「湖南菜館」の「剁椒魚頭」は実に旨い。美味です。
辛味が利いてます。鮮烈な赤い色彩がそれを物語ってます。 とはいえ、赤い色彩は唐辛子だけでなく赤いパプリカもあってのこと。その赤いパプリカ、青臭さ、ほろ苦さ、甘さがあって、唐辛子の辛味を和らげてます。それに、微塵の唐辛子、パプリカなどで覆いつくされた魚の頭を取り囲む赤いパプリカの存在も見逃せない。 このアイデア、一体誰が考案したものなんでしょうか。
某グルメサイトの紹介によれば、「湖南飯店」の料理人は本土の「毛家飯店」の本部出身とのこと。
早速ネットで検索。本部のサイトでは「剁椒魚頭」の画像が見つけられず。 ところが、北京をはじめ中国全土にある『毛家飯店』、なんだかフラインチャイズ・システムの感じなんですが、中国各地の各店のサイトで見つけた画像によれば、なんと赤いパプリカじゃなくって赤い唐辛子の小口切りがどっさり。
ということからすると、赤いパプリカを効果的に使ったのは「湖南菜館」独特のもの?美的効果、それに、辛味を和らげるための工夫から生まれた産物、なんでしょうか? その辺りの事情を詳しい方、是非、ご連絡を!
ともあれ、赤いパプリカは実に効果的。本場そのまま、唐辛子の小口切りどっさりなら、まちがいなく抵抗があるかも。もっとも、中には、本場かぶれ(って、私もそうですけど!)、まんま、唐辛子の小口切りどっさりでなきゃ、って人もしるでしょうね。いや、まじ、私もそれを試してみたい!
それより、この「剁椒魚頭」の美味は、辛味だけじゃなく、酸味がしっかり利いていて、しかも、直接的ではなく、まろやかで滑らかな舌ざわり。こくや旨味があります。
そう、酢、漬物の乳酸、酸味の強い果物に火を通せば生まれるあの味、風味!
酸味だけでなく、甘味、旨味がある。それと唐辛子の辛味が入り混じって醸し出す清々しくて爽やかな味、風味、コク、旨味が、しっかり味わえる。
実は、最初、メニューを決める段階で、お店の人にあれこれ尋ねました。
アテンドしてくれたのは山東省出身の女性です。料理の内容のあれこれ、どんな調味料を使っているのか、仔細を尋ねた際、基本の調味料を確認。その対応、回答が実に懇切丁寧。もちろん、MSG(化学調味料)の類の使用の有無についてもです。
なんて、MSGの話題に触れると、批判、非難の嵐を浴びることがあるのはちょっと厄介。
もっとも、私、「今更そんなこと御託並べて、大げさに言うか!」の、スローフード信者でもなければ、生産者礼賛のフードライター諸氏に目立って多い「絶対的な有機無農薬産物信者!」でもありません。
個人的な嗜好からでもなく、早い話、一定の摂取量を越えると身体に異常をきたす!というだけのことなのですが………。
ともあれ「湖南飯店」におけるMSGの使用の有無、その対応、処置については、なんと嬉しいことに本土の料理店、一般の大衆食堂並みのレベル、寛容さ! といっても、それをふんだんに使うってことじゃありません。客の要望にしっかり応え、使用有、無し、その減量にも対応。既に使用済のものは、それを明確に教えてくれ、「どうしましょうか?」と、その対応は実にきめ細か。
私、思わず「ワオ!」と、快哉を叫びました!
嬉しいじゃないですか!日本の中国料理店も、是非、見習って欲しいところです!
なんだか、話が横道にそれちゃいました!
そう、メニューを決める段階で、あれこれ、話を聞いた段階で、使っているお酢は日本のそれ。
黒醋はない、ってことでした。なんてことからすると、「剁椒魚頭」のまろやかな酸味、甘味、こくは「お酢?日本のお酢で、こんな味、旨味、こくがでるの?」
「違います!」と、李さんはきっぱり!
同時に、やおらキッチンに姿を消し、携えてきた調味料の一瓶をテーブルの上に!
「これ!これです!これがその秘密!」
それには「蒜茸剁辣椒醬」と記されてました。
湖南省株洲市産のものでした!