我が家の醤油は和歌山県御坊市、堀河屋野村の「三ツ星醤油」。
ご主人の野村太兵衛さんとは香港旅行で知り合った仲。
たしか「美味しん坊」の雁屋哲さんが周富徳さんの案内で読者を香港への食を旅に招待という企画があって、確か野村さん、そのツアーに参加。たまたま同時期に香港に出かけることになっていた私共も一行と合流、というのがきっかけだったはず。
そんなことから野村さんと知己を得て「三つ星醤油」、それに「径山寺味噌」を知り、以来、我が家の必需品になったもの。
そうそう、堀河屋野村の「白味噌」も我が家には欠かせません。
「白味噌」と言えば関西出身の我が家ではお正月の雑煮に欠かせないものですが、お正月だけに限らず我が家では「白味噌」の出番が多い。
実は私、味噌汁が苦手。子供の頃から苦手です。
子供の頃、椀物と言えば味噌汁よりも澄まし仕立ての「おつゆ」がほとんどだった、というのも大きな理由です。ですが、白味噌仕立ての「味噌汁」なら全然OK。我が家の食卓に並べば「おかわり!」なんてことも多い。
ことに堀河屋野村の「白味噌」はジャストの好み。
堀河屋野村の「白味噌」に惹かれて年少時の食体験が甦ったこともあって、他の白味噌、例えば京都のどこそこの評判のものなども試しましたが、結局のところ堀河屋野村の「白味噌」が一番。塩がしっかり利いていて、醗酵したヒネ味の加減がいいからです。
もっとも、ヒネ味、醗酵の加減は、年々ビミョーに違う、というのが面白い。
さて、堀河屋野村の野村さん、揺るぎのない確かな「舌」の持ち主。というのも「こういうのがあるんですが!」と教えられたもので失望を味わったことは皆無。
たとえば今は幻のものになってしまった魚楠商店の「釜揚げしらす」と魚の干物。送り届けた知人の誰もが絶賛し、取り寄せ名人の石原明子先生を唸らせたほど。
それから「九重雑賀」の「黒糖」と「梅」の「梅酒」。その味わい、風味の奥深さにうっとりとなりました。
そんな野村さんの好みの品々は堀河屋野村のサイトの「太兵衛好み」で紹介されてます。 http://www.horikawaya.com/ct03/konomi.html
そんな中で、この時期見逃せないのが「美薗亭のみかん」。
「美薗亭」は美味しいもの好きな野村さんが好みの品々を堀河屋野村の一角で紹介したもの。
で、「美薗亭のみかん」。和歌山の有田の湯浅町で親子三代にわたってみかんの栽培をしてきた北村真佐彦さんが栽培したものだそうです。
これが旨い。
その皮の色艶、自然な色合いが見事です。
皮を剥けば房の皮、これが薄い。頬張って唇や舌に抵抗のない薄さ、というのがその特徴。
頬張ればジューシーな甘味がほとばしる。爽快な酸味が口中に広がる。そこんとこが味わいどころ。
そうです、甘味と酸味が入り混じった「これぞ、みかん!」と言える味、風味に、次から次へと房を外して頬張りたくなる後引きのみかんです。
近頃、ベタっとした甘味たっぷりのみかんが多いですけど、みかんってやっぱり甘味だけじゃなくって酸味が肝心、なんてことを教えてくれます。
というより、子供の頃に親しんだみかんの味がする!
なんてのも「美薗亭のみかん」を次から次へと頬張ってしまう理由なのかも。
みかんの名産地、色々あります。
子供の頃、暮れから正月にかけて送り届けられたみかんの中でも、美味しかったのは和歌山の有田のみかんだった、なんてことを思い出しました。