締めくくりの麵、飯。今回は「合時臘味飯/干し肉と腸詰め入り土鍋ご飯」。
そうです「腊味煲仔飯」です。
秋の終わり、秋の実り、その収穫を終えた後は、長い冬に向けて、家禽類、ことに家鴨、それから家畜の場合には主に豚肉をつぶし、その部位のすべてを隈なく使い、加工処理して備蓄します。塩蔵、風乾、燻製なんてのがその加工処理の基本。なんてところはフランス、イタリアはじめ欧州の国々、つまりは、肉食主体の国々、地域では、共通した事柄です。
日本で腸詰といえば豚肉の腸詰を干したもの、台湾料理の店で供されるのが知られているんじゃないでしょうか。薄切りにして、タレで食べる、ってやつですね。
ですが、腸詰、豚肉だけを素材にしたものだけに限らない。豚の血を混ぜたもの、豚肉の内蔵入りのものがあります。それに、豚の三枚肉、あばらのところを塩蔵したり、風干しにしたり、燻製にした「臘肉」がある。それに、家鴨の肝臓など内蔵類を素材に、家鴨の血を混ぜて作った「潤腸」などがあります。
今回の「合時臘味飯/干し肉と腸詰め入り土鍋ご飯」、腸詰は豚肉の腸詰の「臘腸」と、家鴨の内臓、血で出来た「潤腸」の2種。それに豚の三枚肉を風乾させた「干肉」の3種によるもの。
「腸詰」、「干し肉」は、別皿盛りにして登場。炊いたご飯をお碗によそい、具をのせ、油、たまり醤油の「老抽」で作ったタレを好みでかけて食べるという按配。
旨いです。中でも豚の三枚肉の干し肉の肉質、味、香り、風味が抜群に素晴らしかった。甘味、こくがあって、柔らかい干し肉を食べているような触感で、肉の旨味、風味が生きている。その味わいは実に濃密。蜂蜜をかければ、さらに旨味、風味を増す感じ。
炊き込みご飯をたっぷり味わったあとは、鍋にこびりついた焦げに「だし」を加え、焦げが柔らかくなる感じに炊いた「お焦げの雑炊風仕立て」というのがあります。タレで味をつけたもので、これがなかなかに旨い。焦げとタレの味、風味があいまって、舌だけでなく喉元から鼻筋を刺激。
「エ!? ご飯を食べたばかりだし、もう、お腹は一杯!もう、食べられません!」と、皆さん。
「ま、それはわかりますが、とりあえず一口!」と私。 皆さん、最初はいまひとつ乗り切れない様子。ですが、オヤジ(あ、私)の強引な押しに逆らえず、なんだか否応なしに口に運んで、とりあえずはひと口。
一瞬、皆さんの目の色が変わったのを見逃しませんでした!
「だし」の旨さもさることながら、「お焦げ」と「たれ」が醸し出す味、香り、風味が、「後引き!」なもんで、一口のはずが、二口、三口。 あっという間、全員がひと碗、平らげちゃいました!