2011/02/19

新年宴会パート2~BISTRO KHAMSAの3

うちのかみさんのメインの「さつきポーク肩ロースのコンフィ」。

格子の網目がついてます。
ってことは、じっくり低温で揚げたあと、網で焼いたってこと?

実は、以前食べた時、塩味、ベタっと重い感じだったので料理を注文する際、「塩味控え目に」とメートルの鈴木さんのお願いしました。

「どう、塩味、塩加減?」
「うん、塩味、利いてるんだけど、前みたいに重くないの。香りがあるし、それに「軽い!」」と、うちのかみさん
「そうそう、お肉、ほんとに美味しいの。香りもあるし、これ、すごく「軽い」よね、いくらでも食べられちゃう!」と杉山洋子女史。

うちのかみさん、私のメインが来るまでに「さつきポーク肩ロースのコンフィ」をぱくぱく食べちゃって、シェアしてくれたのは丹念に切り分けたさつきポーク肩ロースの脂身だけ!
その脂身を食べて、塩梅を想像。
「うん、いい感じみたいね……」(トホホ!)

いつぞや評判のビストロでのこと。
「あらかじめ仕込んであるパテやテリーヌは冷製だろうからいいですけど、メインの料理の塩加減、控え目にお願い出来ますか?」とメートル氏に尋ねました。
「キッチンに尋ねてきます!」
、そんな返事の後で席に戻ってきたメートル氏
「あの……出来ないそうで。ウチのやり方、味加減でお出ししていますので」
とかなんとか、そんな返事に思わず口あんぐり。

「客の口にあわせるのは料理人の技量のうちなのに」と思わずひとりごち。
なんて言うと
「ビストロの料理って、塩味が強いのは当たり前じゃないの?フランスのパリあたりのビストロの塩味の強さ、日本の比じゃないから」という声が聞こえてきそうです。
もっとも、それはフランスの地の素材に併せてのもんでしょうし、塩味がきつくっても素材の旨味を引き出し、香り、風味もあるんじゃないですか?

追い討ちをかけて
「ウチではフランスの○○産の仔羊、△△産の家鴨、□□産の鳩を使ってますから」
なんて声も聞こえてきそうです。だからフランス、それにフランスのビストロそのままの味付けってわけですか? それってどうなんだろう。

味付けは同じかもしれませんが、素材の旨味、料理としての香り、風味がなくては意味は無し、なんじゃないかあなんて思う私です。
「素材はどこそこの○○産」って口上でも、味付け本意。素材を見極め、旨味、風味を生かし、料理としての香りがなければ「素材はどこそこの○○産」なんて口上は単なるブランド信仰、フランドを売り物にしてるだけじゃないでしょうか。

件の店の前菜の「田舎のパテ」や「フォアグラのテリーヌ」、その顔つき、見映えは雑な印象で、頬張ってみてがっつりの旨さ、勢いはあるものの、下拵えが乱雑できめ細かさ緻密さに欠けてました。それも味付け本意で、塩味、べったりとして重かった。

素材の味、旨味はほどほど。何よりも香り、風味が乏しい。思わず、改めて「メインの料理、塩加減、控え目に」なんてお願いしたかったのですが……。
無駄な話をあきらめてべったり塩味の重い濃厚な味をワインで紛らわしながら楽しみました。

日本の中国料理の大半は、実は、そんな按配。素材の旨味、香り、風味を引き出すよりも「中国料理ならではの味付け」が主流を占めます。辛くって、近頃は痺れ味が必須になった日本の四川料理などその最たるもの。プロのフードライターばかりかブロガーや彼らの見解に批判的な人を含め、ご意見のほとんどもそんな風、ですから。

「素材のブランド信仰」、しかも「味付け本意」な料理。日本の中国料理だけじゃなくってフランス料理、イタリア料理の店でも似たような体験、件の店に限らず、これまでたくさんありました。
私が出会った渡邊シェフの料理、そんな問題点をほぼクリアー。

「塩味が利いてても(料理に)香りがある。それに「軽い」」と、うちのかみさんは大満足。
杉山洋子女史も同意見。不参加だったあぐり女史に料理の「軽さ」を熱弁、だったそうです。