2008/11/27

閑話休題 ザ・フー・ライブ・アット・ザ・武道館

 「ふ~」なんてため息を漏らしながら、更新のブログ書きそびれて日が過ぎちゃいました。
 こんなことなら、今月も赤坂璃宮の月例報告、月を越えそう。なんて事態は避けたいと思い、一応、下書きは用意してます。

 こんな事態になったのも、10月の半ば以来、連日、中、小のホール、演芸場、ライヴ・ハウス通いが続いたからです。連日なんてことはないにしても、週に何度かコンサートへなんてのはよくあることです。が、夜だけじゃなく、昼、夜、立て続け、なんてことがしばしば重なって、日頃とはいささか異なる行動に、あたふたした日々を送ったからでありました。

 もともと閉所恐怖症で密室空間に長時間居続けることが苦手。コンサート評などを書かねばならないなんてことになると、やはり、右の耳、左の耳でしっかり、聞き届け、目の前の出来事を頭の中にしっかり刻み込む!というわけでコンサートが終わればどっと疲労がおしよせる。

 とはいうものの、コンサートでは知ってる馴染みの歌だったりすると、一緒に歌ったりする、なんてことから、結構、楽しんでたりすることもあるんですが。それでもさすがに昼、夜、立て続けに空気が止まったまんまの密室空間に居続けというのはこたえます。

 たとえば、先週の月曜日、昼間は横浜の関内ホールで秋元順子のコンサート。その足で九段の武道館で、ザ・フーのコンサート。ザ・フー・ライヴ・アット・武道館。
 これが凄かった。今年見たコンサートの中では間違いなくベストのひとつ。

 その翌日、昼間は会議。夜は後楽園ドームでビリー・ジョエル。秋元順子のコンサート評を書かんといかんし、どうしようかなと思いながら、やっぱり、その場にいて雰囲気味わったり、見ておかない、ってことででかけました。

 久々に見た(聞いた)ビリー・ジョエル。のっけからヒット曲が立て続け。「これって美味しい曲ばっかりだね!」と、隣に座った立川直樹先生。うん、確かにそうだ。

 ビリー・ジョエルといえば、78年の暮れ、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの公演が忘れ難い。その前年に発表した「ストレンジャー」から立て続けにヒットが生まれ、それまでホール・クラスの公演が続いたビリー・ジョエルが、初めてアリーナ・ツアーを実施、なんてことで話題を呼んでました。

 そういえば、ブルース・スプリングスティーンが、ライヴ・ハウス中心の公演からホール・ツアーを一気に飛び越え、アリーナ・ツアーを実施したのもその年のことで、たまたまシアトルでそのツアーを見たものです。

 後楽園ドームのビリー・ジョエルの公演を見ながら、マディソン・スクエア・ガーデンで見た時のことが甦りました。懐かしいヒットが立て続け。もちろん、一緒に歌いながら、なんか、どっか、違うんだよなあ、という違和感をぬぐえない。なんというか、ビリーはピアノを前にして熱演をくりひろげる。ところが、ビートのタイミングとか、リズム、グルーヴが昔とはなんだか違う。ドラム、ベースのリズムのアンサンブルが、昔と違うっていうのが、その理由じゃないかと思いました。あの頃、つまり、70年代から80年代にかけての頃とは、バンドのメンバーを一新。なんてのが、その大きな理由でしょう。リズムはタイトなんですが、寸詰りの感じ。おおらかさと言うか、強弱の変化、ダイナミズムがいまひとつ。なのに、なんだか馴染めない感じがしたものです。

 それには、前日、武道館でのザ・フーに打ちのめされた、ってこともあったからじゃないかと思います。今ではオリジナル・メンバーはロジャー・ダルトリーとピート・タウンゼンドを残すのみ。懐かしいヒットが続々繰り広げられる。けど、現役バリバリのザ・フーでした。

 カンフーのヌンチャクさながらに、マイクをびゅんびゅん振り回し、ガシっと手にして歌うロジャー。あ、1回、振り回したマイク、うけとめるのをドジりましたが、それでも、さすがの手さばき。それより、声に衰えがなく、しっかり贅肉を落としていてパワフルでパンチがある。「マイ・ジェネレーション」でのどもるように口ごもりながらの歌いぶりに、鳥肌が立ちます。

 ピート・タウンゼンドも、スリムな体系は変わらず。しかも、びゅんびゅん腕を振り回して、絶妙のパワー・コード・ギター・プレイを披露。かっこいいいことこの上ない。懐かしい昔の歌を聞かせるだけじゃなくって、エコロジー、地球の温暖化問題などについて言及したメッセージ・ソングなどもあって、それが、バシっと耳に届く。贅肉をそぎ落とした現役バリバリの演奏は、ストーンズも目じゃないぐらい、パワフルなのに、圧倒されました。そう、アメリカのバンド、懐かしい名前にひかれて見にいったら、ふとっちょのオヤジで昔の面影なし、なんてことがあるのとは実に対照的。

 そういや、バックにはリンゴ・スターの息子、ザック・スターキーが参加。そのザックの演奏もなかなかのもの。シンプルな味のあるプレイを得意としたリンゴとは対照的にテクニカルな演奏に持ち味を発揮。う~ん、でも、まだ、隙間感というか、ビート、グルーヴの間合いには、課題ありかも、と思いながら、けど、キックの強烈さと、フィルのセンス、なかなかのもんでした。

 家に帰って、ザ・フーのアルバムをとっかえひっかえ聞きなおしたりして。ブログの更新、遅れたのは、ザ・フーのせい、でもないんですが、ザ・フーのコンサート、すざまじく強烈でした!