11月の「赤坂璃宮」銀座店、滑り込みセーフで月を越えずにブログ・アップが間に合いました。 まずは「金銭焼味盆/焼き物前菜盛り合わせ」。方形のお皿に、色合いが映える前菜が並びます。
画像の手前3品が、メインの焼き物3品。右はこれまでにすでにお馴染みのはずの皮付き豚バラ肉の焼き物の「焼肉」。メンバーの誰もが楽しみにしている焼き物の一品。左ははじめてお目にかかった「胡麻和えの蒸し鶏」パリパリの皮の上に胡麻がびっりしまぶしております。その胡麻のプチプチ感、噛み占めればあの香ばしい味が弾けます。なおかつ鶏肉はしっとり、ジューシー。
で、問題は真ん中に居座る焼き物。目の前にして、即座に「金銭鶏肝」だとわかりました。「これこれ!この「金銭鶏肝」、焼き物担当の梁師傳に頼んで作ってもらい、なんとか食べてみたいと願っていた一品。以心伝心ってことでしょうか。
「金銭鶏肝」は、広東地方の伝統的な焼き物のひとつ。鶏の肝、つまりはレバー、それに豚の背脂、そえに豚のロース、肩バラや腿肉、豪華版なら「金華火腿」を組みあわせて、タレで焼いたもの。それも麦芽糖の蜜汁をたっぷりつけながら、ということから、こってり濃厚な甘味が特徴です。
香港ではかつては広東料理店の宴会コースの主要な前菜の一品だったものの、いつの間にかコレステロール過多なことや、甘味、塩味しっかりの濃厚な味が敬遠されて、焼き物を扱う「焼臘店」でしかお目にかかれなくなっていたもの。ところが、ここ最近、昔懐かしい「懷舊菜」が話題になるに及んで、この「金銭鶏肝」も再脚光を浴び、看板の料理にする店が続出。はやり物には誰もがすぐなびいてしまう香港らしい話です。
「赤坂璃宮」銀座店の「金銭鶏肝」は、焼けば半透明になる豚の背脂、レアな焼き加減でねっとりの触感と血の味を残した鶏の肝に、豚のロース肉という組みあわせ。こってりの濃密な甘味は控え目、というのがその特徴。梁師傳独自のレシピによるもの、ってことでしょう。
「金銭鶏肝」に出会えただけでも、嬉しくなっちゃいました。