2009/05/29

弁天山 美家古寿司の2

 私は寿司屋では「お好み」、ネタ一種に二貫というのが基本です。1人前(「お決まり」って言うんですか?)とか「おまかせ」にはいささか、というよりかなりの抵抗があります。

 好みのものをその日の気分、体調にあわせて、というのが(大げさですけど)私の流儀。好みのものを食べながら、その日のネタのあれこれ、親方に尋ねて、軌道修正なんてのもよくあること。旬の味との出会いを楽しみに出かけるわけですから。

 日頃、フレンチにしろイタリアンにしろ中国料理にしろ、おまかせとかコース仕立ては苦手で、アラカルト主義で自分でコースを組み立てます。

 それが、四代目の榮一親方の握る寿司、でっかいもんで2貫ずつ食べてたら、次第にお腹が一杯になって、食べるネタの種類も限られてきます。 なんていっても、四代目が健在の頃、それに、五代目に代わってしばらくは、店にあるネタのほとんど、食べてました。大食漢、だったのであります。

 それだけじゃなく、お酒を頼むとつまみが出てくる。あ、お通し、っていうのかな。魚介のあれこれを仕込んで、味付けしたもので、これがまた滅法旨くって、あれも、これもと食べたくなる。

 いつもの居場所だった神保町では元親方(それに現親方のみっちゃんも)「何か切りましょうか?」と尋ねられ、「じゃ・・・」なんてのが、寿司を食べる儀式のはじまりでした。ところが「美家古」では、季節に応じた色々なつまみ、お通しの数々が。まさにアミューズ、ですね。寿司と同じくらい楽しみです。

 もっとも、仕事の関係で外食に制限がかかるようになって以来、「美家古」には三社祭の時にでかけられるぐらいだけになっちゃいました。
 「小倉さんに言っといてください、三社の時以外にも、おいでくださいって」
と、四代目の後を次いで下拵えを担当し、夜には五代目の脇に立つ大ちゃんが、私の知人に伝言。
 
 すんません!
 それに、日頃、おまかせはパスのはずの私ですけど、三社の時の「美家古」では、おまかせだけになっちゃって。なんだか、彼岸の折、浅草寺参りの帰りに「美家古」に必ず立ち寄る老婦人、みたいだな。でも、三社祭がある限り、私の「美家古」通いは廃れませんから!