2008/02/09
「冬の広東地方の郷土料理」(5)
さて、7品続いて、それで終わったわけではない。
そう、中国料理の宴会、家族や友人と食事を一緒にする時だって、7品にはしない。それは、弔いのお供えの数ですから。それに、日頃気心の知れた、それこそ気の置けない仲間との食事ですが、一応、「宴」というともあって、縁起を担いで料理8品を基本に考えます。
最後の締めくくりは、麵か飯。
当夜の主宰者、メインは青木さん。ということでその内容は青木さんにおまかせというつもりでしたが、青木さん、その決定をゲストの斉藤さんにまかせました。
斉藤さんのリクエストは「麵」。しかも、汁そば。
「さっぱり、あっさりのがいいなあ!」、と。
そんなことなら「上湯麵」以外にない。
斉藤さんの言葉には大いに納得。
というのも、今回のコース、前半のハイライトが大分、日田産の「梨子鹿」の異なる部位の料理が2品。後半のメインが「八寶鴨」。しかも、本来は8人から10人の宴会でもOK、という分量を4人でしっかり平らげたのですから。
ということなら、「麵」でも「飯」でもなく「粉」。
そうです「米粉(ビーフン)」の汁物ってのも、悪くはない選択。
ですが「上湯麵」と思い浮かべた途端、すっかりその気分になりました。
「上湯麵」は、麵の触感、味わいもさることながら、だしが決め手。具は青菜と「火腿」の細切りだけ。それが、何とも、しみじみとして味わい深い。
といって、オヤジ、じじい好みな、いぶし銀系の滋味豊かな、っていうようなものでもない。
なんといっても、だしに張りがありますから。
といって、いきなりガツンときて「ンメー!」と叫んじゃうような、レトルト、インスタント食品育ちで、塩味たっぷりな味に慣れっこな、今時、アダルトグルメ系の脳天を刺激するようなものでもない。
最初はすっきり。
やがて、じわじわとだしの旨さが広がっていく。
「ねえ、これ、結構、味、しっかりしてるね!」
というように、麵を頬張り、だしを味わううちに、その美味が浮かび上がる。
「上湯麵」の旨さ、余韻に引きずられ、食事の締めくくり、デザートのことをすっかり忘れてしまったほどでした。
そこに、登場したのが、甘い点心。
クスっと笑みが浮かんで、幸せな気分になりました。