最後はそれぞれ好みで選べるデザートの甜品。が、その前に、特別なデザートが登場。
昔懐かしい甜品の一品の「椰香薄缶掌捲/ゴマとピーナッツバターとココナッツのライスクレープ巻き」。
中国の料理名の「缶掌」は、それで一語。文字自体は点心のメニューなどで見かけることがありますが、PCでの漢字表記にはなく、漢字変換は不可能。香港や広州のサイトなどでも「缶掌」と2字で表記。
どうやら広東語の音韻にあわせた広東語独自の表記らしく、慣用語、慣用表現としてして定着しているようですが、正しい漢字表記を!なんてことで「撐」もしくは「撑」という漢字で表記しているのもあります。どうやら、しっかり巻き付ける、って意味のようで。
その言葉通り、ゴマやピーナッツバター、削ったココナッツを具にしてしっかりまきつけてあります。その生地、ライスペイパーなんてことからすると米の粉で出来た腸粉ってことになりますが、生の腸粉は乳白色。
それとは違ってこれは半透明で、乾燥させたライスペイパー、そう、ベトナムの春巻きに使う半透明のライスペイパーに似ていて、それよりいくらか厚みがあります。
この種の巻き物のデザートでは米粉にくわいの澱粉、黒ゴマあるいは白ゴマを混ぜ合わせて平たく伸ばし、きっちり巻き付けた「芝麻捲」がありますが、それって70~80年代に飲茶の点心に登場。ということからするとこの「椰香薄缶掌捲」はそれ以前からある昔ながらの伝統的な点心の一品。
随分と以前、昔ながらの老舗の茶樓、広東料理店の早茶、午茶の飲茶巡りをしていた頃、油麻地の豪華酒樓、北角の十大、それに筲箕湾の茶樓でみかけた記憶があります。しかし、「芝麻捲」の登場とともに滅多にみかけなくなりましたが、懐古的な料理の復活とともに、昔懐かしい点心として話題に昇るようになったもの。
ちなみに点心料理長の久保田さん、香港じゃなくって横浜のシェラトン時代に習ったそうで。ということは、日本にも紹介されていたってことになります。ともあれ、先月の「南瓜水晶包」にしろ、この「椰香薄缶掌捲」にしろ、珍しい点心を用意してくれるのが嬉しい。これからどんな点心が登場するのか、楽しみです。