2010/04/07

春の広東小菜が満開~10年3月の「赤坂璃宮」銀座店の2

 そして「春菜蝦仁炒/芝海老と春野菜の炒め」。
 芝海老、あわび茸(白霊茸)、こごみ、うるい、筍、白アスパラガスを塩味で炒め合わせた一品です。

 芝海老のぷりっとした触感、甘味、旨味を引き出した火の入れ加減はさすが袁さん。
 加えて、あわび茸(白霊茸)、こごみ、うるい、筍、白アスパラガスのそれぞれに異なる歯触り、噛み応え、の青さやらほろ苦さやらえぐ味やら、素朴で清楚な素材の持ち味を生かしながら、はんなり包みこんだ優しい味わい。

 「わ~!春らしい料理ですね。このほろ苦さ、まさに春の味。でも、苦味とかえぐ味とか、抑えてある感じなのが、いいですね」と、素材のひとつひとつ触感、持ち味の引き出し方、素材の組み合わせの妙、味付け、調理に絶賛の声が上がります。
 どうやら仕上げに上湯で煮含めたような様子。口にしてしばらく、だしの旨味、風味が喉奥から鼻に抜けるような感じがしたからですが、もしかして錯覚かも!

 実は海老の炒め物、油通しの「油泡」だと、いつもならパブロフの犬の条件反射のように「蝦醤」か「蠔油」をちょっぴりつけて、なんて按配なんですが、今回はその必要なし。行き過ぎない塩味の加減、プラス、だし?の旨味のせいでしょうか。

 ともあれ、春は霞、朧のベールでほろ苦さ、えぐ味が包まれた押し付けがましさのない気品のある味わい深い一品でした。