私が選んだのは画像真ん中の手前の「蓮子露」。蓮の実のすり身を素材にした言わば汁子。そこにゴマ餡入りの団子が二つ。
冷たいのと(凍)と熱いの(熱)のがあって、もちろん「熱」を所望。
「それ、よさそうですね。私は冷たいのがいいなあ。それと「マンゴプリン」!」
「え、え!? デザート二品?」
「だってここの「マンゴプリン」旨いもん!」なんて方もいらっしゃいます。「私もそうしようかな。それに私も「マンゴプリン」!
さすがの私もデザート2品はお手上げ。負けました!
そして登場したのが毎月恒例となった久保田さんの昔懐かしい「懷舊点心」。
「金木犀の風味漬けをした小豆餡の点心です」と山下さん。
私、初体験。表面を覆う透明な膜に浮かび上がる金木犀。見かけは日本の葛饅頭という趣きですけど、葛饅頭の表面って半透明ですからちょっと違います。まるで日本の生菓子みたいな点心に出会うのは初めて。
その透明な膜の下。「さつまいもでございます!」と山下さん。 さつまいもってことは「蕃藷」。と言われれば、その色合い、さつまいもそのまま。 その美しさにもったいない、なんて思いながらひと齧り。 甘味があります。ですけど、これ見よがしな甘味じゃありません。素朴でひなびた味、風味がします。大地に根ざす根菜の根太い力強さ、ふんばりが浮かび上がる。
さつまいも。広東料理では意外に素材として使われます。潮州料理に多いような印象がありますが、香港で出会うさつまいもの多くはその素朴で力強く、踏ん張りのある甘さを生かした点心類。さつまいもの賽の目切りやらぶつ切りが糖水の素材としてごろごろ、なんて感じの昔懐かしい点心の類、街中の甘物屋で出会えます。
この点心「金著香桂花」というのがその中国料理名。「桂花」、つまりは金木犀を素材にした料理は無数にあり。点心にも多いです。なんせ「桂花」だけの料理を集大成したウェブ・サイトもあるぐらい。ですけどこの「金著香桂花」は、そこにもありませんでした。
さつまいもの純で素朴な味、風味ってことだけでなく、中味の餡とも一体となって日本の上品な生菓子に匹敵する旨さ、奥深さ。私、初体験だった「金著香桂花」の気品と洗練に目を見張りました。
そして登場した「蓮子露」。
冷たいのじゃなくて温かいのを頼んで大正解。あ、私には、かもですね。
温かい点心はなんだかほっと心和みます。なんといっても胃にやさしい。舌を撫でるざらっとした触感。ふっくらでっかい「圓子」からはじめるようにとびだすゴマ餡のこくのある濃密、濃厚な旨さ。
幸せを感じます。