2011/02/05

'11年1月の「赤坂璃宮」銀座店~新年宴会

毎年恒例、仕事仲間の新年宴会。今年は「赤阪璃宮」銀座店と相成りました。
当初、宴会の幹事から場所の相談を依頼された私ですが、予算を考えて一瞬は思案。
もっとも「赤坂璃宮」銀座店にはリーズナブルに広東地方の郷土料理を楽しめる「家郷菜コース」というのがある。それを下敷きにしてプラスアルファの予算で実現が可能なんじゃないだろか。おまけに日頃の月例の会議のメンバーは4人か5人。それが新年宴会では頭数も増え、総予算も膨らみます。

中国料理店ならどの店だって「ご予算に応じて!」とあるように、一応の予算を用意すれば、料理の内容を改め、品数を軽減してもらいながら宴会の実現は可能なはず。それこそ、中国料理店ならではの魅力です。なんてことで「赤坂璃宮」銀座店の橋本支配人に相談をもちかけたところ「大丈夫です!」と承諾を得ました。
まずは前菜の「璃宮焼味盆/璃宮特製焼き物前菜」。

前列、右から伊達鶏の冷製、家鴨の焼き物の焼鴨、叉焼、皮付き豚ばら肉の焼肉。日頃お馴染みの品々。ですが「赤坂璃宮」銀座店初体験の参加からは「わっ、綺麗だね!」と驚きの声。その新鮮な感動の様子に気分が盛り上がる。いずれもひと切れずつですが、4種、皮と身の触感、味、風味の変化の妙が楽しめる。それにひとつひとつが肉厚。切り方が分厚くって、それぞれの印象は強烈です。

もっとも、伊達鶏の冷製、いつも気になるんですが、皮はともかく身はしっとりとしてるもののちょっと身が緩い。この身の緩さ、素材自体の特質なのか、もう少し身に締まりのある調理、工夫の余地ありなんじゃないかと思います。

家鴨の焼き物の焼鴨。これもいつもに比べると皮が緩い。もっとも、身のほうはしっかり火が通っていて、しっかりとした噛み応え。も少しレアな火の加減でもよかったかも。ってことは、皮の下拵え、火の通し方が課題でことでしょうか。

叉焼の表面は焼きがしっかり入って、甘味のある味付け。肉質しっかりで、噛み応えあり。ですが、ちょっと火の通し、私の好みからすると行き過ぎ、なので身のしっとり感が乏しいのがちょっと残念。
皮付き豚ばら肉の焼肉。さくさくとした皮と塩味が利いた肉が旨い。厚みもあって実に食べ応えがあって満足。さらに周りを囲む付け合せ類、なかでも干し椎茸のマリネ、しっとりとした触感とじゅわとあふれ出す干し椎茸の味わい、風味が印象的でした。
そして「椒塩鮮石斑/ハタのスパイス揚げ」。

「わ、でっかい!」。
大皿の端にでんと居座るハタの頭と尻尾。それからもこのハタの大きさがうかがえます。
ハタの身は、三枚に卸して、極太の切り身に。その切り身も肉厚。その見映えからすれば「油浸」の調理なのは明らかです。

「油浸」は、言わば「唐揚げ」なんですが、その下拵え、揚げ方、火の通し加減に特徴あり。皮もついた身の表面はかりっとクリスピー。しかも、さくっとした触感があります。さらに、噛み締めれば皮のぱりさくとは対照的に、身はしっとり。

身がはらり、ほろりと崩れ、ジューシーな味わいがほとばしる。甘味、旨味があります。それも、塩味、塩使いの按配が、脂がたっぷり乗ったハタの身が持つ特有の甘味、旨味を引き立てる。
この「油浸」の調理、中国各地にもありますが、ほとんどは「草魚/鯇魚」はじめ淡水の川魚がその素材。広東地方、ことに香港では海鮮の魚の調理に応用。中でも「油浸」で調理した老虎魚など、まさに絶品。

ハタもその素材には格好なもので、はらり、ほろりと崩れる身のしっとり具合、舌触りの滑らかさ、脂の乗った身の甘さ、旨味、風味はたまらないほど美味。単なる「唐揚げ」じゃなくって、魚の旨味、風味が存分に味わえます。ですが、日本では、それも広東料理店ではなかなか出会えない。というのは、やはり下拵え、火の通し方など調理に技があり。袁さんの技、実に見事です。

そんな「油浸」で下拵えしたハタの切り身に、にんにく、パプリカの微塵切りを揚げてまぶしてあります。
塩、胡椒や唐辛子、にんにくのヒリ辛味を利かせたもので、これまでにも紹介してきた「避風塘」風スタイル。
大ぶりのハタを調理したダイナミックな料理ですが、緻密で洗練された味、風味。それを引き立てるスパイスの利いた味付けも絶妙でした。