いよいよ締めくくり。それがなんと「干炒魷魚河/河粉と一夜干の烏賊の炒め」の登場でした。それも、大皿にたっぷり盛られた「干炒魷魚河」を手にして登場した大藤支配人、まずは仲間の一人の目の前に。 それがメンバー全員の「干炒魷魚河」を一皿に盛ったものと思いきや、仲間ひとりけのためのものでした。
「ええ、お決まりの「超大盛り」です!」と、大藤支配人。それから、私の「大盛り」、それに残る3人の「普通盛り」が、次々に登場と相成った次第。さては大藤支配人、拙ブログをチェックなのに違いない!ということが判明。
「河粉」は米の粉から作った米粉(ビーフン)の一種。うどんの一種である平麺の「きしめん」に、形状が似ていることから「広東風きしめん」、「香港風きしめん」と称して「河粉」の料理を紹介している店もあれば、「河粉」の日本での入手が難しいことから素材をきしめんに代えて「河粉」の各種の料理を紹介してる店もあります。
「河粉」には、生のものと乾燥させたものがあります。生のものは乳白色。乾燥したのは半透明の状態。その幅、7~8ミリのものから1・5センチ弱の程まで、色々あります。それに「河粉」の料理、調理方法や味付けは、実に多種多彩。広州にある「沙河粉」の料理の専門店に行ったことがありますが、料理の幅、多彩さに驚きました。そん時、お土産に買った干河粉の良さはいまだに忘れ難い。
多彩な料理がある中で、香港で人気が高いのが、牛肉を具材にしたもの。そのひとつが「干炒牛河」。つまりは、焼きそば、焼きうどんにも似て、「河粉」、「牛肉」、時に、もやしや茎野菜なども一緒に炒め合わせ、オイスター・ソース、あるいは、中国たまり醤油の「老抽」などで、味付け、色付けしたもの。通称「ドライ」と呼ばれているもので、「干炒」の文字が物語るとおり、汁気なし。汁気がないように炒めてあります。
もうひとつは、通称「ウエット」。「炒牛河」もしくは「菜遠牛河」という料理名で、炒めた「河粉」に、牛肉、茎野菜などを炒めてとろみをつけたあんかけ状の具材をかけたもの。
それより、生の「河粉」にしろ、干したものを戻した「河粉」にしろ、素材自体、水ッ気があってベタベタ状態。茹でた麺ならおよそは水気も切れますが、「河粉」の場合にはそうはいかない。
そんなことから、「河粉」を炒めるにはワザが要る。火の強さ、炒める油の加減と、その温度の見極め。ベタベタの水気を失くしても、炒めた油のベタベタが残っていれば意味がない。というわけで「炒飯」同様「鍋」使いの技量を試される、料理人泣かせの料理のひとつです。
その「炒飯」にしても、日本では「炒飯」とされながら、実はそのほとんどは「焼き飯」だったりして。その差、違いは歴然としているのに、実態不明のまま混然状態。
「エ!? 「炒飯」と「焼き飯」って、どこがどう違うの?」と、素朴な疑問を持たれるかたもいらっしゃるでしょう。それについては、また後日!
さて今回の「干炒魷魚河/河粉と一夜干しの烏賊の炒め」。具が牛肉ではなくて、「烏賊(いか)」。それも「一夜干し」というのが実に憎い!
その「烏賊」、香港だと大抵の場合、使われるのは「するめいか」で、大雑把ながらほとんどの場合「魷魚」と表記されてます。生のものを調理することもあれば、ひとしおして一夜干しにする。あるいは、日本の「するめ」同様、時間をかけて干し、調理するには、戻して、身を柔らかくしてから、というのが一般的。
今回の場合には、その身の柔らかさからすれば、一夜干しでしょう。味はしっかり。さらに、炒めて火を通した結果、旨味を増してます。そう、あのいか独特のくせある濃厚な味、風味が味わえるという寸法です。それに、風味付けの醤油が実に効果的。
水気の、あるいは、油っ気のベトベト感は皆無。火の扱い、巧みな「鍋」のワザを物語る一品でした。
ちなみに画像は私の「大盛り」サイズ。超大盛り、普通盛は、ご想像ください!