べたくなるせっかちな私、炊く前にもち米に水を吸わせますけど、時間は簡略。しかも、蒸すんじゃなくて、普通に土鍋で炊き上げます。というなんちゃって「豆おこわ」ですが、それでも旨い。おかずなしで何杯もお代わり。

 切なる願いは、美味しいもち米の「こがねもち」を作る加藤さんが、豌豆、蚕豆、枝豆、各種の豆を作ってくれないかなあ、なんてこと。「こがねもち」との強力なコンビになりそうです。早い話、加藤さんへのおねだりです!