2009/03/14

元宵節 2月の「赤坂璃宮」銀座店の5

 いけない。また間があいちゃいました。申しわけありません。 いや、連日、でもないですけど、ここんとこコンサート通いの日々が続いております。
 本日、朝日新聞の夕刊での拙評ご覧になって、目が点、口あんぐり、なんて方がいらっしゃるかも。 そうです、本日掲載されたステージ評、なんと安室奈美恵!! オヤジがアムロかよ!なんて、言われそうだ!

 そうそう、言っときますが「アムロ!」なんていうのは、小室哲哉プロデュースでヒット曲連発、「アムラー」が生まれた昔の話。それが、出来ちゃった結婚して、子供が産まれ、かと思ったら離婚して、シングルマザーに。若い年少のファン、支持者を得て彼女たちにとって憧れの存在、憧れの女性となった今、「アムロ!」じゃなくって「奈美恵さ~ん」なんて声援が、コンサートの会場のそこかしこから聞こえますから。

 それに、今夜は今夜でスゲエ!なんて歌、聞いちゃいました。大物歌手によるあの「愛のままで」のカバー・バージョンなんですが、これが、身震いするぐらい素晴らしかった。なんて話しはそのうちに!

 話、戻って、2月の「赤坂璃宮」銀座店。6品目に登場したのが「上湯芥菜胆/蕾菜の上湯スープ仕立て」。 「ン!? 中国語の料理名には「芥菜胆」、ってことは「芥子菜の軸」のはずなのに、なんで日本語の表記「蕾菜」なの?」

 「ええ、あの「芥菜胆」ではなくて「蕾菜」といいまして、いい素材、おもしろい素材が入りましたので、やってみたんですが」と、大藤さん。

 その「蕾菜」。初体験なもんで、帰宅して早速、ネットで検索。なんでも福岡県の農業総合試験場が開発した新しい野菜。アブラナ科の一種だそうで、蕾を収穫したものってことです。みかけは「芽キャベツ」。ですが、少しばかりの葉で覆いつくされていて、芯の部分が大きい。で、食べると、「芽キャベツ」のような、青さ、甘さよりも、アブラナ科特有の辛味がある。

 そうか、それで「芥菜胆」と表記したわけか。ところ
が、食べてみると火が通って「じゅわ」と柔らかい葉。それに芯はさくっとした歯ざわりで、辛味だけでなくほろ苦さがある。まさしく春の味、風味です。青さのある独得の香りも面白い。

 そんな「蕾菜」を「上湯浸」、つまりは「上湯(極上だし)」で煮浸し風にしたもの。さらに、芡汁、というかとろみがついてます。口にすればとろっとした滑らかな舌ざわりがするのは、とろみがついてるから。
 そして、噛み締めれば、ほのかな辛味。それからほろ苦さ。それとだしの味が見事にマッチング。しかも、塩味、袁さんの料理しては珍しいぐらいしっかり利いている。といって、濃すぎるわけでもなし。塩味のメリハリ、輪郭が明解、なんて感じです。

 それに、金華ハムの極上の部分「雲腿」の細切りが、ふんだんに使われてます。「金華火腿」の細切りの色合い、味、風味が効果的に使われてる。「金華火腿」を使ってます!、というこれ見よがしな主張、お飾りじゃなくって、細切りながらも、しっかりその存在、味、風味を主張。それに「だし」の味、さらには「蕾菜」自体の辛味、ほろ苦さとががあいまって、極上の美味を生み出す。上品で洗練されています。
 「蕾菜」って、結構いけますね。みかけ、それに、最初口にした時には「芽きゃべつ」みたいなのに、口にすれば、味、風味、香りが違う。初対面だった「蕾菜」は実にグッド。 いや、正直にいえば、辛味、ほろ苦さはあっても、青臭さ以外、香り、というか風味が今ひとつ。言ってみれば、温室育ちで、やわな感じ。強い主張がなくって、よく言えば奥床しくて上品。

 そんな素材の持ち味、ことに辛味とほろ苦さを見極め、袁さん、だしを効果的に使う。いつもよりも塩味を加味して、味の輪郭を際立て、めりはりをつける。しかも「金華火腿」の味、風味、ことに塩味の加減、塩梅や、醗酵味に由来する旨味、風味を生かす。

 「上湯芥菜胆/蕾菜の上湯スープ仕立て」は、上品でしっかりした味、風味の野菜料理でした。