私事あって神戸に戻りました。
もう神戸には住めなくなってしまった私ですが、神戸には「行く」や「出かける」というより「帰る」とか「戻る」という気持、気分が抜け切れない。
もう神戸には住めなくなってしまった私ですが、神戸には「行く」や「出かける」というより「帰る」とか「戻る」という気持、気分が抜け切れない。
神戸に「戻る」となると、立ち寄らないではいられないのが「神戸元町別館牡丹園」。
創業、確か今年で57年、だったと思います。
最初にその名を教えられたのは小学校の級友からのことだった、はず。
最初にその名を教えられたのは小学校の級友からのことだった、はず。
それよりも、中学時代の同級生に元町の裏の住人がいて、平林君ですが、彼から「なんぼおいしい!」と教えられ、思わず舌なめずり、という食い意地の張った卑しいガキでありました。
もっとも、我家は父親が最初は栄町、次いでそごう裏のビルにあった料理店が好みだったことから、出かける機会もなく、実現できたのはずっとあと、大学に入ってからのことです。
その後、その存在を再認識したのは、香港に足繁く通うようになってから。日本ではお目にかかれないと思っていた香港の味を「別館牡丹園」の料理の数々に出会ってからのことでした。思い起こせば、それらのメニュー、ずっと「別館牡丹園」にあったもので、そのことにも愕然とした覚えがあります。
久々の「別館牡丹園」で食べたのは「姜葱叉焼蝦仁撈麵」と「什錦炒麵」。
時間の余裕があれば、夕方の営業開始の時間に飛び込み、あれやこれや食べたい物を食べ尽くしますが、今回はその余裕もなく、昼、しかも、開店前に直行。
「姜葱叉焼蝦仁撈麵」は、霞のベールのように、どっさりと白髪ねぎ。
久々の「別館牡丹園」で食べたのは「姜葱叉焼蝦仁撈麵」と「什錦炒麵」。
時間の余裕があれば、夕方の営業開始の時間に飛び込み、あれやこれや食べたい物を食べ尽くしますが、今回はその余裕もなく、昼、しかも、開店前に直行。
「姜葱叉焼蝦仁撈麵」は、霞のベールのように、どっさりと白髪ねぎ。
白髪ねぎをかきわけると、細切り(といっても、「絲」ではなく、「条」というにふさわしく、マッチ棒を4本束ねたほどの厚み、太さかがある)の「叉焼」がたっぷり。見るからに新鮮なむきえびがごろごろ。
その下に、だしで和えた麵が寝そべっているという按配。
茹でた麵を皿に盛りつけ、ねぎとしょうがの細切り、叉焼を載せてできあがり、といった香港の「麵粥屋」仕立てのそれではなく、香港の料理店でしかお目にかかれない本格的な「姜葱叉焼蝦仁撈麵」です。
茹でた麵を皿に盛りつけ、ねぎとしょうがの細切り、叉焼を載せてできあがり、といった香港の「麵粥屋」仕立てのそれではなく、香港の料理店でしかお目にかかれない本格的な「姜葱叉焼蝦仁撈麵」です。
「叉焼」がうまい。
もっと驚くのはむきえびの新鮮さ、ぷりっとした触感、甘味、旨さ。
韓国料理ではないですけど、麵と具をぐちょぐちょにかき混ぜてこその「姜葱叉焼蝦仁撈麵」。しょうがとねぎのヒリリ感も刺激的です。
韓国料理ではないですけど、麵と具をぐちょぐちょにかき混ぜてこその「姜葱叉焼蝦仁撈麵」。しょうがとねぎのヒリリ感も刺激的です。
それにしても、優しく、穏やかで、上品な味、豊かな風味に、しばし、箸がとまります。
「什錦炒麵」は、いわば五目焼きそば。
「什錦炒麵」は、いわば五目焼きそば。
麵は(揚げた)硬いのと、(茹でた)柔らかいのがあります。
どっちにしようか、と迷うかみさん。
2代目ご主人の王泰康さんに尋ねたら
2代目ご主人の王泰康さんに尋ねたら
「やっぱり、本格的で旨いのは、やわらかいやっちゃろね!」、と。
茹でた麵を炒める「炒麵」の奥義は実に深い、ですから。
「別館牡丹園」の「什錦炒麵」は、具がどっさりでたっぷり。
「別館牡丹園」の「什錦炒麵」は、具がどっさりでたっぷり。
むきえび、いかの薄切りなどに加えて、えびのすり身を平たく伸ばした百花餅もあり。というのに、思わずにんまり。こんなの、香港の昔ながらの料理店の「什錦炒麵」でしかお目にかかれません。
「什錦炒麵」の味付けも、優しく、穏やかで、上品で、風味が豊か。しみじみと旨いなあと、心から思います。
五十代、六十代と思しき上品な身なりご夫婦や、普段着でもきちんとしたひとり客のおっちゃんが、「什錦炒麵」などの麵や飯をたのんで、しっかり平らげて帰る、というのが頼もしくて、麗しい。
もっとも、「別館牡丹園」、麵や飯だけでなく、この店には、今では香港ではなかなかお目にかかれなくなった懐かしい香港の味、香港周辺の広東地方の郷土料理が沢山あります。
もちろん、日本では現地そのままの素材の調達は難しい。
もちろん、日本では現地そのままの素材の調達は難しい。
そこで、日本の素材に置き換えてありますが、調理、味付けの基本は、現地のそれを踏襲。
実は「神戸元町別館牡丹園」は奥深い。そのうち、その真髄、本領を紹介するつもりです。
そんな「別館牡丹園」の真髄をなんとか紹介したいと某料理雑誌に企画を持ち込んだところ、編集長は大乗り気。
ところが、案内を買ってでたのが、地元、関西で活躍するフード・ライター/コーディネイター。
その某氏、「別館牡丹園」は「焼きそばが旨いんです」ということで、編集長はそれ以外、私が薦めた広東地方の郷土料理を下敷きにした料理には出会えないまま、企画はボツになりました。
その某氏、「別館牡丹園」は「焼きそばが旨いんです」ということで、編集長はそれ以外、私が薦めた広東地方の郷土料理を下敷きにした料理には出会えないまま、企画はボツになりました。
地元でご活躍のフード・ライター/コーディネイター氏、「別館牡丹園」については「ご近所御用達」って認識しかなく、広東地方の郷土料理がわんさかあるってこと、ご存知なかった様子。
おっと、いけない、いつのまにか「ヘイフンテラス」のオーラ(の泉)がこびりついちゃってるみたいで。