2008/11/02

広東地方の郷土料理シリーズ、遅ればせながらの2008年「夏の巻」の9

 あれあれ、いけない。11月に入っちゃいました。なのにまだ「広東地方の郷土料理シリーズ、遅ればせながらの2008年「夏の巻」なんて、情けない。

 さて「欖角炆排骨」に「正宗鹽焗鶏」と、食べ応えのある肉料理、鶏料理が続いたこともあって、「今日は、なんだか、こないだよりも量がたっぷり。沢山食べてるみたいだけど!」と、斉藤さん。
 「そうだと思って「鹽焗鶏」、一人分の盛り付け、一口分くらいにしてもらったんですよ」と、青木さん。

 「実は、コースの品数、料理の数、基本的には前回と同じく前菜、麺・飯を入れて10品なんですが、ほら、最初の「冬瓜盅生翅」、冬瓜だけでなくスープもたっぷりありましたから。それにすっぽん料理の「紅炆水魚」も、今日は7人ってことだったのと、すっぽんのサイズが大きいものしかなかったようで、量もたっぷりでしたから。
 
 それに、贅沢な宴会料理だけじゃなくって、郷土料理、お惣菜的な料理も、たっぷりなんて思ったもんですから!」。そうですね、コースの組み立て時における料理内容もさることながら、一皿ごとの分量についても慎重にと、課題、反省点にもなりました。

 そこで登場したのが野菜料理2品。最初は「魚香茄子煲」。













 茄子の収穫は得意先の料理店への供給分だけは確保できたという埼玉、東松山の加藤紀行さん。それも、茄子3種、加茂茄子、青茄子、真黒茄子の内、真黒茄子の出来栄え、その甘い味わいは、今年の加茂茄子、それに頑丈な青茄子を凌いでいた。なんてことから、加藤さんに手配を依頼。

 料理は「魚香茄子煲」。「魚香」といえば日本では四川料理でのそれが一般的。日本では豆板醤、本場四川では唐辛子の塩漬けの「泡辣椒」で味付けした辛味の利いた料理です。それが、広東料理、香港で「魚香」といえば塩漬け醗酵の「咸魚」の味付けで、というのが一般的。

 しかも、以前、触れてきたように「茄子」は「寡」、すわわち、それだけでは味気がなくて、物足りない、なんてことから鶏肉を細かな賽の目切りにした「鶏粒」が使われ、茄子と炒め合わせて、二番だしで煮込んだもの。と言うわけで厳密な料理名は「魚香茄子鶏粒煲」。

 「これ、この茄子、甘くて、旨い!」と、斉藤さん。肉料理、鶏料理と続いてお腹が一杯。ギヴ・アップ寸前だったはずの斉藤さん、茄子をパクパク。

 ほんとに、茄子が旨い。というより、火を通した茄子が甘い。しかも風味が強くてクセのある塩漬け醗酵の「咸魚」の味、風味、さらには鶏肉にも負けずに、その存在を主張。素材の個性、持ち味、茄子そのものの味わい、風味が堪能できた一品でした。

 もう一品の野菜料理は「節瓜」素材に、干し貝柱の「瑶柱」をたっぷり使い、とろみあんで味付け、調理した「瑶柱扒父節瓜甫」。














 本来は、加藤さんの「はぐら瓜」を使う予定が発育不全で充分な数を調達できず。そんなことから「節瓜」にとって代わったという次第。ところが、食べてみると「節瓜」のはずが、火を通したその触感、舌触りの滑らかさ、しっとり、しんなりで、だしを含んだ味わいから浮かび上がるのは「はぐら瓜」の持ち味、風味。もしかして「はぐら瓜」だったのかも。確かめるのを忘れました。

 そして「斉藤さんや、景山さん、海津さんに、新参加の下河辺さんに「絶対その美味を味わってもらいたいから!」と、青木さんのリクエストで炒飯は戻した干したこ、鶏肉入りの鮑汁のリゾット風の炒飯の「鮑汁鱆魚鶏粒炒飯」で締めくくり。
















 「これ、すごいですね。旨味がたっぷり。味もいいですが、香りがいい」と景山さん。
 海津さん、下河辺さんも「こんな炒飯もあるんだね」と、同様に感心した様子。
 斉藤さんと言えば、黙々とひたすらもぐもぐ。
 私も、久々に「鮑汁鱆魚鶏粒炒飯」を味わって、大いに満足。

 そして「広東地方の郷土料理シリーズ、遅ればせながらの2008年「夏の巻」はその幕を閉じたのでありました。