某日、中野サンプラザでJEROのファースト・コンサート。
その帰り、念願だった蔡才生さんの「蔡菜食堂」初訪問。
随分前から「中野においしい中華の店、あるんですよ!」という噂を耳にしてました。
そんな話を教えてくれた知人が「「dancyu」に紹介されましたよ!」ってことで、見たらびっくり、阿佐谷から数寄屋橋に場所を替えたバートランドでホール担当だった蔡さんじゃない!
和田さんからも「蔡さんが店を出した!」なんて話を聞いてましたが、何人もの人からの「絶対にお薦め!」なんて話に興味深々。とはいえ、中野に行く機会ってそう滅多にない。山下達郎のコンサートに中野サンプラザに行った際、帰りに立ち寄ったものの、最初は満席、2度目は休日。なんてことで三度目のトライ。
ところが、玄関の扉を開ければ、満席!
「今日もだめか!」とあきらめかけたところ
「あ、私達、お勘定終わったら出ますから、ちょっと待ってて!」なんて声が。
「ま、ここ、一席あいてますから、待っててください!ここの料理、ほんとに美味しいんですよ!」
「そう「鶏レバーのペースト」、バードランドより、もっと美味しいから!」 なんて話の展開に、私は思わずどっきり!
蔡さんに「鶏レバーのペースト」を伝授した和田さんが聞いたら、なんて言うか!、
「あ、そですが、あのバードランドの「鶏レバーのペースト」って、ヒントになったのがあって、吉祥寺にね・・・・」と言いかけたところ
「あ、「竹爐山房」でしょ?」なんて話の展開に「をいをい!」状態!
「あ、そうか、もしかしてここの御主人とは昔からの知り合いでらっしゃるんですか?」
なんて逆に質問されて
「いや、あの、一応は顔見知りで」としどろもどろで、冷や汗だらだら。なんでまた?
ふと隣をみると、瓶ビール、一人手酌のアラサーリーマン兄い。
目の前にはつまみの皿。美味しそうなんで、思わず 「あの、それ、なんていう料理で?」と初対面の見知らぬ人でも話かけちゃう私です。
「蔡菜食堂」では、白いボードにマジック書きで今日のお薦めのメニューが。
ですが、全部、日本語での料理紹介(当たり前、ですよね)。
ところが、私、日本語で書かれた中国料理のメニューだと、調理方法とか味付けとかあまりに簡単な表記すぎて、具体的な料理な内容が理解できない、想像がつかないものがある。中国語による表記じゃないと……ほんと、やな中国料理かぶれの知ったかぶりオヤジです。
サービス担当は蔡さんのおかみさんの王梅玉さん。
「あの、あそこに書いてある料理、こういうのですか?」
気になる料理を片っ端から手持ちのノートに漢字で表記。
「ン!?」なんて表情のおかみさん。
そうか、私が書いたのは繁体字。簡体字でないと話がすすまない。焦ります!
そこに蔡さん登場。
「じゃ、あの、前菜、少しずつ、特別に色々、一皿に盛るから、いいでしょう?それからメニューを決めたらいいじゃん!」
なんて言葉に、ほっとひと安心。
で、お酒。
リストにはビール、紹興酒、ワイン。
好物のグルナッシュが、でも「オーストラリア?」、なら、ちょっと荒々しいかも。
やっぱり中国の白酒がいい。
キッチンに引っ込んだ蔡さんに代わったおかみさんに
「あのう、白酒、ないかな?」と、リストにない酒を、無理やり強引にリクエスト。
ほんと、やな中国酒かぶれの知ったかぶりオヤジなんです、私。
しかも、上海の家庭料理が看板の店に来て、紹興酒じゃなくって、白酒の有無を尋ねるなんて、言語道断、ってやつですか?でも、料理にあわせて紹興酒。甕入りとかじゃなくって年代ものならいいんですけど!なんてキザですよね。知ったかぶりもいい加減にしてくれ!と、我ながら思います。
「前菜は、やっぱり「白酒」がいいから、くぃっと一杯いきたいし!」
「でも、白酒は出ないし、ねえ。ちょっと待って、主人に聞いてみます。もしかして「汾酒」があったかも」
と、おかみさん。
そこに再び蔡さんがキッチンから登場。
「これしかないんだけど、いい? 私が普段、一人で飲んでる酒!」。
なんと「二鍋頭!」、ではないですか!
「二鍋頭酒」は高粱を元にして作った酒で北京はじめ北方の庶民に親しまれてるもの。「孔府」なんかも、親しまれてます。
「え!上海人なのに、北方の焼酎、飲んでるわけ?いいです。これ、私の好物ですから。文句ないです、これこれ、これがいいです!でも、こんなの飲んでるの?」。
蔡さん、結構、お酒がすきなのかも!
「それより、この店に常備するようにしてよ!」
初めて訪れたのに、あつかましくねだる私でありました。