2008/09/12

8月の「赤坂璃宮」銀座店の5



















 さて、8月の「赤坂璃宮」銀座店のコースの締めくくりは「麺」でも「飯」でもなく「米粉」を素材にした「家郷炒米粉/広東風米粉」。

 それがなんと、大皿に山盛り!見るからに6~8人用はありそう。

 「わ、すごい。ほら、この米粉の戻し方。家でやるとどうしてもベタベタになっちゃうか、それとも、硬めになっちゃうし。それに、ブチブチに切れちゃうのに、これって長いまんま!」と、米粉の戻し方にいたく感心。そうです、私も米粉を戻すにはいつもひと苦労。

 頬張れば、ますますその戻し方に感心しました。調味料の醤油、それに、だしをしっかり吸い込みながら、芯が残る硬さでもなく、ベタっとした柔らかさでもない。それより、味加減だけでなく、まさしく「鑊気」、鍋の気に溢れていて、香りがある。実に風味が豊かで、喉元から鼻に抜けていく香りの素晴らしさに驚きました。

 そんな「鍋」、「鑊気」のある料理を生んだ火の扱い、調理もさることながら、素材の下拵えに感心。米粉の戻し方だけじゃなくって、具の豚肉、ピーマン、赤ピーマン(パプリカ)、黄ニラ、もやしの切り揃えに感心。豚肉、ピーマン、赤ピーマン、黄ニラの切幅、長さは、ほぼぴったり同じ。もやしは、髭、根が落とされて、泥臭さはなし。その細やかで丹念な「板」の仕事こそが「美味」、「鑊気」のある料理を生む最大の要因のひとつ、なのは明らかです。その下拵えの丹念さには驚きました。









 そしてデザートには「南北杏雪茸燉梨/白キクラゲと梨の温デサート」が登場。
 「わお!温ったかいデザート!」と、思わず狂喜した私です。
 「ええ、あの、前回「暖かいデザートはないの?」っておっしゃってらしたので」と、アテンドの柏木さん。
 その言葉に「ギョ!」となって、居住まいを正し、背筋を伸ばした私でした。

 杏仁豆腐やマンゴ・プディングもいいですけど、食事の最後の締めくくり、ことに中国料理だと、温かいデザート、汁物は、ほっと和んだ気分になる。なんといっても「胃」が落ち着きます。安らぎます。それに、食べたものを見事に消化してくれるような、すっきり気分になるのが不思議。

 「南北杏」とは、「南」と「北」の「杏仁」、杏の実のことです。「南杏仁」は甘く、「北杏仁」は苦く、それぞれ、肺を潤し、せきやたんを鎮める作用があり、梨も同様の薬効があり、ことに、風邪、扁桃炎で喉が痛むときは効果的。 ともあれ、嬉しいデザートでした。

 画像は「家郷炒米粉/広東風米粉の炒め」と「南北杏雪耳燉梨/白キクラゲと梨の温デザート」です。