2008/09/30

秋の訪れ~9月の「赤坂璃宮」銀座店の3

 続いては「喬頭泡干魷/一夜干し烏賊とエシャロットの炒め」が登場。
 ところが、中国語の料理名を見て、思わずドギマギ。
 日頃、中国料理店では漢字で表記された料理名で、内容を判断します。
 一応、中国料理に関しては年季を積んできたつもり!の私には、日本語や英語の表記を見るより、中国語、漢字だけの表記のメニューを見るほうが、内容を把握しやすいからです。

 なんて、知ったかぶりの私ですが、さすが「喬頭泡干魷」には焦りました。
 唯一、理解できたのは一夜干しのするめいかの「魷魚」。日本語のメニューにもそう記されてます。
 ですが、その前の「喬頭」、「泡」が一体何を意味するのか、即座には理解しかねました。

 日本語の表記を頼りにすれば「喬頭」は「エシャロット」ってことになる。
 「え!? 「エシャロット」って「喬頭」だっだっけ?」と、頭が混乱。
 小玉葱のような形状のベルギー・エシャロット風のものなら「葱頭」か「干葱」のはず。
 いや「干葱」なら、日本にある長ねぎだってそう言うか。

 フランス産のエシャロットのように、皮が赤くて細長いらっきょのようなものなら「胡葱」か「紅葱頭」のはず。
 それに「泡」の字、「あ!もしかして「(油)泡魷魚」?」。 それなら、潮州の郷土料理の一品ってことになる。

 とまあ、一瞬にして様々なことが頭をよぎります。
 とはいえ、結局のところ、世の中広いですから、わかんないもの、知らないものがあって当たり前と開き直る。
 いや、ちょっと最近、ヤバイ!なんて思うのは、以前、見聞きしたり、覚えたはずのことをすっかり忘れて、恩讐の彼方!ってやつ。
 ま、年なんでしゃあないっすか。

 ともあれ、料理を見れば真実がわかるはず!
 はたして目の前に運ばれてきたのは、一夜干しのするめいかの「魷魚」。それにベルギー・エシャロットのように小玉葱形のものではなく、細長いらっきょの形をしたエシャロットでした。
                                                                      







そうか、日本のエシャロットって「らっきょ」の一種、軟化栽培した若採りの「根らっきょう」のことを言うんだ、なんてことを思い出した次第。 エシャレットなんて名前で売られてます。

 私が「エシャロット」と言えば思い浮かべるのは小玉葱形の「ベルギー・エシャロット」で、香味野菜として使う頻度も高い。 香港では牛肉と炒め合わせた「干葱爆牛肉」や炒め煮込みの「干葱牛肉煲」などがあって、家庭でも頻繁に作られる定番的な家郷菜、家常菜の一品です。
 となると「喬頭」って、もしかして「らっきょ」? 

 我家に戻り、早速、ネットで「喬頭」を検索。
 画像付きのサイトで確認したら「花らっきょ」がまさにそれでした。
 緑の葉つきで、葱に似ていながら根本がふくらんでいて、ひげがついている。
 しかし、らっきょにしては細長い。香港、本土で見かけたことがあって、生のもの、肉と炒め合わせたものを食べた覚えがあります。パリパリの触感で葱のようにツンとしてはいなくて、らっきょうのようなひり辛の味でもない。

 さらに「喬頭」を検索したら、甘酢漬けで、瓶詰めで売られてるのを発見。
 あっ!こいつ、スーパーで見かけたことがある。そうかあれって「喬頭」、だったのね。
 誰かの家の台所、確か周中兄弟の台所にあったような覚えあり。

 そう、周中家の台所には、各種の甘酢漬け、漬物が色々あって、調味料、隠し味に使ってました。私がその種の漬物類、甘酢漬けの類にはまり、料理するようになったきっかけの一端は、周中兄弟にあり。いろいろ教えられました。

 さて、「喬頭泡干魷/一夜干し烏賊とエシャロットの炒め」。
 一夜干しのいか、エシャロットに、絹さや、もやしを炒めあわせたもの。塩味だけのシンプルな味付けです。一夜干しのするめいかは、さっと火を通した感じ。火を通しすぎると、身が固くなくからでしょう。それで料理名には「泡」の字があるのに納得。やはり、さっと油に通す「油泡」の調理法だから、なんですね。

 そんな一夜干しのするめいかのには、えびの醗酵みその「蝦醬」が欠かせない。
 ほんのちょびっと「蝦醬」をつけて食べると、旨味、風味がぐんと増す。
 エシャロットは、ぱりぽりと噛み応えのある触感で、ほどほどにひりりとした辛味が頭をもたげます。おまけに、土臭くて素朴。そんなエシャロットには、XO醤がぴったり。
 絹さや、もやしは、さっぱり味。口直し、ってところでしょうか。

 「喬頭泡干魷/一夜干し烏賊とエシャロットの炒め」は、我家でも作れそうなシンプルな家常菜、お惣菜です。
 あ、そうか! するめいかにひと塩して、一夜干しにする作業が必要か。
 それとも、するめを水で戻して素材にする、なんてのも良さそうだ。
 いずれにしても、手間隙かかりそうですが、やってみるとおもしろいかも。

 とまあ、お惣菜のヒントを戴いちゃいました。