2008/11/12

「家郷小菜」~10月の「赤坂璃宮」銀座店の3

 続いて「生抽焗中蝦 車海老の中国醤油風味煎り焼き」。















「中蝦」というからには中ぶりの「車海老」老で、「才巻き」よりも大きい。殻つきで背中に切り身が入ってます。 この料理については先に「広東地方の郷土料理シリーズ 遅ればせながらの2008年「夏の巻」の4」で触れてきた通り。そのうち、中国醤油の「生抽」で風味づけしたもの。海老の上には葱、生姜のみじん切りがたっぷり。なんせこの料理、手づかみでむしゃぶりつきたくなります。というのも、殻が旨いから、です。

 火を通した海老の殻の味、風味は格別で、おまけに醤油の味、香ばしい風味が入り混じって、いきなり海老を噛み締めるんじゃなく、チュバチュバと殻にしゃぶりつかないではいられない。殻はそのままかぶりついてもよし、殻をはずして身だけを味わうのもよし。

 「車海老」の場合、「才巻き」に比べて殻が厚くて、固い。殻つきのままなら、バリっと噛み砕く要領で。そして、海老の身は背中を割いてあることもあってか、ちょい火が通り気味で、少々身が固かった。そうだ、私、遅れて参加しましたから、出来立てじゃなかった、てのもその理由かも。

 でも、海老の身の旨さだけでなく、殻の美味、香ばしさが、たまらない!と、出来立てを食べたメンバーには好評の一品でした。

 それから、な、なんと「西洋菜陳腎湯/合鴨と鶏の砂肝とクレソンのスープ」が登場。 香港や広州の広東料理店や大衆食堂での日替わりのスープの「例湯」でおなじみのスープ。家庭でも頻繁に作られるスープです。














 私の好きなスープのひとつで、たまに、作ったりしますが、香港では値段が手頃、というよりも安価な「西洋菜/クレソン」が、日本ではばか高い。ひと束、2~3房だけでも結構な値段。このスープを作るにはクレソンがどっさり必要ですから、材料代がばかにならない。

 それに、調理は簡単。なんせ、素材を鍋に放り込んで、ひたすら煮込むだけ。もっとも、ゆうに2~3時間は煮込見続けるのが必須の条件、ですから、いささか手間隙がかかる。

 それよりも厄介な問題があります。というのは、本来は家鴨の砂肝を使いますが、日本ではその入手が難しい。それも、干したもの(だから陳賢なのですが)、新鮮なもの(ということで鮮賢といいます)が必要。そんなことから、香港で入手した家鴨の砂肝を使い、新鮮なそれは鶏の砂肝で代用。

 譚さんも、その点、このスープを作るのには苦労あり。聞けば、なんと合鴨の砂肝を入手。鶏の砂肝、ともども、店で乾燥させたもの、だそうです。そんな工夫と苦労の産物であるこの「西洋菜陳腎湯/合鴨と鶏の砂肝とクレソンのスープ」、砂肝を使っていても、クセなんてみじんもない。すっきりしていて、爽やかです。穏やかで優しい味、風味。ほっと心が和みます。















 そうだ、確認しそびれましたが、だしの基本は、豚の赤身肉の様子。鶏肉でとったダシとは違って、なんというか、押し付けがましさのない旨味がある。それに、少しばかり酸味が顔をひょいと覗かせる。クレソンの緑の味も、火を通してほろ苦さが抑えられてます。
 なんとも滋味豊なスープです。ほんとに幸せな気分になりました。
 で、最後の画像、手前が合鴨、奥が鶏の砂肝です。