噂の歌舞伎町の「湖南菜館」を初訪問。
噂の、なんて言っても私の周辺でのことで、果たして世の評価はどうなんでしょうか?
ちなみにネットで「湖南菜館」を検索。
そしたら、もっぱらランチメニューで店、味の評価の投稿がほとんど、なんてことからその評価はまったくあてにならず、店の所在、場所、地図の確認のためにしか存在価値や用のない通称グルメサイト、それに地元新宿歌舞伎町の応援サイトやブログでその名を発見するのみ。
それ以外には、極私的マニアックな食のブログ(あ、私のもそうですね!)でその紹介を見かけたぐらい。なんてことからすると、もしかしてまだ知る人ぞ知る店のひとつ?なんでしょうか。
「湖南菜館」のことを知ったのは、ウチのかみさんが友人共々勉強中の中国語の教師である奈々先生に課外授業として連れられて行ったのがきっかけです。奈々先生も「湖南菜館」のことを知ったのは、御主人で某新聞社勤務のカメラマンの郭さんが、たまたま「湖南菜館」をプロデュースした李小牧さんを取材、というのがきっかけだったそうで。
そうです、この店、新聞や週刊誌などで見かける「歌舞伎町の案内人」こと李小牧がプロデュースした店。確か昨年の夏に開店したはず。新聞かもしくは週刊誌で見かけた記事が印象に残ってたことや、他の人からも噂には聞いてました。
ちなみに、某グルメサイトには「『歌舞伎町案内人:李小牧』プロデュースの店」、ってことで、店の案内、湖南料理の特徴、効用が簡単に紹介され、しかも、本場中国の名店『毛家飯店』本部から料理人を招聘、なんてある。
もっとも、そんな紹介を読んでも、日頃、その某グルメサイトへの不信と疑惑を抱き続ける私としては、額面通りには受け取れません。ところが、課外授業で奈々先生に引率され「湖南菜館」に出かけたウチのかみさん 「(中国)本土の味を味わえる店、めっけ!」と、大はしゃぎ。
「値段が安いんで、素材はそれなりなんだけど。ま、その辺りはしょうがないとしても、素材の下拵え、素材の切り方とか、料理一品の素材の組み合わせや分量に按配、それに、なんといっても調理が素晴らしいし、風味、香りがあるの!全然、日本の中国料理とは違う味、風味!」と、熱弁しきり。
な、こと書くと、一体どんな夫婦?なんて思われるかも。ま、長年連れ添ってるもんで、食事時に限らず交わす会話はそんなのばっか! というか、うちのかみさん、話題が豊富。ですけど、私は大抵、ただただふんふんとうなずくだけ。 夫婦の会話が成立するのは、私が会話の受け答えができる飯、料理、食べ物の話ばかり。
ともあれ、かみさんから話を聞いて以来「湖南菜館」に出かけたい思いながら、それが果たせず、ようやく初訪問が実現できたのは先月のことでした。 といっても、多人数で訪れての宴会なんかじゃなく、とある方との打ち合わせの場所にふと思いついて出かけた次第。
そんなことで人数はふたり。注文できる料理の数は限られますが、評判に聴いた肝心な料理はしっかり押さえました。
まずは、前菜代わりに「口水鶏/よだれ鶏」。 いや、初訪問ですからほんといえば前菜にも関心ありでしたが、その内容を見てもなんだかそそられませんでした。
さて「口水鶏」といえば、四川料理のそれが一般的。なんでも近年、人気、評判を呼んで、いまや四川を代表する料理の一品に。四川料理が大流行の北京経由で日本にその評判が伝わった、との説もありで、その話もうなずけます。
ですが「湖南菜館」の「口水鶏」は、東京のいくつかの店でお目にかかれるそれとはいささか趣が違いました。 なんていうより、湖南料理に「口水鶏」ってあったっけ?いろいろ資料調べても、なし。
ってことからすると、北京通いを頻繁に繰り返しているらしい李さんのアイデアで、メニューに加えたのかも。その話、李さんから聞きそびれました。
ですが「あのこれって、他の店の、ほら、四川料理店の「口水鶏」とは、味も風味も違うけど、どんな作り方?」なんて、李さんに尋ねたら「あ、それ、俺、わかんないや!料理人にまかせちゃってるから!」とのことでした。
画像でも明らかなように、辣油まじりのタップリの油が、茹でた鶏をひたひたの状態で覆いつくし、なおかつ胡麻がたっぷり。それに白髪葱。
鮮烈な赤が物語る通り、辛い!ひーひー、ふーふーの辛さです。
連れの「辛い!」という一言には、明らかに「激辛だ!」のニュアンスが。けど、私にはフツーの、なんてことない辛さ、でした。
それより、豆豉、つまりは、醗酵した黒豆味噌なんかも入っていながら、四川料理店で食べる「口水鶏」にくらべ、豆板醤の味、コクや、花椒の「麻」の痺れ味がない。酸味、甘味もある爽快で鮮烈な辛さが特徴的。甘味、というのは、たっぷりの油にも関係してのことかも。そこに酸味がからんだ酸辣の味、風味。それが「湖南菜館」の「口水鶏」でした!