2009/10/01

秋の訪れ!09年9月の『赤坂璃宮』銀座店の2

 そして「干貝青瓜餅/干し貝柱と胡瓜入り海老すり身の煎り焼き」が登場。
 干し貝柱、蝦のすり身、慈姑(くわい)、干し椎茸になんと「胡瓜」がその具材。それをつなぎでまとめ、小ぶりのお餅状に。さらに煎り焼きの「煎」で調理。さしずめ海鮮入り、胡瓜入りのミニ・ハンバーグの趣。
 私、この一品、初体験。 

 「「胡瓜」って、中国料理に使うんだっけ?」
 「うん、ほら、四川料理で豚肉の薄切りを茹でて、辛味のタレをかけて食べる「雲片白肉」ってあるでしょ?。あん時、胡瓜の薄切り、スライス、一緒に食べたことない?
  それから、胡瓜を叩き潰して辛味の醤油タレで食べる前菜、なんて言ったけ、う~ん、「麻辣黄瓜」。そうそう、北京の食堂なんかに行くと、胡瓜の前菜の冷製にいろんな味付けのがあるよ」

 「そういえば「酢豚」に「胡瓜」って入ってること、あるよね」
 「そうね。でも、「胡瓜」を炒めたる料理って、それ以外に知らないな」
 「でもないんですよ!「胡瓜」を厚めに切って、ほら、漬物の「胡瓜」の厚さぐらいに。それと「海老」を炒めた料理ってあるんですよ。

 おもしろいことに「玉葱」ね、それも、キャベツやレタスのように一枚、一枚、剥いでから「胡瓜」位の大きさに切り分け、一緒に炒めるの。すると炒めた「胡瓜」がいくらか「しんなり」して、「ぱり、さく」感、薄らぐでしょ?でも、味はすっきり。それから玉葱も火を通すとしんなり、「くた」っとなるけど、甘味を増すでしょ?どっちも、火が通って「しんなり、くた」のへたれな感じなのに、微妙に触感も違って、面白い組みあわせ」と、知ったかぶりの私です。

 そういえば、潮州料理に「胡瓜」をザクきりにして、海老のすり身とか併せて、ピザみたいに平たい円形に延ばし拡げて、お好み焼きみたいに煎り焼きにしたり、かき揚げみたいに油で揚げる「青瓜烙」って料理、お惣菜があったなあ!なんて別の話をしながら、ふっと思い出しました。

 袁さんによればこの「干貝青瓜餅」、広東地方の「家郷菜」ってことです。
 けど、潮州料理の「青瓜蝦烙」に通じものがある。「青瓜烙」のように、平たい円形や、でっかいかきあげ風じゃなくって、小ぶり丸めて、餅状に。そういえば海老のすり身にいろいろ具材を入れて、煎り焼きにする「蝦餅」は、広東料理にも、潮州料理にもあります。

 そんなことからすると「青瓜烙」、「蝦餅」のバリエーションじゃない?ってことに気づいたわけです。しかも、この「干貝青瓜餅」、焼き色しっかり付くぐらいに煎り焼きにしてあって、外側は、ぱりっとした歯触りのする「脆」の触感なのがグッドというかグレイト!

 海老のすり身、戻してほぐした干し貝柱、干し椎茸がおりなす甘味や旨味に、慈姑のさくさくの触感。さらに火が通って多少「しんなり、くた」のながらもどこか「ぱり、さく」感、すっきり爽快な瑞々しさを残してるのは「胡瓜」ならではの味、風味。しっかりその存在を主張。

 そういえば「胡瓜」も夏の名残物。
 それにしても、この「干貝青瓜餅」、火を通した胡瓜の味、風味、触感、その存在感が目立ちます。馴染みのないないものだけに、なんだかミョーな感じもする。ですが、すっきりの爽快感が意外だ!
 「家郷菜」、しかも「お惣菜」らしい一品ですが、調理、味上品です。ちょっと辛味のあるタレをつけて食べるうち、白いご飯がほしくなります。

 そうか、この「胡瓜」、生じゃなくって、浅漬けとか糠付けとか「ぱりぱり」の触感残した漬物の「胡瓜」なんか使うと、面白いかも。そういえば「沢庵」なんかもよさそうだ。実際、「沢庵」入りの卵焼きなんてあるから、そこに「海老のすり身を加えて………」
 いつの間にか《遠い目》。自分の世界に没頭してしまう私でありました。