怒涛のような、って鳥越祭の本社の千貫御輿だけではなく、一時、相次いだコンサート通いも、しばしひと段落。と、思いきや厄介な原稿やら早急に片付けや解決の処理を必要とする出来事が重なってアップアップ。そんな間隙を縫って、ひとりで、あるいはツレを見つけては、気になる店に出かけてみるようにしています。
そもそもは昨年末、オールド・ボーイズ向けPOPEYE「OILY BOY」で、東京の若い新進気鋭の料理人をレポートしたのを発端に、新進気鋭の若手料理人がオーナー・シェフを務める店、中国本土からやってきた料理人が料理長を務める店に関心を持ったのがきっかけです。
いずれ、東京の最新の中華料理事情、もしくは、日本の最新の中華料理事情をレポートしてまとめたいという意思があってのことですが、出来れば中国料理に限らず、新世代の料理人を追っかけてみるのもおもしろいかも、なんて思いはじめたからです。
とはいうものの、なかなか時間が見つけられない。時間を見つけて出かけてみたところで、福臨門や「赤坂璃宮」銀座店のようにどの料理もレベルが高く、なおかつコースとしての構成、その緩急の妙や味、風味の変化を楽しめるのは、やはり難しいといのが現実だったりします。
それにこのブログ、香港の広東料理、あるいは中国料理の知られざる実態やその奥深さ、その背景にあるものを紹介したいというのが本来の趣旨、目的。それに関連して食の文化比較というのが根底のテーマですから、そうしたことに関わる何かを見つけないことには話も弾まない。小言ぢぢいの本領の発揮のしがいがない。
もっとも、興味をかきたてられた店、料理がないわけではありません。
たとえば、大阪の「一碗水」がその1軒。もはや旧聞に属する話題ですけど、この4月、大阪の新歌舞伎座に五木ひろしの公演を見に出かけた際、帰りに久々に立ち寄りました。
「一碗水」、大阪では予約が取れないと評判の店。そんな大阪での人気、評価の実態、かつてdancyu誌の創刊200号記念の特集「日本一旨い店を集めました」で同店を紹介した大阪の門上武司さんに尋ねましたが、忙しい身ということもあって返事はまだ戴けず。
その代わりに届いたのが「神戸元町別館牡丹園」の王泰康さんと息子の文良君の「父子鷹」を紹介した「魔法のレストラン」のDVD。こいつが面白かった。
あ、門上さん、「一碗水」のご返事、待ってますから!
私が「一碗水」、オーナー&シェフの南茂樹さん、それに彼の作る料理に興味深々なのは、彼の目線、意図するもの、姿勢の面白さにひかれてのことです。吉祥寺の「竹爐山房」の山本豊さんのもとで修行し、薫陶を受けた一人だってことも理由のひとつ。
最近でこそオーナー&シェフによる新趣の店が大阪、神戸、京都に相次いで登場。その話題の店の数々の情報、耳に届きます。そんな新潮流の突破口のきっかけになったのが「一碗水」、というのはどうやら誰もが認める話のようですね。
例えば、今回出会った「腌篤鮮/塩漬け豚肉、豚肉、筍、百頁(押し豆腐)の煮込み」に、南茂樹さんの熱い気概、意気込みを感じました。