2010/01/05

2009年に出会った美味の2の1

 続いては「赤坂璃宮」銀座店のマイ・ベスト/ファイヴァリット。
 昨年、「赤坂璃宮」銀座店で一年を通して食べた料理の総数は72品。前菜が14種。湯類、大菜、小菜の数が47品。面・飯の類が11品。

 前菜の一部、湯類、大菜、小菜、それに面・飯のほとんどは譚さん指導のもと料理長の袁さんの手になるもの。干貨素材や新鮮な魚介による海鮮料理、広東地方の郷土料理、小菜の数々です。加えて甜品の数々が11品。しかも8月以来、久保田点心料理長による昔懐かしい伝統的な「懷舊甜品」が5品ということで計16品。
そんな中からベストを選ぶとなるとあれこれ迷います。

 たとえば湯類。豚肉、鶏肉の各部位、内蔵などを使った煮込みスープの「老火湯」の数々。豚の胃、舌、肝臓や肺を主素材に、「アメリカ朝鮮人参」の「花旗参」などの漢方素材、「銀杏」や「落花生」などの木の実の類、「大豆」の類などが加えてとろ火で長時間煮込んだものなど自然で素朴、ほのぼのと心温まるしみじみとした滋味深い味わいです。

 日本の広東料理店、ことにホテル内にある広東料理店には「例湯」、それも「老火湯」の類、供されるようになりましたが何かアレンジしてあるのがほとんど。袁さんの「老火湯」も時にアレンジしてありますが、根っ子のところはしっかり広東料理。アレンジする際の素材の組み合わせ、ハズレがない。まんま香港、広東地方の「老火湯」なのがほんとに嬉しい。日本にいるってことを忘れさせてくれますから。

 そういえば、宴会の華、冬瓜を容器仕立てにし具材ととものまるごと蒸した大菜の「八寶冬瓜盅」なんてのもありました。

 そんな「老火湯」の中でも印象に残っているのは「栗子花生煲鶏脚」。
 鶏の脚、つまりは「もみじ」と落花生を具材にした「老火湯」。香港、広東地方の家庭でも頻繁に作られるスープです。そこに豚のシッポを加えたもので、コラーゲンたっぷり。そんなことから日本の料理名は「コラーゲンたっぷりスープ」。

 それに「金銀菜豬肺」も味わい深かった。豚の肺にレバーを加え、中国アーモンドの「杏仁」、さらには新鮮なものと干したものの2種の広東白菜を加えられてます。広東白菜、日本でも入手可能になりましたが、こんな風にしてスープに使うというのは滅多にない。

 ですが、スープの中で絶品だったのは「順徳魚雲羹」。
 順徳地方の郷土料理で、本来は淡水魚の「鯇魚」や「鯪魚」を素材にしますが、日本ではその調達が不可能。そんなところで袁さん、素材にしたのは鰤と鯛のアラ。

 ですが、淡水魚に特有のクセがあるように、海水魚にも特有のクセがある。それをどうやって処理するか。そんな課題を、袁さん見事にクリアー。素材の生かし方、香味野菜の使い方、その加減、按配など、袁さんの手腕に目を見張りました。

 日本じゃ絶対味わえないに違いないと思っていた「順徳魚雲羹」。
 日本の素材、しかも、海水魚を使い、素朴な味のエッセンスを残し、洗練された上品な味わい、風味に仕上られてました。後に海水魚の「はた」のアラと豆腐のスープも登場。ですが「順徳魚雲羹」が断然、光り輝いてました。