締めくくりの「面・飯」。
今月は「鮑汁炆伊麺/鮑ソース入り煮込みそば」。
「伊麺」、すなわち「伊府麺」は、卵入りの麺。「伊府麺」、日本の中国料理店、それにスーパーなどでもみかけますが、細めのものが一般的。 それが、香港だと、平べったくて少々幅広。といってきしめんほどの幅の広さでもなく、その半分ぐらい。イタリアの乾麺の「リングイネ」に近いです。そんな香港で食べる幅広の「伊麵」が登場したのに吃驚!
以前、食べた雲呑入りの「香港雲呑麺」の「麺」は、香港から空輸した直輸入品でしたが、もしかしてこの「伊麺」もそうなんでしょうか。 実際、麺の旨さがちがいます。すっと歯が入る柔らかさで、噛み締めるとしっとり感あり。腰のある讃岐系の麺をお好みの人にはうけないからもしれませんが、モチモチ系のうどんが好みっていう人なら、好み、ぴったりのはず。
その柔らかさ、独得の触感は、麺自体の素材の質ってこともありますが、揚げて、煮込んであるという調理方法のプロセスによるもの、のはずです!そして、味付けは干し鮑を戻した際に生まれる鮑汁をもとにした旨味たっぷりなもの。具は韮、もやし、それにどうやらエリンギらしい触感の生茸。
いたってシンプルな汁が少なめの煮込み麺。ですが、調理に手が込んでる。おまけに「鮑汁」は高価な調味料ですから、実は贅沢この上ない麺料理。宴会料理の締めくくりに登場ってことも少なくない。
袁さんが調理、味付けしたこの「鮑汁炆伊麺」、旨味たっぷりでも洗練された上品な味付けで、その味加減が見事。風味豊かな麺料理。「旨い!」と一言唸って、あとは、無言。ひたすらつるつる。するすると喉元を通り過ぎていきます。