過日、小ぬか雨降る夕方時、駅前でのことです。
「広味坊が開店しました、よろしくお願いいたします」と、眼鏡に白シャツ、黒ズボン姿のちょい太めの青年がビラ配り。
「ン!?」と思い、その青年に呼びかけて尋ねました。
「「広味坊」って(千歳)烏山の?」
「はい、そうです!」
「どこに出来たの?」
「はあ、あの、この通りまっすぐで、通りに出まして右折して、すぐです!」
「あの、料理長は誰?もしかして(五十嵐)創クン?」
いきなりの話に青年は一瞬、目が点状態!
「は、あの、そうですけど……?」といぶかしげな表情が見て取れます。
そんな話を知って早速「広味坊 成城学園店」に下見調査。
成城学園の駅の北の通り。酒の宮崎商店の後に「ドミニク・サブロン」が出来た通りです。
そうだ、開店したばっかりの「ドミニク・サブロン」で「ブール・ビオ・オ・ルヴァン」と「クロワッサン」を買いましたが(私も結構初物食い!)。
ところが、駅前で焼いてるわけでなくて、新宿の工場で焼いてるそうで。それが、パンの焼き方、とっても「お上手!」なんで、びっくり!がっかり。相当なお値段ですから、がっかり度も高い。
粉はいい感じ。酸味のある味わいもなかなか。ですが、焼きが足んないもんで、皮のパリ感が乏しい。中身もしっとり感を残したまま。味はあっても風味が足りない。香りがない。問題は焼き加減にあり、なのは明らかです。もう一押し、もうひと我慢、窯に入れて置けばいい感じになりそうなのに。
焼き加減の按配、一体、誰が面倒みてんだか。見かけだけで焼き上がり、なのは明らかで、焼きかたとってもイージー、なんてのは食べれば歴然。季節や毎日の季候、温度に合わせて焼き加減を調整、なんて技がなく、誠意も熱意も汲み取れない。
海外ブランドとの提携商売のパン、お菓子、チョコレートって、ロクなもんないですね。
あ、話、それました。
「こんちは、あの、料理長さんいます?」
店に入っていきなり尋ねる風体よろしからぬオヤヂに、スタッフの皆さん、あっけにとられ。
ま、当然でしょう。ゴマ塩の髪、その頃、伸ばし放題のまんま。それにご近所お出かけ専用のヨレクロ(あ、くたびれてヨレヨレになったユニクロの上下なんでヨレクロ!)ファッション。
「はあ?(しばし沈黙)、あ、は、はい……おりますが?」
というスタッフの目線を追うと、カウンターの隅に創料理長。
「こんちは!小倉エージです!」と話しかけるまでもなく
「あ、あ、小倉さん!久しぶりです!」と創料理長。
久々の再会話にしばし盛り上がったものの、開店時間だったこともあって、来訪を約束して退去。