「ウミテング(海蛾)」は初体験。なんだか「タツノオトシゴ(海馬)」のよう。
いったいどんなもの?なんて思ってたら、アテンドの山下さん、その正体、ネットで検索してプリントアウトしてくれていました。
家に帰って、私も検索。そしたら、タツノオトシゴの仲間らしい。
タツノオトシゴ、漢方素材としてしばしば用いられます。タンパク質、脂肪、多種のアミノ酸を含んでおり、男性ホルモン作用があるといわれ、補腎、つまりは腎機能を強化するってことで漢方、薬膳料理に用いられます。しかも強壮薬として疲労回復、ED(勃起不能障害)や精力減退、遺精に効果的!なんてところも興味津々!ということからすると、ウミテングも同様の効果あり?
ちなみに画像で2匹浮かんでいるのがそのウミテング。
この「党参燉海雀/ウミテング入りの漢方スープ」、豚の赤身肉の「痩肉」がだしの要の様子。それ以外に、杞子、淮山、牛蒡、棗、北芪、党参(つるにんじんの根)とともに「燉」、つまりは湯煎蒸しした一品。「燉」ですからスープは濁らず澄んでいます。
その味、旨味もありますけど、それ以上にほろ苦さ、渋味、えぐ味がほのかに浮かび上がる。漢方素材を使ったスープに特徴的な味、風味。口にするたび薬効あり!なんてことがひしひしと。心と体が洗われる感じで、しみじみと滋味深い。
こんなスープ、香港の広東料理店では常備されているんですが、日本ではなかなかお目にかかれないし、味わえないのがとても残念。いや、実際のところ、近頃ホテルの広東料理店で漢方素材を加味した「例湯」におめにかかることもあり。
もっとも、漢方素材を使い、薬効を語られますけど、「だし」に旨味のある素材を加味して濃い目の味付けに。というのも漢方素材を使ったスープ、日本ではあまり馴染みなし。つまり、スープってこでは、ひと味、旨味、味付け濃い目にしないと受け入れられない、といった日本の(中国料理、広東料理の)現状あってのこと。まんま香港のスタイル、味、風味で、という訳にはいかないそうです。
なんてところ、やっぱり香港は近いようで遠いのが現実、ってことですか。
滋味豊かな「党参燉海雀/ウミテング入りの漢方スープ」を味わいながら、フクザツな気分になりました。