2010/06/30

赤坂璃宮・飯田橋店・初探訪の2

 当日、登場した料理は以下の通り。
 前菜はなしにして、まずは「湯」。「芥菜豆腐痩肉斑頭腩煲湯」です。
 芥菜、豆腐、豚赤身肉とハタの頭、アラの土鍋煮込みのスープ料理。
 ハタはあずきハタ。ハタは時価ですから値もはります。本音としては避けたい事態。ハタほどではないにしても値は張りますが、肉質とかを考えればアイナメあたりでとも思いましたが、生憎、これぞというアイナメの入荷がなかったそうでハタになったという次第。
 もっとも、高級海鮮が看板の赤坂璃宮ですし、しかもホテル内のレストランということからすると、それなりの魚ってことになるとハタ、という事情も納得ができます。

今回のハタの調理方法。頭や中骨、胸鰭、尾鰭などのアラの部分は「湯」にして、残る身は別の料理に。というのは「海斑両吃」のバリエーション。本格的な宴会料理などの場合にはハタも大ぶりのものが用意されます。

 それも、身の部分は油通しの「油泡」にする「油泡斑球」や切り身に菜芯の茎を身に刺し火腿などもはさんで簪仕立てにした「玉簪斑球」ってことで「油泡」にする。もしくは「清蒸」にする。アラの部分は揚げて醤油煮込みにする「紅炆斑翅」というのがスタンダードというかオーソドックな「海斑両吃」。

 それがアラの部分をスープ仕立てにするのは、通好み、もしくは、上流家庭の家庭料理的趣ってことになります。魚はなんにしろ頭や砂擦り、縁側などヒレのついた部分が旨いのは魚好きならご存知のはず。

 そんなハタのアラと芥菜、豆腐を煮込んだスープですが、痩肉(赤身肉)を使って旨味を加味。しかも、海鮮の魚、やはり、煮込むと特有のクセが出る。というあたり、生姜とかでクセをなくしてあります。
 白濁したスープは魚を煮込んだスープ料理特有のもの。しかも、コクがありますが、すっきりとしていて爽やか。上品で洗練されています。「赤坂璃宮」銀座店の袁さんも同じような料理、これまでに作ってくれましたが、やはり料理人の個性の違いが出るもので、袁さんのそれとはどこか違います。福臨門系の味、風味、ということでその出自を隠せない。

 続いてハタの身。1センチ弱の厚みに切り揃え、火腿、干椎茸を並べて蒸した「麒麟」仕立て。その周りには芥蘭。ハタの身もさることながら、火腿、干椎茸の組み合わせ、その味の差異、さらには上湯をベースにしたダシの旨さが格別です。
 やっぱり、こういう料理だとハタじゃないと、なんて思わず口に出たりして!