しかも「枝竹」、干し湯葉を添えてあるってのがこれまたニクい。なんて間違ってたりして!(笑)。
ホロホロの感じの煮込んだ肉が旨い。もっとも、だしがちょいと弱い。けど、ぎりぎりのところで踏ん張ってるのと、味付け、調味の加減が実に慎重。もっと、大胆にメリハリつけていいんだよ、千脇君。なんてこれまた余計なお節介ですけど、その姿勢が頼もしい。嬉しくなっちゃいます。なんせ、ガキの頃から知ってますから、応援したくなるのも当然でしょう。
意表をつかれたのが「紅棗牛百頁湯」。牛のセンマイと棗の湯煎蒸しのスープ。
こんなのもあるんだと嬉しくなっちゃいました。 そしてご飯は「彩雲瑞」の名物のひとつともいえる中華風の「菜飯」。
上海、それに香港の昔ながらの上海料理の店では定番のもの。漬物を具に炊き込んだご飯。素朴な味、風味で、しかも、これ見よがしじゃない味の加減の良さが嬉しい。ついついお代わりをしたくなります。 う~ん「菜飯」のお代わりもいいけど、もうひと品食べたい。
「ね、なんか面料理ないかな。あっさり、さっぱりで、シンプルなのがいいんだけど」。なんてわがままオヤジのおまかせリクエストに、千脇君「わかりました!」。
そして登場したのが「腐乳撈面」。
汁なし、腐乳で和えた面料理。私、初体験。 「え!?、こんなのあり?」なんて、ちょっと驚きました。 我家で作る最もシンプルな和え面は、葱と生姜の「姜葱撈面」。香港の粥麵店のように茹でた面に葱と生姜の細切りをのっけて、胡麻油を少々かけて和え、さらにオイスター・ソースで味をつけて、混ぜ合わせて食べるだけ、なんて代物です。
時間の余裕があれば、葱と生姜の細切りをピーナッツ・オイルで炒め、「だし」、それも、鶏のささみや手羽元で取ったものじゃなく、昆布とかつお節でひいただしが残ってれば放り込み、オイスター・ソースで味付け。そこに茹でた面を加える。面を煮浸しにするってやり方です。
そういえば、香港の鏞記の甘健成さん。修行時代、食事にありつけるわずかな時間、空き腹を満たしたのが、ローストした鵞鳥の油、ことに腿の付け根を切り落としたときに零れ落ちる油を茹でた面にかけて食べたそうで。そんな甘健成にとって懐かしい味を鏞記の顧客に提供したところ、「王子面」として評判となり、裏メニューとして定着、なんて話しもありましたっけ。
そんなことからすれば、同じ発想で「腐乳」だけでなく「XO醤」を使ったり、揚げた「咸魚」で和えるなんての出来そうだ。 で、実食しての感想は、ちょいと「腐乳」の量が多かったかな、というのがその印象。「辣油」か、潮州式の「辣椒油」があれば、味、風味を増すような感じ。
もっとも、日本では「腐乳」にしろ、「咸魚」にしろ「XO醤」にしろ、クセのある調味料や香味素材は、ちょっと加減多めにしてその存在をアピール! なんて方が「通」っぽくてウケる!なんててことからすると、この「腐乳撈面」、好事家の評判を呼びそうだ。
そして、締めくくり甜品は「紅米湯圓」。素朴でほのぼのとした味、風味。大陸、本土風のデザートでした。やるじゃない、千脇君。
千脇君、頑張ってます。おかみさんも頑張ってます!