2011/02/08

'11年1月の「赤坂璃宮」銀座店~新年宴会の2

そして「雪蛤蟹燴翅/カエルの皮下脂肪と蟹肉入りフカヒレスープ」。

ふかひれの料理は宴会料理には欠かせない一品。ことにふかひれは干貨素材の中でも最も馴染み深い素材ですから、皆さんの目の輝きも違います。
近頃、ふかひれの料理といえば姿煮がもてはやされますが、それが一般化したのは経済成長以後のこと。かつて香港でも宴会ではふかひれの散翅を使ったふかひれのスープが一般的でした。ということでは懷舊菜的趣向によるもの。
さらに、ふかひれだけでなく蟹肉が添えられていますが、もうひと素材加えられてました。
「ね、このカエルの皮下脂肪、って一体なんなの?」なんて声があがります。
「「雪蛤」は「蛤士蟆」とも言うんですが「蛙」の一種です。そのメスの「输卵管」を乾燥せたもので「雪蛤膏」とも言うんですけど、冬場を迎える前に養分を蓄えてあることから、薬効もあるというんで料理に使われるんですよ。コラーゲン質なんで美顔によいって言われてますけど。料理よりもデザートの素材に使うことが多いです」とひとウンチク。

スープはすっきりとした澄まし仕立て。だしの「上湯」の味、風味を生かした上品で洗練された一品。
ふかひれの「ぷり、ぷち」感と雪蛤の「こり、ぽり」感、という歯触り、舌触りの対比も、味わい所。かつて香港で地元の友人の宴会に招かれた時にであった懐かしいふかひれのスープでした。

そして「馬拉醤帶子/ホタテ貝のマレーシアソース炒め」。

帆立貝の貝柱のちょい厚目のスライス、「鱸」のすり身を素材にした「魚餅」の薄スライスと、赤と黄色のパプリカ、アスパラガスの炒めもの。さっと油通したらしい帆立の貝柱は、ねっとり、しっとりの触感。噛み締めると甘味、旨味が際立ちます。
「鱸」のすり身を素材にした練り物の「魚餅」は、関西で言う天ぷら、さつま揚げに似たような触感、味、風味。香港の潮州系の面粥店などではおなじみのものですが、ざらとした肉質、味、風味もしっかり、なのは自家製だからでしょう。私の好みの素材です。今度、自分でも作ってみよう。

色鮮やかな野菜は、それぞれに触感、味、風味が異なります。それらを「馬拉醤」で調味したもの。
「馬拉醤」、これまでにも新鮮な魚介の炒めもの、蒸し物にたびたび登場。醗酵味のこくのあるひね味がして、さらにはホット&スパイシー。ほのかな感じで、こく、旨味、ひね味、辛味が浮かび上がるという按配で、調味料の扱い、袁さんならではの行き過ぎない「手前加減」。

ところで「馬拉醤」。以前、紹介したように「蝦膏」と呼ばれるアミの塩辛の「蝦醤」を固形化したものや干し蝦の「蝦米」などに香味野菜、さらには唐辛子か唐辛子味噌などを加味して作るスパイシーな味噌。 なんですけど、今度、袁さんの使う「馬拉醤」の正体、確認をとってみましょ。