2010/01/26

海斑両吃~両斑三吃 10年1月の「赤坂璃宮」銀座店の4

 続いて「韮黄泡斑球/黄ニラとハタの炒め」が登場。 「真ハタ」の身の切り身を炒めた料理です。「サプライズ・3」の登場です!
スープでは「真はた」のアラを使い、残る身は炒めものに。ということで、魚一匹使って2種の料理。それが「海斑両吃」。
 もっとも、2種の魚料理にする部位の使いわけ、調理方法、種々ありますから「両吃」といっても色々あります。
 さて、「真ハタ」の炒め物。料理名に「泡」ってあることからすると「油泡」、つまりは油通しってことになりますが、衣がついていて、揚げてある感じです。その衣の按配、付け方、衣の厚みに技と工夫あり。
 油通しで揚げた「真ハタ」の切り身の表面は「さくっ」とした触感の「酥」の状態。ぱりぱりの「脆」ほどではないにしても、噛み応えあり。噛み締めれば「ハタ」の身が、ほろり、はらりと崩れていく。
 もっとも「清蒸魚」のようにレア感を残したしっとり系の潤んだそれではありません。火が通ってますから、しなやかな弾力あります。かといって、火が通りすぎというわけじゃない。パサついた感じはなし。
 その、火の通りの按配が見事。緻密な繊維質、しかも柔らかい歯触り、舌触り。それに「ハタ」の身の甘味、旨味が浮かび上がる。その甘味、旨味、脂のノリによるものでしょう。
 もっとも、香港あたりで食べる「ハタ」、香港周辺、さらには東南アジア海域で収穫され香港に運び込まれる南方の「ハタ」、「紅斑」、「星斑」さらには「青衣」などのベラ系の類などとは、肉質、味、風味がなんだか違う印象。ことに肉質の違いは明らかで、締まっている感じ。そういえば、関西でアコウと呼ばれるキジハタに違い感じ。強引な例えでは、鯛など白身の魚の切り身に火を通したような肉質です。それに、沖縄あたりで収穫され、東京に運ばれてくる「ハタ」の類の身、肉質とも違います。
 気になって「真ハタ」、どんな「ハタ」ですか?と橋本さんに質問。
 「ハタの名称は「真ハタ」で、仕入れた者も他の名称は不明です」
 という返事が帰ってきました。
 早速、検索開始。そしたら、日本での通称名「真はた/真羽太」、収穫/水揚げ地によって呼称が異なること(ちなみに三重の隣の和歌山で「シマアク」、南方の沖縄では「アーラミーバイ」なんてそうで)。
 香港では「泥斑」もしくは単に「石斑」。台湾、中国では「七帶石斑魚」と称するのが一般的と判明。黒地に白い縦縞が頭から尾にかけて7箇所あり、なのが「七帶」の由来ってことも判明。
 ま、ネットで検索かけても、ブログ系(って私もですね)いい加減なのがありですから、いろいろ検索かけて見なければ、実態はつかめない。
  ともあれ、久々に見事な「ハタ」の切り身の「油泡」、その美味を味わいました。
 そうそう、丸ごと一匹の魚を使った料理も魚の音が「餘(あまる)」に通じる、ということで正月にか欠かせない縁起担ぎの一品です。