2010/01/27

海斑両吃~両斑三吃 10年1月の「赤坂璃宮」銀座店の6

 2種の「ハタ」、豪華で贅沢な「ハタ」の料理を味わって、ため息しきり。 次いで「南乳温公斎/五目野菜の煮込み南乳風味」。 これまた、私の好みの料理で、たまんない!
ちなみに今回の「温公煲」の素材、スィートコーン、筍、湯葉、白と黒のキクラゲ、干椎茸、白菜に春雨。そして「棗」。これまたお正月には欠かせない縁起ものの素材。くわいなどと同じく、子宝に恵まれますようにと祈願したものです。

 「南乳って?」 「紅麹で醗酵させた豆腐、腐乳の一種です」 「じゃ、温公斎っていうのは?」 「「温公」っていう人にちなんだ野菜の炒め煮込みです」と、知ったかぶりの私です。

 「南乳温公斎」については以前紹介したことがあります。広東地方の代表的な郷土料理の小菜で野菜を素材に紅麹仕立ての腐乳の「南乳」で味付けしたもの。肉類を素材にしないことから、精進料理とも見なされてます。

 その由来、諸説あり。
 その1は、「温公」とは「司馬光」の仇名。というわけで「温公」がとある寺で料理を所望した際、お寺ですから精進仕立て。そんなことから生まれ、「温公煲」と名付けられた、という説。
 その2は、70年代、香港の華僑日報のボスだった温氏のために「陸運海飯店」の料理長が野菜主体、南乳で味付けしたこの料理を考案し、出したところ喜ばれ、以来「温公煲」と名付けられるようになった、という説。
 その3は、広東地方南西部「番禺」では「南乳」を「温公」と称していたことが発端、という説。

 いずれにせよ、香港の広東料理店の定番的な料理ですからメニューになくても作ってもらえます。そんなことからわかるのは、袁さん、やはり、広東地方南西部の出身、もしくはその料理を香港で学んできた料理人だってこと。しかも「南乳」、あくまで風味付けでその量、按配、控え目な感じ。口にして、やがて「これ、何の味、風味?」と気づきます。そんなところに袁さんの技あり。