2009/12/30

冬の訪れ~牡蠣が旨い!09年12月の「赤坂璃宮」銀座店の4

 続いて「芥蘭双腊腸/腸詰と芥蘭の炒め」。

「双腊腸」というのは豚肉の腸詰の「腊腸/臘腸」、家鴨の肝臓を混ぜ合わせた腸詰の「(鴨)潤腸」の2種の腸詰のこと。
 この時期、つまり、年の暮れの12月、旧暦では「師走」と言いますが中国の農歴では「臘月」と言うのが一般的。
 秋の実りの収穫を終えた後、冬に備えて肥えた家畜や家禽類を潰し、あらゆる部位を様々に仕込んで備蓄します。というのは中国でもヨローッパはじめ肉食文化の発達したところは一般的、ですよね。

 腸詰の「腊腸」、「(鴨)潤腸」はその産物。他に皮付きばら肉をほした「腊肉」、家鴨の身を塩漬けにして干した「油鴨」なんてのもあります。「腊腸」、「潤腸」に「腊肉」、「油鴨」は、新米を使った炊き込みご飯の「腊味煲炒飯」に欠かせない。それに「油鴨」はたろ芋と煮込みココナッツジュースで味付けした「荔芋油鴨煲」がその代表的な料理。
ちなみに「油鴨」、塩味が強くて独得のくせがあります。おまけに日本ではなかなか入手が難しい。なんてことから、我が家では家鴨か鶏の骨付きのぶつ切りを塩でしばし漬け込み、たろ芋じゃなくて里芋や海老芋、それに唐の芋で代用し、ココナッツ・ジュースを味付けにしたなんちゃって「荔芋油鴨煲」もどきを作ります。我が家の冬場の食卓にしばしば登場。
 そうだ、今度、袁さんに鶏肉でやってもらおう!

 またまた話がそれました。話戻して「芥蘭双腊腸/腸詰と芥蘭の炒め」は2種の腸詰めと「芥蘭」を炒め合わせたもの。
 「芥蘭」はアブラナ科の一種でキャベツの仲間。英語名はチャイニーズ・ケール。ですが、その茎の部分の触感、ブロッコリーに似ていて、キャベツとブロッコリーの合いの子みたい、なんてことからチャイニーズ・ブロッコリーとの異名もあり。
 茎はブロッコリーで、青い味、甘味もあり。ですが、葉はキャベツ、というよりも芥子菜に似た味、風味で苦味、辛味があります。香港や広東地方では旬の時期になると市場に並び、料理店のメニューにも並びます。
 「芥蘭」はそのまま炒めたり、茹でて、オイスターソースをかけて食べる、というのが一般的。それと同じくらい親しまれているのが「腊味」と炒め合わせたもの。「腊腸」だけでもいいですが、私は今回のように「(鴨)潤腸」も一緒に。出来れば「腊肉」も!なんてついつい欲がでる。
 ですけど豚の腸詰の「腊腸」はともかく、家鴨の肝臓入りの「(鴨)潤腸」の入手が日本では難しい。というだけでも嬉しい。有難くなります。
 おまけに「芥蘭」との炒めもの。それも「芥蘭」、日本ではなかなか入手が難しい。入手できたとしても茎が細身で華奢で甘味不足やら、葉も辛味、苦味が今ひとつ、なんてのがほとんど。それに比べて、今回の「芥蘭」、茎の太さはしっかりで青い味、それに甘味があり。これだけの「芥蘭」なかなか日本ではみつけられない。なんてことにも関心しました。
ちなみに「芥蘭」、それに「菜心」などの茎のしっかりした青野菜、香港からやってきた仲間のほとんどが日本滞在何日かすると、食べたくなるようで「どっかで食べられないかなあ?」なんてよく尋ねられます。

 野菜不足のせい?なんて尋ねると「ま、そうでもあるんだけど」と返事はあいまい。よくよく尋ねると、レタスはじめ日本の料理店で食べられる緑野菜はほとんどが生のまんま。それに、私の知り合いの香港の友人たち、日本の緑野菜は味が薄くて香りがしないとは一様に口にすることで、ドレッシングはじめ余計なものが必要になる。最初の内は生野菜でもOK。ですが、そのうち火を通した野菜を食べたくなるそうで。

 「お浸し」があるんだけど、茹でてだしで煮含めものが、なんていっても、わざわざそれを食べに日本料理屋にでかけるほどのこともなし。それに、よほどの日本料理通以外、手を出さないんですね。
 で、私の知り合いの香港の友人たちが「芥蘭」や「菜心」を食べたくなる、しかも、体が欲する理由は、その繊維質に秘密あり。つまり、腸の消化の手助けになる(っていう理由、書かずともわかっていただけますよね)っていうことにありってことが判明。
 そういえば、香港に食べ歩きに出かける私の友人にも同様の悩みを抱えるらしくて「おひたし」が食べたい!と。そんな人に「上湯」で煮浸しにした青菜の料理の類をお薦めします。ですが、そのだし、日本の「おひたし」のように昆布、鰹節などの魚介系のそれと違って、痩肉、鶏肉、中国ハムと「肉食系」のそれですから、ちょっとなじめない、なんて人も。野菜の食べ方、だしの違い、それぞれお国柄あり、ってことです。
 そうそう「腊腸」や「潤腸」などの「腊味」の類、香港の街中に色々老舗あり。
 それぞれに工夫があって味、風味は様々。それに「玫瑰露」はじめ各種の酒、焼酎の類が使われていることもあって、それがネック、という人もありですが。
 それで、街中でゲットしそびれた場合には香港の赤鱲角國際機場に榮華の出店で調達という方法あります!