2009/03/22

久々に「彩雲瑞」の1

 仕事仲間で編集者のNさん。韓国語がバリバリで韓国事情通。アジア通でもあって、文化事情、食事情にも明るい。もっとも、奥床しい人柄ですから、日頃、Nさんに接している人でも、そうした一面をご存知ない、なんて方も多いんじゃないでしょうか。

 そんなNさん、食べ歩きが趣味だってことをふとしたことから知りました。「どういう店に?」と尋ねて驚いたのは、アジア関係の料理店事情に明るく、その種の最新情報に詳しい事情通が知る話題の店だったからです。青山のあの店、銀座のどこそこなんて具合にその行動範囲も広い。 そして、最近お気に入りの店って教えられたのが経堂の「彩雲瑞」。

 「家の近所なんで、休日やたまに平日にランチを食べに行ってるんです、美味しくて、楽しみだから」
 「え!そうなんだ。あの店、「彩雲瑞」ね、昔からの知り合いの料理人がやってる店、なんですよ。千脇君ってね、ほら吉祥寺の「竹爐山房」の山本豊さんのところで修行した人。

  店に入ったのが15歳だったか、そん時からの知り合い。で、「竹爐山房」の後は四川料理の店で修業して、それから経堂に自分の店を持ったわけです」
 「でも、私、ランチばっかりで。なら、今度の打ち合わせ、夜に「彩雲瑞」でやりましょう!」。
 なんてことから「彩雲瑞」へ。
 2月のある夜のことでした。
「おまかせのコース」ってことでまずは前菜として 「豆豉蕗冬菜(蕗の葉の豆豉和え)」、 「燻蛋巻(すり身巻き卵の燻り焼き)」、 「咸魚薇菜(ぜんまいの塩漬け醗酵魚和え)」が。
 













それから 「辣香葱(分葱の辛味和え)」、 「湯浸蕗冬菜(蕗の湯引き)」、 「XO醤蕨菜(蕨のXO醤和え)」が3種ひと皿盛りで登場。

 













 中でも「湯浸蕗冬菜(蕗の湯引き)」が、青くてほろ苦い初春の味、鼻筋に抜けていく香りがいっぱいで旨かった。
 それに「咸魚薇菜(ぜんまいの塩漬け醗酵魚和え)」、「XO醤蕨菜(蕨のXO醤和え)」、ともにメリハリの利いた味付け。

 私にはちょいと濃い目に思えましたが、千脇君ならではの若くて溌剌とした味付け。酒飲みにはぴったりなおつまみだし、いきなりガツンの味が好みのイマドキ、近頃の若い人には受けそうだ。

  続いてもう一品、「辣爆蜂窩肚」も登場。「蜂の巣」を辛味の味付けで煮込んだもの。これがいかしてました。味付けはしっかり濃厚。蜂の巣をさっぱり風味で、という料理もありますが、クセのある素材だけに揚げて下拵えしたのなら味付けは濃厚なのに限ります。
 味が染み込んだ表面は「ざら」っとしていて「じゅわ」と味が滲み出る。噛み締めると弾力のある歯応え。「ハチノス」ならではのもんです。で、濃くてメリハリの利いた味付け、それも爽快な辛味が「後引き」で、すぐさま箸がのびます。

  ついでに言っちゃえば、味付けの香辛料の組み合わせ、その分量や按配、もう一味足して、強めにする。そうすれば、味わい、風味がより複雑に入り組んで、後味、辛味だけじゃなくって風味のインパクト、より増幅されるんじゃないかな。なんて、オヤジの余計なお節介ですね。 

 千脇君、頑張って!