「年糕凍甜品/お正月のお菓子と本日のデザート」の「お正月のお菓子」に目が釘付け。
そのお正月のお菓子、嬉しいことに「年糕」でした。

「年糕」は、さしずめ日本のお正月に食べるお餅にとってかわるもの。日本でもお餅は正月に限らず、年中、食べるように「年糕」をお惣菜の具として使うところもあります。そういえば飲茶の点心で人気の高い大根餅の「蘿蔔糕」もその一種。
なんてことからも明らかなように「年糕」の種類、具材、地方によってまちまちで、種類も味も千差万別。ですが、正月に食べる「年糕」は基本的には甘味仕立て、甜点心的なものが多いようです。ことに北方ではその傾向が強い。それが、南方、つまり広東地方や香港あたりだと、大根、タロ芋、里芋などの根菜類を具材にしたものが多い。
今回の「赤坂璃宮」銀座店の点心長の久保田さんの手になる「年糕」。
橋本さんを通して尋ねたところ、素材は「白玉粉、コーンスターチ、ココナッツ・ミルク、ピーナッツ油、平糖、中国醤油、卵」とのこと。
基本の材料は「白玉粉」、つまり糯米の粉、お餅ってわけです。
その味、風味、素朴でシンプル。素朴で自然な味、風味。ひなびた感じが堪らなく美味。 伝統的な昔懐かしい作りの「懷舊点心」というわけで、久保田さんに感謝。ちなみに「年糕」、「年年高(ガオ)」「歩歩登高(ガオ)」ってことにちなんだ縁起物。正月に欠かせない点心です。
それから好みのデザートを選べる「本日のデザート」。
そんな中に薩摩芋と豆類を煮込んだスープ仕立ての「金著喳咋露」、かぼちゃと豆類を煮込んだスープ仕立ての「南瓜喳咋露」が登場。

右端の手前が「金著喳咋露」。その奥が「南瓜喳咋露」です。
「「薩摩芋」と「かぼちゃ」のデザートは温かいもの、冷たいもの、どちらでもご用意出来ますので、お好みで!」と柏木さん。
「喳咋」は豆や穀物を煮込んだスープ仕立ての点心です。「喳咋」の語源はポルトガル語の「穀物」なんだそうです、このデザート自体はマレーシアのもの、なんていうのが面白い。
香港の甘物屋のメニューにあって、看板にしている専門店もあるほど、香港で広く親しまれてます。日本じゃ滅多に出会えないだけに、こんな点心の登場だけでも嬉しくなります。
今回の素材、橋本さんに尋ねたら 「眉豆、黒豆、小豆、花生(ピーナッツ、麦、タピオカ・金時豆」ということでした。冷製なら、バニラかなんかのアイスクリームを添えて食べたくなります。ですが、胃に優しくって、消化の助けにもなる、ってことでは熱いのに限る。
「薩摩芋」か「南瓜」か、どっちにしようか。迷うところです。
「あの「薩摩芋」も「南瓜」も食べたいんで、誰かと分けっこしますから、最初から両方、半碗ずつ、小ぶりの碗仔で!なんて出来ます?」
いつでも、どこでもワガママな私です。
「あ、私もそれがいい!」
「大丈夫です、かしこまりました!」と柏木さん。

「私もそれにします。それから、マンゴ・プリン!」と、デザート・トレイにない一品を追加オーダー、なんて私よりももっとワガママな人もいました!
「金著喳咋露」に「南瓜喳咋露」。素材の持つ甘さをそのまま生かした素朴で純な味わいです。しみじみと味わい深い。ほのぼのとしていて、心温まる甜品でした。



「ン!? さっきの「豆腐魚腩湯/豆腐とハタのアラのスープ」で、お頭はすでに登場のはず。それが、なんでまたお頭付き?」
頬張った魚の切り身。衣付きですが、先ほどの「韮黄泡斑球」での「真ハタ」の切り身の衣とは違います。ぼってりに近いぐらい、厚みのあるしっかりの衣の付けかた。しかも、さっと油通しの「油泡」じゃなく、煎り焼きの「煎」の感じで、しっかり揚げてあります。ということでは「脆」の触感。ですが、だしで煮込まれ、その表面、だしを吸ってますからぐじゅっとした触感。

















