2010/04/07

春の広東小菜が満開~10年3月の「赤坂璃宮」銀座店

 おっといけない。ボブ・ディランの東京公演で頭クラクラ。おまけに他にも難問を抱えてて頭を悩ます日々が続いた結果、3月の「赤坂璃宮」銀座店の報告、月を越えてしまいました。
 まずは「璃宮焼味盆/璃宮特製焼き物前菜」。
 その登場とともに「あれ?いつもとなんだか違う!」。
 何が違うのかといえば並んだ焼き物の色合い、切り方、野菜とその組み合わせ。それに全体のレイアウト。「なんでだろ?」と不思議がっているところに支配人の橋本さんが登場。
 橋本さん曰く、今月から前菜の焼き物担当のスタッフが替わり、新たに平林さんが着任とのこと。

 その内容、右上3種は、皮付きバラ肉の「焼肉」、鶏肉の辛味味付けの焼き物の「辣鶏」に「叉焼」。その下、家鴨の舌の滷水(たれ)漬け(?)、海蜇の頭、山くらげに、醤油漬けらしい大根。その左上、柚皮。その下に白髪ねぎと胡瓜の千切り。

 皮付きバラ肉の「焼肉」はいつもより皮の焼き方がしっかり。というよりも少々焼きが入り過ぎの感じでパリパリ状態。ですけど、肉はしっとり。もっとも、切り方、サイズが小さくなったのがちょっと残念。それに「辣鶏」、「叉焼」もこれまでからすると焼きはしっかり。でもなんだか醤油の味が立ち過ぎてる感じでした。

 それより皆さんが驚いたのは家鴨の舌。私はこれまで何度も体験済み。
 家鴨の舌、いろんな料理方法がありますが、今回のは滷水(たれ)に漬けて煮込んだ様子。実は舌には軟骨があって、その周りの身をこそぐようにして食べる。その身はわずかですが、味の染み込んだ舌の味は格別。
 「これ旨い」と大好評。その脇にある海蜇のぽりぱり感との触感の対比も一興です。

 そして話題になったのが「柚皮」。干した文旦(ざぼん)の皮を戻し、味付けしたものです。香港/広東地方では沙田柚の皮を干したものが一般的で、春節を過ぎてしばらく夏前頃までに季節料理として広東料理店に登場。

 干して、戻した煮込まれた文旦の皮の歯触り、舌触り、噛み応えが一風変わっていて面白い。皮の繊維質、滑らかで、独特のねっとり感としっとり感あり。そうだ、ジュースを含んだスポンジケーキに近い触感です。噛み締めるとぐじゅとした触感。じゅわっとだしの旨味がほとばしる。おまけに独特のコクがある。
 「へ~! なんとも評し難い食べ応えと味ですね。ねっとりというか、こくがあるというか。それより、これ文旦の皮でしょ?それを食べる工夫をする、なんてところが面白い!」
 実際のところ、香港で食べる「沙田柚」に比べれば皮は薄め。どうやら日本の文旦の皮を干した赤坂璃宮自家製の「柚皮」の様子。それにしてもこの「柚皮」にしろ、家鴨の砂肝を生から干した陳賢にしろ、香港にあっても日本では調達不可能な素材、日本産の材料を調達して自家製でなんでも作っちゃうという譚さん以下、赤坂璃宮の料理人、スタッフの努力と熱意には頭が下がります!嬉しくなります。応援したくなるのも当然でしょう。