関西の落語育ちの私、ボブ・ディランやビートルズとともに小米(後の枝雀)の爪先着地の危ういスリルを体験してきた世代です。
東京にやってきて矢吹申彦の誘いもあって東京の落語にはまり、東横落語会はじめホール落語、さらには朝太(後の志ん輔)らの若手の会に通ったことも。
年月を経て、芸術祭の審査員を務めるようになったのをきっかけに、落語熱再燃。たまたま担当していたラジオの番組の語り手に落語、講談などの演芸系の若手を求めていたこともあって、二つ目、真打若手の会などにも馳せ参じました。
寄席にしろホール落語の会にしろ、開口一番を務める前座や二つ目の噺にはいろいろ制限有りなんだそうですが、同じ噺を繰り返し耳にしていても「あ、こいつ、面白い!」なんてアンテナがぴくぴく。ライブハウスで名もない新人バンドに惹かれる、なんてのに通じます。
そんなことで最近、興味津々なひとりが初音家佐吉。
昨年夏、新宿末広亭にふらりと出かけた際、ウチのかみさんが虜になっちゃった、なんてことを紹介した初音家左橋師のお弟子さん。
実は左吉くん、ロックンロール好き。
左吉の「左」は師匠の「左橋」から。「吉」の字は矢沢永吉の「吉」にちなんだものと自称。
http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Profiles.aspx?code=438
「そうなんですよ、あいつ、ロックンロール好きでね」とは左橋師。
ですけど左橋師、矢沢永吉もなんとなく知ってる風、とまあどうやらロックンロール事情には疎い様子。
ロックンロール好き、なんてことで興味を持って、いろいろ左吉くんとやりとりするようになって判明したのは、コアなロックンロール・フリーク、ってことでした。
矢沢永吉の名を出してるのは表向き、わかりやすからなんてことだったみたいです。
でも、落語好きな人に矢沢永吉って、どれだけ通用すんのかなあ……。
左吉くん、もちろん、矢沢命。ですけど、清志君(って忌野清志郎)命でもあり、仲井戸麗一だけじゃなく三宅伸治、さらにはブルーハーツからクロマニヨンズにいたる足跡まで熟知なんて話に「お、こいつ、おもしれえ!」と思って当然でしょう。
おまけに当人に色々話を聞くまでもなく、目指すは「ロックな落語」なんてことがひしひしと伝わってきます。そんなところが頼もしい。応援したくなります。
で、このたび、落語協会のインターネット落語会の6月の中席に登場。
http://www.rakugo-kyokai.or.jp/
YOUTUBEなら以下のサイト http://www.youtube.com/rakugodcc#p/c/2448C7455A59BDA1/0/WsKM_Js1mp4
(残念ながら、以上、中席の左吉くんのりンク2件、外されちゃいました)
リーゼント風ヘアーで噺に取り組む左吉くん。
頭の中、覚えこんだ筋書き、なぞりながら、自分らしさを織り込みながら、実直、生真面目に噺を披露。
どこかロックンロールなの?なんて突っ込みありそうですけど、しっかり基本は抑えて「ルイジアンナ」。まっつぐなところに、ロックンロールの道は外さない!
なんて意気込みとその人柄が滲み出てるところが、頼もしいです。