月餅については、一時、病み付きになり、中秋節の前後には四個入りの月餅の缶が山積み状態、なんてことも珍しくありませんでした。20缶とはいかないにしても、軽く10缶を越えるのはざらでした。
どうして10缶を越える月餅があったのかと言えば、凝り性の私、評判の店の月餅を食べ比べてみたかった。ただ、それだけの理由です。蓮の実餡の「蓮蓉」も、オーソドックスな「紅蓮蓉」がいいか、「白蓮蓉」がいいか。「鹹蛋」は何個入りがいいのか。それに、小豆餡の「豆沙」、ナッツ入りの「五仁」、さらには「火腿」、「咸肉」入りなど、興味あるものはほぼすべて試しました。
ということでの結論。まず「鹹蛋」の黄身の数ですが、8切れに切り分けて食べることを考えると、2個か3個入りがいいってことになる。もっとも、2個でも、場合によっては「鹹蛋」の居場所、ちょうど真ん中だといいんですが、そうじゃない場合、餡とのバランスが悪くなる。3個だと、まんべんなく「鹹蛋」がいきわたりますが、場所によって「鹹蛋」の分量が多くなる。
さて、2個の「雙黄」にするか「三黄」にするか、迷うところです。ところが、店によって餡の良し悪し、というか、好みがある。それに「鹹蛋」、独得のクセがあるもの、いい店とそうでない店がある。ということで、店によって「紅蓮蓉」か「白蓮蓉」、それに「雙黄」か「三黄」を決めるという方針に決定。
なんてことで、私の好みは「紅蓮蓉」の「雙黄」なら「恒香」、「三黄」なら「奇華」。「白蓮蓉」なら「栄華」ですが「蛋黄」にくせがある。小豆餡の「豆沙」なら「奇華」。「五仁」、「火腿」、「咸肉」なら「恒香」か「蓮香楼」、なんて、物好きもいい加減にしてくれ!と我ながら思います!
実は「五仁」に「火腿」は「高陞」のがこれまで食べた中でベストでしたが、とうの昔になくなっちゃって、今や幻の味。そういえば、香港で広東料理店からファーストフードの店まで手広く経営する美心集団の「月餅」。
最初の頃は、なんだかなあ?という印象だったのが、ここ最近「蓮蓉雙黄」の餡、及び蛋黄の質が向上!ファーストフード・チェーンが作る「月餅」もばかにできないもんだ!と関心したこともあります。
香港のほとんどの広東料理店では、店独自の「月餅」を用意。本来は顧客に配るものとして用意。長い付き合いのある顧客には「月餅」が届きます。それが、やがて一般販売も開始。老舗の「月餅」に対して、それぞれ工夫あり。なんてことで、顧客でなくとも、色んな店の「月餅」が手に入ります。そういえば、香港の香港島店、九龍店でも「月餅」の一般販売を開始、なんて話を聞きました。
以前、中秋節の頃に香港に滞在していた時には、部屋の中に各店の「月餅」が山積み状態。しかも、そのすべてを賞味して味比べ。なんて、私、凝り性というより、馬鹿丸出し、ですね。
そういえば、一時、話題になったのがペニンシュラホテルの「嘉麟楼」の「迷你月餅」。毎年、必ずゲットしていたほどでした。ところが、ある時期を境に、質が落ちたんで入手を中止。最近はどうなってるんでしょうか。
そんな広東料理店独自の「月餅」ってことでは、日本の「福臨門」のそれが悪くない。小ぶりのものと大きいもの、2種ありますが、大きいのがいいですね。日本で入手出来る「月餅」では極上、最上級のもの。その洗練された味、風味は格別です。とりあえず今年はまず小ぶりのものを賞味。大きい「月餅」が楽しみです。