2008/07/24

7月の「赤坂璃宮」銀座店の3

 そして、4品目の「鹹魚牛崧豆腐煲/牛挽肉と豆腐の鹹魚風味煮込み」が登場。

 土鍋の中でぐつぐつ煮えたぎる豆腐。その上には、切り込みを入れた白葱のぶつ切りが、え~ひ、ふう、みい、よ~、表面に見えるのは全部で9本。

 そうです、撮影した画像で白葱の数をチェック。豆腐の数は……ま、いいっすか?
 画像撮影禁止だった「ヘイフンテラス」(私もしつこい!)と違って、バンバン料理の写真撮りますから。もうしわけないことに、その間、皆なはお預け待機。 
 前にも話したように、土鍋煮込みですが、汁気もたっぷり、というのがここ「赤坂璃宮」の「鹹魚豆腐煲 」の特徴です。そうだ、なんで、汁気多いのか、理由を譚さんに聞くのをわすれたので、回答は後日。

 それにしても、ぐつぐつ煮えたぎる料理の顔つき、色あいがとても良い。いい香りがします。もちろん、「鹹魚」のくせのある香りが、あたり一面に。それに、鍋の気、「鑊気」に溢れてます。
「ねね、これもやっぱり「馬友」?」と、支配人の大藤さんに「鹹魚」の種類を尋ねたら、「そうです!」と、にっこり、キッパリ。

 なんて、話を聞きながら、やっぱりこの「鹹魚牛崧豆腐煲」、白いご飯がなくっちゃ、白いご飯と一緒に食べなくっちゃ、意味ないかも。
 「あの、すんません。白いご飯、そだな、2個。それに、お碗を4個!」と、大藤支配人に注文。

 「これ、ご飯なしに食べないって、なんてもったいなすぎるから!最後に麺か飯なんだけど、白いご飯にのっけて食べちゃいましょ!」、とまあ、皆の意向を確かめないで、白いご飯を注文。
 ウケました。白いご飯と一緒に食べるのかめっちゃウケました。
 
 「これ、こうやって食べると、すごく美味しい!」。
 「でしょ?」と、自分で作ったわけでもないのに、自慢気な私です。なんて、話の間にしっかり白いご飯に「鹹魚牛崧豆腐煲」を載せて、ご飯をかっこんでる人もいて。

 ところがこの「鹹魚牛崧豆腐煲/牛挽肉と豆腐の鹹魚風味煮込み」。普通のとはちょっと違います。すでにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
 そうです。この「鹹魚豆腐煲」、香港じゃ、それに広東地方じゃ「牛肉」ではなく「鶏肉」と組み合わせるのが一般的。「鹹魚鶏粒豆腐煲」というのがその料理名。それも「鶏粒」とあるように、みじん切り、もしくは粗みじんが普通です。中には、賽の目切りの「丁」や、ぶつ切りの「球」の半分くらいの鶏肉だったりすることもあります。

 それが、「鶏肉」ではなく「牛肉」の粗みじん、粗いひき肉状なのが、ワザのひとつ。「鶏肉」は、ご存知の通り、肉自体そのものは淡白さっぱり系。それが「牛肉」の粗みじん、ひき肉を使うことで、旨味を増し、味が濃くなる。だしがしっかり、味の濃いものになります。

 そして、白葱、4センチほどの長さで、しかも、細かな切り目入り、というのがワザのふたつ目。単に薬味、風味づけってことだけじゃなく、葱も要の味のひとつになってるのが面白い。すき焼きのだしを吸って葱の、あの感じでですね。さらに豆腐は賽の目の倍位の大きさで、衣をつけて、油で揚げて下拵え。油で揚げた結果表面は「脆」、そうです、パリサク。それがだしに絡んで、しっとりパリサク。噛み締めれば、豆腐は「嫩」そのままの柔らかさ、というのがワザの3つ目。

 そんなところで見逃せないのが「脂」と「油」の効果的な使い方、使い分け。
 そうです、牛肉の粗みじん、ひき肉の味の濃さは、牛肉そのものがもつ「脂」もあってのこと。さらに豆腐の下拵えの「油」の使いかた。さらに「鹹魚」も、「油」で調理されて、クセのある「匂い」ではなく、クセのある「香り」が引き立つという寸法です。
 そして、土鍋にたっぷりのだし汁がぐつぐつ煮えたぎる様を見てると、そこでも「(化粧)油」をさりげなくしのばせてある感じです。 それとも、牛肉の「脂」のせい?いや、それだけじゃない様子。それに、鍋の「火」の加減がポイントなはず。その辺は、今度、譚さんにあったら確認してみます。

 そして、しっかり、濃い味。だから白いご飯との相性は抜群です。「鹹魚雞粒豆腐煲」とは趣の違う味、風味。そのインパクトは強烈でした。